第12話 恋愛イベント!二人きりのティータイム!
学園祭で生徒たちが出しているお店をまわることになって、まずは私がリストの中で丸をつけていたお店に行くことになった。
ウィリアム王子に自分へのご褒美かな?と聞かれたので、正直に両親にプレゼントを贈ろうと思っている、けれどこういったことをするのは初めてで何にすれば良いのかわからないから色んなお店を見ようと思っていると説明すると、一緒に選んでくれることになった。
ウィリアム王子は結構センスが良くていろいろ勧めてくれた物がどれもいい物だった。そんな彼と一緒にいろんな雑貨系のお店を見れたことで結果として自分一人で選ぶよりも良さそうな物を両親のプレゼントに選ぶことができた。
母親へのプレゼントはソフィアが元々アクセサリー系を贈りたいと思っていたので、ソフィアの記憶の中の母に似合いそうな桃色の花の髪飾りにした。
父親へのプレゼントはウィリアム王子の実用的な物がいいんじゃないかという意見を取り入れさせてもらって男性が持ってもおかしくないデザインのハンカチにした。
自分的にも満足のいく買い物ができて本当に良かった。プレゼントを贈る相手は自分の本当の両親ではないけれど、ソフィアにとって大切な両親だからしっかりと選んであげたかった。
私の用事以外に他にも色々なお店を巡った。ウインドーショッピング的な感じて見ただけのお店もあったし、ウィリアム王子が何か良いと思う物があったのかいくつか購入していたお店もあった。
今彼が大事そうに握っている紙袋に、丁寧に包まれた物が入っている。それが彼の買った物だ。誰宛なのか気になるところだが、聞くなんて無粋なことはできなかった。
お互いに興味のあったお店を巡り終わると、ちょうど昼食の時間になっていた。
昼食はそれぞれの好みのところを交互にまわり食べ物をいくつか買って空き教室まで持っていって二人で食べることにした。
名前だけではあまりわからなかったので、実際の物を見て美味しそうだなと思た物を中心に買った。
例えば
謎のお肉の串焼き(味は豚肉、見た目は牛肉で頭が混乱した)、
球体の粉もん(キャベツみたいな野菜が入ってて球体のお好み焼きだった)、
焼きそば(これはソースじゃなくて塩焼きそばだった)、
あと甘いものとして一口サイズのカステラ詰め合わせみたいな感じのものを選んだ。
結構量が多めだったのでウィリアム王子と分け合って食べることにして、お金もしっかり割り勘した。払ってくれると申し出てくれたけど、払わせるなんて申し訳ないかそこはしっかりと断った。
そうしたらちょっとだけ好感度が上がった音がした。良い手応えだね。
昼食の話に戻ろう。買った食べ物のお味としては、ちょっと見た目と味の差に混乱したけどどれもとても美味しかった。私としては満足のいく味だった。
王城で美味しいものを食べて育ってきたであろうウィリアム王子はどうなんだろうと心配したけど、良い出来だねと言っていたのでそれなりに満足したんだろうと思う。
それよりも毎日見てて思ったけど、食べるところまで洗練されていて絵になるのだから王族というのは本当にすごい。ルーカス王子もそうだったし、何か特殊な訓練でも受けているのだろうか。
昼食が終わると午後の部になる。主食主菜系の食べ物を出しているお店は店終いをして、明日に備えるようだ。そしてその代わりにそこに飲み物や甘い物のお店が並ぶらしい。
私とウィリアム王子は満足するまで食べたし買い物も終わって、お店も一通り見て回ったから午後は魔道具部門の大会の展示物を見に行くことにした。
少し前に学園祭は大会も兼ねているみたいな話をした気がする。
今日は非戦闘系である研究開発部門の大会が開かれている。薬学部門や魔道具部門、絵画部門などなどがそれを展示するのに適した教室を貸切にして展示されている。それを見に専門家の先生や教授みたいな人たちが今日だけ学園への立ち入りを許可されるようだ。
