第54話 従者は、ばにーがーるを着たいお年頃〜
女騎士から放たれる威圧。
「オニキス・オンライン」で現在、解放されている十二番目の街「サングリエ」。終盤の街ということで出現するモンスターはどれも強力だ。ギルドの最大戦力でやっと倒せるレベルのモンスターたち。
しかし、そんな凶悪なモンスターとは雲泥の差を見せつけられた。
ここで下手なことを言えば、女騎士が持っている禍々しい片手剣で首と胴体が分離される。
と、重く考えた私だがよくよく考えれば目的は達成している。
”件の女騎士を見つける”。それがヴェインが私に言った罰。もう見つけたのなら、後は私の勝手に動いても問題はない。ヴェインにその後、何かを言われても”明確な指示を出さなかったヤツが悪い”と言える。
ヴェインは変な所で頭が堅いから、苦悩顔になると思うけど、許してくれる。
なら、ここは......
「実は、ユミナの後ろにいる女騎士さんを見つけるようにとギルマスから言われてね」
そう、ここはバカ正直に答えることが最も安全でリスクの少ない行動。
「やっぱり......」
しばし考えているユミナ。
それにしてもユミナとは完全に初対面であるはずなのに、初めて会った気がしない。
もしかしたら、どこかの街やフィールドなどで見たことがあるかもしれない。
まぁ、今考えることはそんなことではない。
「やっぱり、さぁ~ ヴァルゴとの冒険は諦めるしかないかな」
ユミナの反応に周りがざわつく。
牛みたいな人と聖女アシリアちゃんに似ている女の子は爆笑。赤髪の女の子はユミナに何か言っている。
そして、私を威圧して警戒度マックスの女騎士は顔面蒼白になりながら四つん這いになっていた。
「お嬢......ユミナ様。やはり私はいらない子なんですね」
「いや、そうじゃなくて」
「ヴァルゴ、お疲れさま~ アハハ!」
「安心しろ。お嬢のことはアタイたちが守るから~ アハハ!」
「ちょっと、ユミナ。それは酷くない?」
「いや、だから。そうじゃなくて」
「私の何が不満なんですか? 魅力ですか? お嬢様との歳の差で価値観が違うからですか?
「あのね、うん。ちゃんとした訳を言うから......その口、閉じてくれるかしら」
「お嬢様の言うことはなんでも従いますから。以前装備した”ばにーがーる”? なる物も着ますから」
「えっ、ユミナ!? アンタ、ヴァルゴにバニーガール装備、着させたの? スクショしてない? お願い、あんなダイナマイトボディのバニーガール姿なんてユニークモンスターよりもレア度が高いよ。全部はレーティング的に見られないと思うけど、一部でも見られるなんて至福の粋よ。なんなら私に受けた罰ゲームを私に何倍にして実行していいから。お願い、ユミナ様~~」
「アクイローネさんがあそこまでテンションが高いということは余程の装備。あの、ユミナ様。アタシにもその”ばにーがーる”を着てみたいです!!」
「面白そうだから、アタイも!!」
「おいっ!」
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