第3話

 早速、指示の通りに自分の名前を入れてみることにした。


【名前は三上さくらだ】

【ミカミサクラ様ですね。名前の登録が完了致しました。】

「違う、サクラ。“だ”までいれなくていいんだよ。間違えてるせいでスペインの世界遺産みたいになってるじゃないか」

【それをいうならサラダではないでしょうか。】

「うるさいな。っていうか音声認識もしてるんかい」

【はい、私は言い訳代行アプリ。音声認識にも対応しております。それでは、サラダ様、現在のご状況をお聞かせください。】

「もう名前、サグラダになっちゃってるじゃん。」


 俺は一つため息をついたが、何せ時間が無い、細かいことは気にしていられなかった。


「はぁ、もういいや。明日、夏休みの宿題を出さなきゃいけないんだが、今日になってやっていない数学の問題集を見つけてしまったんだ。次に忘れ物をしたら親との三者面談を入れられるかもしれない。忘れても担任に怒られないような言い訳を考えてくれ」


【承知しました。私は言い訳代行アプリ。完璧な言い訳を考案致します。】


【案1:『数学の問題集をやりきりましたが、家に忘れてきてしまいました。』】

【数学の問題集は担任に見せなければ、やったかどうかわからないためサグラダ様と担任に信頼関係があるのでしたら、効果的な言い訳です。】


「ああ、もうその言い訳を使ったことあるぞ。そういうのって、ずっと先延ばしにすることってできずにどこかで見せなきゃいけないときが必ず来るんだよ。なんかそういうありきたりで俺でも思いつきそうな言い訳じゃなくてさ、“ 他の人と被らないような言い訳 ”を教えてくれよ」


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