だから今日はお店が多いんだなと納得した。
さて、大会の見学だが、薬学部門は編入してきて一ヶ月しか経っていない私には難しい内容なのでウィリアム王子オススメの魔道具部門の展示室に行くことにした。
結論を言うとすごかった。
魔道具の仕組みは全くわからなかったけど、そのどれもが元の世界の家電や便利グッズに似た見た目や性能の物だった。
日本人が考え作ったゲームだからそういうところにちょっと日本を感じることができて私は嬉しい気持ちになった。
魔道具部門の展示室はあまり人気がないのか、それとも興味のある人は午前中に全て見切ってしまったのかほとんど人がいなかった。他の展示室にはそれなりに人がいたのに。
魔道具部門の展示室にいたのは、それを評価する先生や専門家だけだった。その人たちもウィリアム王子を見ると驚いて手を止めお辞儀したり挨拶しにきたりとするのであんまりゆっくり見ることはできなかった。
あまりにもその人達の圧がすごいのだ。私の発明の話を聞いて欲しい、知って欲しい、あわよくば支援してくれなんて下心がみえみえなのだ。
ウィリアム王子が可哀想に思えてしまったのはここだけの話。
さて、ある程度見終わって今日できることはほとんどなくなったので解散かな?と思ったらウィリアム王子にはもう一箇所行きたいところがあったようで、私はまた差し出された手を取ってその場所へ向かった。
***
私がウィリアム王子に連れてこられた場所は、学園の敷地の端の方にある温室だった。温室の中には見たことのある花から不思議な見た目をした花までいろんな花が咲き誇っていた。
温室の隅っこにあるにガーデンテーブルとチェアのところに案内された私達は向かい合うように座った。元から来る予定だったのかここに座ってすぐに給仕の人が飲み物とお菓子を持ってきてくれた。そしてさっと立ち去った。
学園内で給仕の人を見たことがなかったからもしかしたらウィリアム王子が呼んだ人なのかもしれない。
それにしても、どうしてここに連れてきたんだろうと考えているとウィリアム王子に飲み物をすすめられた。美味しそうだったのでありがたく頂戴することにして、紅茶のようなその飲み物を一口口に入れた。
にがい!なんだこれ?!
そう思ったのが顔に出ていたのだろう。ウィリアム王子がふふっと笑った。
「ソフィアは紅茶は初めてかな?」
「は、はい!」
「初めてなら少し苦く感じるかもね。でも、甘いお菓子と一緒に飲むならこのくらいがちょうどいいんだけど、無理して飲まなくても大丈夫だよ。」
「すみません、ウィリアム王子...」
「気にしなくていいんだよ、誰にだって得意な物や苦手な物があるものだからね。君にとってその中の一つが紅茶だった、それだけさ」
「ありがとうございます、ウィリアム王子」
折角出してくれた飲み物を飲めないのは申し訳ないけど、びっくりするぐらい苦かった。
元の世界では普通にコーヒーとか紅茶とか飲めていたのに。ソフィアの身体に変わったからその影響なのかもしれない。そういえば、ゲームのソフィアは甘い物が好きそうな描写があったななんて考えながらマカロンを口に運ぶ。
うん、ちょうど良い甘さですごく美味しい。こんなにもマカロンが美味しいと感じることができるなんて!今まではあまり好きではなかったけどこのマカロンは本当に美味しい!
「ウィル」
マカロンの甘さに感動しているとウィリアム王子からそんな単語が飛び出てきた。ウィルというのはニックネーム的なものでは?
「え?」
驚きのあまり無礼に当たりそうな言葉で返してしまった。聞き間違いではないだろうか。
「ウィルでいいよ。君にはそう呼んでほしい。ダメ、かな?」
「だめ、ではないですけど...
