第11話 スーパーアイテムは人をおかしくさせる

「戻ったと解釈すればいいのかな……??」


 黄金の錫杖を手に取る。




 ・星刻の錫杖アストロ・ワンド


 夜空の輝きを放つ杖。未だ足りない力であっても星々を永劫に生かすとされている。

 世の闇を浄たい願いが集約した結晶は使い手を行く末を案じる。

 装備時、HPや他のステータスが100、MPが200プラスされる。

 あらゆる状態異常を浄化するができる。戦闘開始から5分間、HPが減る行為はない。(単身やパーティー時でも適用される)

 星刻の錫杖アストロ・ワンドを他人に譲渡不可。また奪われる行為もない。

 装備時、専用職業(ジョブ)である『星霜せいそうの女王』がメイン職業ジョブに強制される。




 ・専用職業『星霜せいそうの女王』

 能力発動条件には星霊たちに愛される女王になり変わらないといけない。

 たとえ虚像いつわりの存在だったとしても……

 星霊たちの好感度がプラス状態で自身と種族:星霊のステータスを倍加する。一人につき二倍増加する。

 星霊たちの好感度がマイナス状態ではステータスが「倍加」ではなく、「減少」へ変化してしまう。一人につき二倍減少する。

星霜せいそうの女王』のプレイヤーは散らばっている星霊を感知できるが生命力が低いと見つけるのが困難。




 しばし考え、天を仰ぐ私。


「何が起きたんだ……??」



 目が点になるってまさにこの状況なのかもしれない。

 情報過多で頭がおかしくなりイベントだった。




「待ってよぉおおお”お”お”お”」


 深夜に大声は近所迷惑。でも、声を抑えるのを忘れていた私。

 多すぎる情報を再度見た私は何が何やらで挙動不審になっていた。

 私の雄叫び悲鳴に気づくNPCやプレイヤーが近づいてきたので森へ全力疾走していた。

 スゴい!! AGI敏捷が強制100ポイント付与されているから速い、疾い。

 おぉ!? 加速系のスキルが手に入った……



 初心しょしん指針ししん

『ズーリ』近くの森林。そこの人里離れた森の奥で私は倒れていた。

 いくらSTM スタミナを強制的にポイント付与されてはいたけど、強化されていても無限の力ではない。加減を知らずに走りまくった結果。スタミナ切れの状態で倒れたのが現在のユミナであり、私である。


 敵に襲われる心配をしているが今の私は星刻の錫杖アストロ・ワンドを装備している。なので戦闘開始、5分間はHPが減らない、いわば無敵状態。今、仰向けで倒れた状態の私に、モンスターからの総攻撃を受けてもダメージは入らない。


「つ、疲れたぁああ!!!」


 しかし軽く触ったけど、スゴい性能なのか驚きしかなかった。

 ステータスで星刻の錫杖アストロ・ワンドを見る。画面に表示されている武器の耐久値の下に【ENERGY MOON】なる新たな項目が増えていた。


「マックス30で今は……29」


 唐突の月からの供給で星刻の錫杖アストロ・ワンドが復活した。

 色々、モリモリの機能だけどメリットだけではない。30分で1、減少する。これが【ENERGY MOON】の稼働時間。

 MPと同じくくりと解釈すればいいね。MPと違って回復手段が異なるけど。

 MPの方は装備品やスキル、回復薬で失ったエネルギーを増やすことができる。一方、【ENERGY MOON】は月の光で回復できる。突発的なイベントで『30』まで上昇した時間を計測するのを忘れたのは痛かった。


 戦闘でこれからもお世話になる武器だし、私が発生させたユニーククエストでも必須のアイテムになる。【ENERGY MOON】……ちょっと長いから……【EMイーエム】としよう。

