第4話

【承知しました。私は言い訳代行アプリ。別の言い訳を考案致します。】

【案2:『家に宇宙人がやってきて、交流の印にプレゼントしたんです。』】

【ご希望の通り、誰とも被らないような突飛な言い訳を考えました。】

「突飛すぎるわ!大体、なんで交流の印に数学の問題集を宇宙人に渡すことになるんだよ!」

【大丈夫です。もしそのような指摘をサグラダ様が受けた場合は、『何でも宇宙人達は、自分たち以外の生命体の知能レベルを調査していたらしく、地球の教育書に興味を持っていたようでした。』と反論すればよろしいと思われます。】

「SFの要素を言い訳にいれるんじゃねえ!」


 俺は内心大丈夫かと思いながら、アプリに向かって話しかける。


「大体二つ目の案は現実味がなさ過ぎるんだよ。もっと何というか、“ あり得そうだけど、よくある言い訳とは被らない ”みたいな良い塩梅あんばいの言い訳を考えてくれよ」



【・・・承知しました。私は言い訳代行アプリ。再度、要望に合わせた言い訳を考案致します。】


【案3:『クラスメイトの前田海斗さんにこの夏フラれてしまって。ショックで宿題に手がつかなかっ・・・・・・。】

「やめろやめろやめろ!なんで俺が前田に告白して振られたことになってるんだよ。そんなことしたら担任との間に気まずい空気が流れるだろうが」

【はい、それが狙いです。男性間の恋愛はかなりセンシティブな話題ですので、担任もサグラダ様を深く追究することは無いと思われます。】

「なんて恐ろしい言い訳を考えるんだ、お前は。」

【ありがとうございます。私にとってもこの言い訳は自信作です。】

「褒めてねえよ!」



【・・・・・・ワガママな人ですね。】

「うるさいわ!お前が納得できる言い訳を考えてくれれば解決するんだよ」


【・・・・・・承知しました。では、そんなサグラダ様にとっておきの案を提案させていただきます。これでしたら、今までご指摘いただいた点もクリアした上で、サクラダ様が納得のいく完璧な言い訳になると思います。】

「そう、わかればいいんだよ」


【案4:******(ここから先は有料です。)】

「金取るのかよ!」

【やはり、素晴らしい言い訳を作るためにはそれなりの労力がかかるのです。その分のお金は私といたしましても頂きたいと思っております。】


 とはいえもう、0時を回ろうとしている。いまさら後戻りはできない。俺は、有料コースの500円を課金した。

【課金いただきありがとうございます!】


 ただでさえ高かった女性の電子音声が、その瞬間だけはさらに高く感じた。

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