第2話 義姉は突然に...

「せつな、突然だが父さん。再婚しようと思うんだ」




 学校帰りの私、弓永ゆみながせつなは自宅のリビングにいた父親である弓永とおるから唐突の爆弾発言を聞いた。初めは驚いたが、すぐに冷静になる。


「急だね……」


「ごめん、言うタイミングが分からなくて……」


「良いと思うよ。父さんだって幸せになる権利あるんだから」


「そ、そっか。ありがとう」

 妙に照れている父を見ているとなんとも歯がゆい気持ちになる。


「でも、そうなるとせつなは大丈夫か?」


「何が?」





「え? だってせつな……人見知りだし」


「実の父親から自分の娘は人見知りと言われる日が来るなんて……中々のダメージなんだけど。今日は寿司がいいな〜 勿論、回らないやつで」



「ははぁ、ごめんよ。それはまた今度で」


「……まぁ、なんとかやってみるよ」


、来るんだ」


「『来る』って……まさか!?」


「これから向こうさんがお子さんを連れて挨拶に来るんだ!!」

 少し早口で喋る父親を見て、若干キモいと思える女子高生の私であった。


「父さん……」


「どうした?」


 お腹を抑えるふりをする私。

「謎の腹痛がきたので引きこもります......」


 私が自室に戻ろうとした瞬間。




 ピンポーン!!


 自宅のインターホンが鳴る。


 挙動不審し始める私。

 父は私の様子を遠目で見ながら、玄関に向かう。




 側から見たら不思議な踊りをしている格好だろう。だって、仕方がないじゃん。数分前に父から爆弾発言をもらったばかりなのに、間髪入れずに次弾発言が発射されたんだ。驚かない方が不思議だよ。

 もうないよね? もし次なる爆弾が到来するもんなら私の体は風穴だらけ……

 リビングでUターンを繰り返していた私は、父に言われるのは不本意だけど……人見知りモード発動しました。



「とりあえず……解決法を真凪まなに聞いてみよう」

 私の数ある友人の新藤しんどう真凪まなにメッセージを送ろうとした時——————










 少しして父と母親になる予定の女性が入ってきた

「せつな。これからお前のお母さんになる、」



「初めまして、巻波梨子まきなみりんこです」



 綺麗な人。私にとっての感想はこれに尽きた。

「今日は私だけじゃなくて娘も一緒にきました。ほら、あなたもご挨拶しなさい」


 梨子りんこさんの後ろから出てきたのはこれまた黒髪ロングが良く似合う美人さん。見た目から同い年くらいだった。



 あれ? どこかで見たことがある容姿だし……それに巻波まきなみ

 確か、私が通っている高校にも似たような名前の有名人がいたような……まさかね。偶然だよな。私の頭上に答えの落雷が落ち、自分が冷や汗をかいているのに気づいたのはそれから数秒後だった。


「初めまして、巻波まきなみ白陽姫かすみです。母ともどもよろしくお願いします」


 私の体力は限界を迎え、その場に倒れる。

 はい、見事に私の体は穴だらけになりました。














「それで……せつなは無様に倒れたと」

 コーヒー牛乳を飲んでいるのは私の数いる友人の新藤しんどう真凪まな


「『無様』は余計。まぁ……はい。その通りです」


「しかし、まさかせつながあの巻波さんと姉妹になるなんてね」



 巻波まきなみ白陽姫かすみは私の通っているみいうら学園の有名人である。


 黒髪ロング、美人で成績優秀。少し感情を出すのが不得意だけど、美人。それを抜きにしても告白する男子は数知れず。でも、結果は毎回男子はフラれる。屍の山が形成されつつあるとかなんとか。




「ガツガツした系じゃなくて良かったじゃん。だって、せつなは人見知りだし。そっち系の人が姉妹だと心労がたたるだろうし〜」


「何故昨日含めて、私が”人見知り”攻撃を何度も何度も受けなきゃいけないの……」


「それは置いといて」


「置かないでくれるかな!?」


「実際、どうなの?」


「『どう』とは?」


「学園一有名人の巻波さんと一つ屋根に下の生活は?」


「う〜〜〜〜ん。意外と世話好き……かな」

 倒れた私が目を覚ましたのは自室のベット。隣には巻波さんがいた。後で父さんに聞いたら私を看病してくれたとか。私の額にあった濡れタオルを何度も変えてくれたらしい。


「ふ〜〜ん!」


「で、真凪まなに相談があるの」


「そうだな〜 私、急に喉が渇いたな〜 コーヒー牛乳があと3本くらいないと潤わないかな〜」


「はいはい。何本でも買ってあげますよ。何十本でも何百本でも」


「いや、流石に何百本も奢ってもらうと飲み切るまで時間がかかるよ」


 あっ、今この友人さんは私にコーヒー牛乳を百本単位で買わす気だ。そこはせめて気持ちだけいただきますだよね!? 貴方には大和撫子の遺伝子はないのかぁ〜 しまいにはこの歳で糖尿病になるわよ。気をつけなさいって……



「それでこのに、何を望むのかな。哀れな子羊よ」


 何、神様ポーズしているのよ……まったくも〜


「巻波……いや、白陽姫かすみさんと話ができるようになりたい。なので、手っ取り早く人見知りを治す方法を教えてください」


 まぁ、それに乗っかる私も同類かな〜


「是非とも私に神の恵みを……」






「えっ!? 無理」


「なら、そのコーヒー牛乳返して」





「せつな……良いよ。私の飲みかけが飲みたいんだね。良いよ!!」

 、頬を赤らめる!? 、頬を赤らめたの!?!?! 大事なことだから二度言いました。



「冗談だよ。そうだな〜 人見知りのせつなを社会復帰させる方法か〜」


 しばし考えた悪友の真凪まな妙案アイデアを閃いたのか携帯端末の画面を私に見せてきた。


「オニキス・オンライン? ゲームだよね、これ」


「そう、少しだけ有名などこにでもあるVRMMO。せつなのリアルでは圧倒的に時間がかかるからゲームの中なら多少、短縮できるでしょう」


「ゲームか〜」


「私も時々、やっているし」

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