第16話 女は嗤う
「一先ず、お疲れ様です」
「......ありがとう、ヴァルゴ」
手段はどうであれ……ヴァルゴ先生の言いつけ通りにソロでボスモンスターを倒す事は成功した。あとで強制正座させられるとは思わなかったけど。普通なら主の素行で従者の好感度も下落する。でも、ヴァルゴの好感度は下がるではなく上がる方向に行っていた。プラス1だったけど……
いや、プラス1でいいじゃん。ゼロやマイナスの世界に進出するよりかはマシ。
しかし、なんでプラス好感度だったんだろう? 上げ方が分かれば自ずと下がる方法も判明してくるモノ。情報を集めて一つの解を得るのがセオリー……なのに、全く良く分からない。
項垂れながら『ヴァーシュ』に続くトンネルを抜けた私たち。
◇
「オフィュキュースって人います?」
二人のプレイヤーが『スーリ』にある酒場に入る。
カンタとバルバ。エリアボスである尨大の鼠二世にあと一歩って所で負けてしまい『スーリ』の宿屋に戻っていた。再び行くのも良かったがしっかり準備をするために少し寄り道している。
メイン武器や防具は新調する必要はない。そもそも現状の装備を揃えるためにお金を散財したため新たな装備品を買う余裕がない。
そこで考えたのがNPCのクエスト。NPCクエストの中で時間はかかるがいい性能をしているアクセサリーがあると攻略サイトで発見した。カンタは早速、リアル友人のバルバと一緒に目的地に足を踏み入れていた。
「冒険者さん、申し訳ないね」
酒場の亭主のNPCが彼らに謝罪していた。
なんでも、【オフィ婆の占い】を受注できるオフィュキュースが最近、酒場に来ないとか。
こんなこともあるんだねっと亭主は苦笑していた。
後日知ったがオフィュキュースという占い師は一定確率で出現しないらしい。
なので自分たちは単にその確率に当たってしまったと。
別の強化案を探そうと二人のプレイヤーは酒場を後にした。
◆
ローブの女は月を見ながら森を歩いていた。
「まさか、『ヴァルゴ』の封印を解いたやつがいるとはね」
暗闇の中、光を
これでも昔は光が届かない場所での戦闘だってしてきた。それもあって森の中も自由に歩ける。
「まぁ、どこの誰が『ヴァルゴ』を解放したのかは置いといて……あのまま石化したから解いた奴は彼女の
邪悪な笑みを浮かべる女。
「楽しみだわ……」
周囲から視線を感じる。周りから発せらた視線は女を殺さんばかりの目。モンスターが全員意思疎通ができるわけじゃない。野生の勘なのか。女を取り囲み、一斉に飛び出す。
「久々の歓迎は嬉しいけど、あいにくアンタらを相手するほど暇じゃないのよ」
モンスターたちは自分たちに冷たい視線を向けたモノに気づく。
あるモノは悪寒。またあるモノは小刻みに震えていた。
凍りつきそうな視線が殺意だと認識したのは、自分たちが死んだ時だった。
「何百年ぶりに使ったけど、意外とまだ使えるモノね」
女は特別何もしていない。敵意があるモンスターにただ一言、発しただけ。
『ヘラクレス』と—————
NPCN:【オフィュキュース】
性別:【女性】
種族:【星霊】
職業:MAIN:【石蛇神】
SUB:【占星術師】
Lv:???
HP:???
MP:???
STM (スタミナ):???
STR(筋力):???
MAT(魔法攻撃力):???
DEX(器用さ):???
AGI(敏捷):???
VIT(耐久力):???
LUC(幸運):???
CHR(魅力):???
〜装備欄〜
頭:蛇遣いの仮初髪
上半身:蛇遣いの黒ローブ
下半身:蛇遣いの黒ドレス
足:蛇遣いの毒滅
右武器:
左武器:
装飾品
①:蛇遣い座の指輪
②:ウラニアの指輪
〜スキル欄〜
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・ヘビ
・カンムリ
・ヘラクレス
〜呪文欄〜
・ヴェノム
・ショット
・スワイプ
・レイン
・ナーガ
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「そういえば、もうすぐ『聖女』が『ヴァーシュ』に着くんだっけ」
聖女……奇しくもあのアリエスと同じなのであれば。
「【ヘビ】!!」
女の影から漆黒の蛇が無数に出現した。どの蛇も大蛇の大きさを持ち非常に獰猛な目つきをしていた。
「少し厄介だし、消すとしますか」
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