第14話 前門は灰、後門は青紫
ジト目で私を見ているヴァルゴ。
「それでは、お嬢様。あちらのネズミはお嬢様、お一人で戦いましょう」
「OK!! 」
「……ちょっと待って、ヴァルゴ!?!??!?!?」
「先ほど、お伝えしたはずです」
もしかして……怒っている? 何回か無視したもんだから拗ねているのかな〜
やばいやばい。好感度がぁあああああああああ!!!
好感度って何をすれば上がっているって判明できるのかな……あった!!
私のステータスの下に【星霊】の項目が追加されていた。
ナニナニ……へぇ〜 ヴァルゴの好感度……意外と高めなんだ。嬉しいよ。高い数値を所持しているのにダダ下がり活動は困る。今度からは気をつけないと。
「いやぁ、確かにおっしゃってはいましたけど」
確かにヴァルゴは私に対して『いざって時に私がいない状況でも一人で切り抜けるために……』は言った。あれってその場の勢いで言ったことじゃないのか!?!? ヴァルゴって意外と根は真面目な所あるよね。
さっきの無視とヴァルゴの寄生虫のダブルコンボは私のゲーム進行の弊害になってしまう。そうなれば『星霜の女王』の効果が減少してしまう。それ以外に冷たい態度を取られる可能性もあるかもしれない。
「い、行ってきます。それから、ヴァルゴ……」
「はい?」
「
冷や汗をかいているヴァルゴを尻目に私は『
「改めて見ると……本当に熊に見えてしまう見た目」
容姿は熊の親戚だと思ってしまうけどあのなりでネズミさんだとか……ストレージにチーズあったかな……
「てか、なんで”二世”? 初代さんは隠居生活でも謳歌しているのかな」
警戒マックスで望むけど、最初のステージのボス。あのトロールゴブリンさんみたいに単調な動きしかできないと踏んでいる。
トロールゴブリンさんとの戦闘では所持していなかった
「モノを投げるなぁああああああああああああ!!!!!!」
不思議だ、実に不思議な現象なのかな。凶暴モンスターには必ずモノを投げる行動が入るのかな。トロールゴブリンは棍棒で豪速球の槍投げを実演していた。そして今私を狙う尨大の鼠二世は周りにある岩を投げる投げる。おかしいな……上は綺麗な夜空しかなかったのに、今は岩の雨が参入してきましたよ!?!?
(ほんと
跳躍。ちょうど地面についた岩を足場にしてさらに跳躍。
「アイマ!!!」
姿勢が真っ逆さまになって氷の槍は落ちていく。尨大の鼠二が岩なら私は氷の雨を降らせてあげるわ。
(今までの雑魚モンスターよりかたい……毛皮なのに)
どうも尨大の鼠二世は鎧のようにかたい毛で覆われている。尨大の鼠二世も『何かあったかな〜』って背中かいている動きしかしていない。ムカつくぅ!! あの様子なら多分、大してダメージは出ていない。
戦士や剣士系統が前衛なら接近して尨大の鼠二世のかたい皮膚を剣武器で削ぐ手段もできるかもしれない。ここでもパーティーを組まなかった自分の落ち度だ。
起きてしまったことはもう戻せないし消せない。ならこれからの行動を変えていく必要がある。それだけを考えよう。終わったら楽しみもあることだし〜!
尨大の鼠二世のおかげで遮蔽物がなかった草原フィールドに岩で形成された壁ができた。ようやく覚えた回復魔法である【ヒール】を使ってHPを回復。隠れながら今度の作戦を考える。
とりあえず、尨大の鼠二世の攻撃パターンは速い速度の突進行動やモノの執拗な投擲だ。尨大の鼠二世本体は意外と警戒心が強いのもわかった。私の行動一つ一つに反応している。後、分厚い皮膚が何気に邪魔な存在。はっきり言って剥がしたい、ツルッと簡単に。
多分、尨大の鼠二世の攻略法は守りながら攻撃。何人か防御に専念して残りでアタック。硬い皮膚を裂き、体内を抉れば倒せる。でも今は私しかいない。魔法使いのユミナしかいない。剣武器なんて持っていない。持っているモノなんて自分のスキルや魔法だけ。
「火? いやここは……」
ある案が出た。突発的に得たスキルがある。効果もボスエリアの岩だらけのフィールドとなった草原なら可能なのかもしれない。
「にしても、夜に攻略するんじゃなかったよ」
昼と夜ではモンスターの活発具合が段違い。変更された攻撃パターンに加えてリアルでもネズミの生態もデータとして組み込んでいると考えてる。だから尨大の鼠二世は自分の縄張りに侵入してきた私を他のネズミと同じ行動パターンで排除しようと行動している。
うん? 生態……でもさっきは?
「ネズミって確か……寒いの苦手だったはず」
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