 この【EM】がゼロだと物語が進まない可能性だってあるかもしれない。


 戦闘の最中で【EM】がなくなったら私のステータスも大幅に減少する。そうなると敵が一斉に向かってきて速攻であの世行きHPゼロになる。


 まぁ、これは今からでも検証すればなんとかなるだろう。



「近くに手頃なモンスターいないかな〜」


 手を帽子のつば代わりにして森の周りをキョロキョロし始めた。


「今……動いた?」


 樹木が動いた気がした。上に付いている葉っぱが揺れたのではない。木全体が少し動くモーションがあった。


「これも試さないと……」


 星刻の錫杖アストロ・ワンドの先端を謎の樹木モンスターに向ける。


「『ファイマ』!」


 バスケットボールサイズの大きさの火の玉が私のMPを糧に出現した。

 もしかしたら星刻の錫杖アストロ・ワンドを装備している時には今まで手に入れた呪文が使えないんじゃないのかと思っていた。でも、私が習得した魔法も問題なく使えたのは何よりも収穫。


 この「オニキス・オンライン」の魔法にはプレイヤーの熟練度によって呪文レベルが上がるシステムが存在する。

 今、私が微かに動いた謎の木に対して火の玉を放った。ゴブリントロール戦闘時にしようしていた『ファイヤーボール』が強化されたのが『ファイマ』。


『〇〇呪文+〇〇階級』で区分分けされている。この『ファイマ』は簡単に言えば威力の強度が1段階上がった『ファイヤーボール』となっていた。


 攻撃魔法の威力が1段階上昇したファイヤーボールで謎の樹木モンスターさんはよく燃えている。謎の樹木モンスターさんはどうやら団体行動のモンスターだったらしく森に擬態? していた他の樹木モンスターは連鎖爆破みたいに火が燃え移っていく。もがいているのか分からないけど謎の踊りをしていた。


「第二次森林火災事件……」


 絶えず燃えている森林を見ていたたまれない表情を出した私。木炭と化した樹木モンスターのアイテムを拾い、ストレージに入れる。







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 PN:【ユミナ】

 性別:【女性】

 種族:【人間】

 職業:①:【星霜せいそうの女王】

  ②:【魔法使い】


 所持金:20900ノター



 Lv:13 

 HP:55(+100)

 MP:80(+200)


 STM (スタミナ):20(+100)

 STR(筋力):13(+100)

 MAT(魔法攻撃力):60(+100)

 DEX(器用さ):45(+100)

 AGI(敏捷):17(+100)

 VIT(耐久力):20(+100)

 LUC(幸運):30(+100)

 CHR(魅力):35(+100)


 〜スキル欄〜

 ・ランタンの

 ・攻火炎アフ:小→中

 ・無火炎フセ:弱 

 ・見習いの初歩→見習いの中歩

 ・命の鼓動→活力の鼓動

 ・採取 Lv5

 ・投げ弾イクイップ・シュート

 ・アクセル

 ・攻流水アウ

 ・攻氷結アフグ


 〜呪文欄〜

 ファイヤーボール(2)→ファイマ(10)

 ウォーター(2)→ウォーマー(10)

 アイス(2)→アイマ(10)

 ポイズン(4)→ポイズマ(12)

 吸血(3)

 吸魔(3)

 軽壁(3)

 強勢(3)

 回復ヒール(10)


 〜【星霜せいそうの女王】専用〜


 スキル:星なる領域スターリースカイ(EM:5)


 魔法:清浄なる世界へヴィム・エブリエント(EM:15)



 〜装備欄〜

 頭:緑鬼のローブ(フード)

 上半身:緑鬼のローブ

 下半身:緑鬼のスカート

 足:見習いの革靴


 右武器:星刻の錫杖アストロ・ワンド:【ENERGY MOON】28/30

 左武器:


 装飾品

 ①:オフィの指輪:蘇生回数0/3






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現状、星刻の錫杖アストロ・ワンドの容量は『30』。30分間稼働できると思ってくれれば問題ありません。

稼働時間に比例して強制ステータス上昇時間が減る。

強制ステータス上昇維持のために専用MPでもある【ENERGY MOON】を使う。ユミナ命名で【EMイーエム】となる。

専用魔法を使用すると通常のMPが消費されず、代わりに【EM】の数値が使われる。

【EM】の数値がゼロになるとくすんだ青灰色になってしまう。この状態では何もできない。月からのエネルギーを手に入れるしか方法はない。


容量を増やす方法はただ一つで星霊を助け仲間にする。仲間にすることでも容量は増えるけどもっと大容量になる方法があるとか......

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