第21話 第三者の目線では中々なイチャイチャ雰囲気
「アナタの言っていた教会に、到着しました」
小さいけど外観の造形が凝っている教会。さすがは、ヴァルゴ……うん? いつ覚えたの、教会までの道のり。まー......いいか。
安堵の息をつき、深々とお辞儀するアシリアさん。
「ありがとうございました!」
「私は何もしていません。全て私の最も信頼する従者がやってくれただけですので......」
ヴァルゴは自分の顎に手を置き、何やら考え中の様子。
アシリアさんはじりじりと私との距離を詰め、耳打ちする。
「ごめんなさい、私のせいで。”恋人”さんが不機嫌になってしまって」
コイビト?………………鯉美都?…………濃い人?…………………………恋人?
恋しく思う相手。相思相愛な関係。一生ともに歩む間柄。
恋人ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!??!?!??!?!??!?!??!?!?
「ち、違います……私とヴァルゴは……」
「私は気にしません。女王と女従者の恋。むしろ応援しています!!」
「ですから、私たちは……決して……恋人関係では。うん?」
「何か?」
「なんで私が女王と思ったんですか?」
「先ほど、麗しい女騎士さんを従者と。あとは杖」
「あの、これは……」
「ユミナ様が持っている綺麗な杖、初めて見ました。ユミナ様は由緒正しい家柄の方なのでしょう。冒険者様と同じ格好なのには複雑な理由があるとお見受けいたします。決して、口外しません。私の命の恩人ですので……」
「大袈裟ですよ……聖女さん」
「……気づかれていましたか」
「なんとなくですけど……お仕事頑張ってください!」
「ユミナ様も頑張ってください、何事にも……」
「あはは……」
だから、違いますって……
「ユミナ様......ほんの気持ちです」
アシリアさんから頂いたのは、また指輪だった。もしかしてオニキス・オンラインのアクセサリーの種類は指輪一択なのかな。あとで調べよう。
小ぶりの黄金色の宝石が埋め込まれているリングだった。
・
何々、効果は……二つある。一つ目は幸運値の上昇。二つ目は感知機能。
一つ目は分かる。単純に私のステータスを上げてくれる効果。アシリアさん……どんだけ私を幸福人間にしたいんですか。
私はお腹一杯なのに、さらによい出来事があると人生バラ色コースですよ。しまいには体内から溢れてくるかもしれない。
一つ目はさておき。で、問題は二つ目。感知機能は十中八九、敵が出現したのを知らせる効果。
ただ……現状、私のスキルに自動効果発動がある。なので申し訳ないけど……
気になる一文があった。
『真の助けを求めれば、至る道も示される』
誰かが救いを求めていたら、相手の手を掴む的な意味だよね。なんかヒーローみたいな。
通常は私に敵意がある者を感知できる仕様。オプションで人々に危害が加わる出来事が発生すれば教えてくれる……ってことでいいのかな。いまいち使い方が分からない……
「お二人に神の御加護があらんことを。失礼します」
教会の中に入っていくアシリアさん。扉が開いた事でチラッと中が見えた。
アシリアさんに詰め寄る人。一緒に『ヴァーシュ』へ来た人かな?
騎士風の人たちは心底心配していたけど、妙齢なシスターが物凄い剣幕で怒っていた。
そして、アシリアさんは正座していた。
……シスターさん、顔が険しいよ……なんかアシリアさんが涙目になっていた気がした。聖女さんだよね? 気のせいだよね、うん。気のせい……
「お似合いです、お嬢様!!」
拍手するヴァルゴ。美人さんからの褒めちぎりは悪い気がしない。
今、私たちは『ヴァーシュ』の防具屋にいる。お店の人から完成した装備品を受け取って装備している最中。
大量にあったウサギ系モンスターと鳥系モンスターの素材を全て生産に回したのでストレージには一つもない。ヴァルゴの【ウラニアの指輪】にも残っていない。数多くの素材があったのでヴァルゴの武器や防具も、と提案したけど、拒否されてしまった。
なんでも、『自分は誇り高き騎士に属する者。自分の鎧以外の物は身につけません』と頑なに拒否していた。似合うと思うんだけどな、絶対に。
「ヴァルゴ、一回でもいいからウサ耳付けてよ!」
「いくらお嬢様のご命令でも受け付けれません」
ぶうぅぅぅぅ、ケチんぼ!!
・白兎のバンド:CHR値とMAT値上昇
・白兎の翼帽:CHR値とAGI値上昇
・ウサギのかぶり物:CHR値とAGI値上昇
・猛禽の目:DEX値上昇。索敵範囲が30m広がる。滞空時間が2秒追加
・
・羽毛のマント:滞空時間が5秒追加
・ウサギの着ぐるみ:VIT値とLUC値上昇
・掻鳥の荒くれシリーズ:VIT値とSTM値上昇
・防兎の寒具シリーズ:
・
・ホワイトミュール:AGI値とCHR値上昇
・バードラン:AGI値上昇と滞空時間が3秒追加
・魅惑のヒール:CHR値と回避率上昇
一気に防具類が充実してきた。シリーズ系は頭から靴まで一式生産できた。単体でも装備可能となっている点は大きい。
「にしても……うるさい」
今、『ヴァーシュ』は人混みの山となっている。さすがは、聖女もといアシリアさんまるでアイドル会場みたい。アシリアさんの追っかけ? なのか高級な装備をしているプレイヤーもいた。遠くから見ても分かるユニークな装備の数々。
お祭りは好き。でも、うるさい大喝采なのは少し遠慮している。
もしかして、今がチャンスなのではないのか。街に人が溢れかえっている状況なら周りの外エリアにプレイヤーはあまりいない。またヴァルゴが好奇の目にさらされるのは嫌だし、街を進めておきたい。
「ヴァルゴ、早速……次の街に……どうしたの?」
「いえ、ただ……賑やかだな、と。私はずっと長い間一人でしたから......」
デコピンをくらわせた。
「も〜う!! 暗い顔しないでよ。私がいるじゃん!」
「......そうですね。今は一人ではありません。お仕えする主がいます!!」
念のため、回復アイテムも買ってあるしメインストリートを出ようとした。
〜装備欄〜
頭:白兎のバンド(CHR:25)(MAT:+10)
上半身:羽毛のマント(VIT:+25)
下半身:防兎の寒具スカート(VIT:+18)
足:バードラン(AGI:+15)
右武器:
左武器:
装飾品
①:オフィの指輪:蘇生回数0/3
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