私なんかが恐れ多いと言いますか......。」
「“私なんか”じゃない。君だからそう呼んでほしいんだよ、ソフィア。
ウィルという名は家族や仲のいい友人に呼ばれているものなんだ。だから私は君にもそう呼んでほしい。ソフィアともそれくらい仲良くなれたと思っているから。
もし、他人の目が気になるなら二人の時だけでもいいんだ。どうかな、呼んでくれるかい?」
【ウィリアムの申し出を受け入れますか?
①はい ②いいえ
①を選ぶと好感度が上がります
②を選ぶと好感度が著し下がります】
お、久しぶりの選択肢だ。ここのところあんまり重要そうなイベントもなくて選択肢もほとんどなかったんだよね。
断る理由もないし①でいいと思うけど、それにしても一ヶ月経ってもまだ新しい要素がこのシステムにはあるんだなと感心した。
ヒントまでくれるなんて本当に親切設計だ。好感度を下げる必要なんて今のところないので選びはしないがそういうのを教えてくれるのはすごく助かる。今後も教えてもらえると嬉しいけど多分そう上手くはいかないんだろうな。
まぁ、とりあえず①で!
「ではウィルと呼ばせていただきますね!私もウィルと仲良くなれたみたいでとっても嬉しいです!」
そう返すとすごく嬉しそうな顔をした。
本当に綺麗な顔だなぁなんて見つめていると、気がついた時にはその顔が目の前まで来ていた。
「?!」
今まで一ヶ月間一緒に食事を取ったり、二人で歩いたり、図書館で勉強したりしてきたけどここまで物理的な距離が近いことはなかった。
驚きのあまり固まっていると口元に指がすっとあたり何かを拭うような動きをした後指をぺろっと舐めた。色気が...じゃない!え、顔に何かついてた?いやそれ以前に近い!!
「ウィ...ル...?」
「ソフィアは小動物みたいだね」
そう言ったウィルは何事もなかったように紅茶のカップを手に取って優雅に飲んだ。
私がぽかんとしてると、彼はまた話し始めた。
「明日の学園祭は魔術大会があるのは知っているだろう?各クラス最低でも一人は出場するように定められているんだ。私たちのクラスは私が出場することになってね、あとマーカスも腕試しに出るようにと言っておいたよ。
ソフィアたちのクラスはルーカスが出ると聞いたよ。ルーカスはあまり戦うのが得意ではないのだが選ばれたからには頑張ると言っていてね。彼の頑張りを兄としてしっかり見届けてあげたいところだけど私も出場するからね、残念だよ。
私のもう一人の弟のノアもね、出たがっていたんだけれど、あの子は生まれつき身体が弱くてね、母である王妃に出ないようにと強く念押しされて出場できなくなってしまったんだ。入学前からすごく悲しそうにしていたよ。大会は魔術大会だけというわけではないのだから、他の何かに挑戦してみればいいと私は思うのだけれどね。そうはいかないみたいだ。
そういえば、ソフィアは今年は出場しないのだろう?ルーカスから聞いたよ。君さえよければ私たちの出番だけでも観に来ないかい?私とルーカス、あとついでにマーカスの分も。
君が応援してくれれば、何者よりも勝れる気がするんだ。どうかな?私のために観に来てくれないかい?」
いつもより饒舌に喋るウィリアム王子はふわりと花が舞うように笑った。少しこちらの様子をうかがっているようだった。そんなウィリアム王子に対して、私は頷くことしかできなかった。
この時の私の思考回路は麻痺していたなと後々考えて思った。
「観に来てくれるんだね!
ありがとう、ソフィア。とても嬉しいよ。
この世界にはいろんな魔法があるからね、授業で習うだけじゃなくて、実戦で使っているところを見るのも良い勉強になるよ。
ソフィアは光属性だからあまり他の属性の魔法は参考にならないかもしれないけど、他の属性の魔法を見ることで改て自分の魔法を見返す良い機会になるかもしれないし、そこから着想を得て何か新しい魔法を思いつくかもしれない。
なんにせよ、君にとって明日の学園祭がより有意義なものであることを私は願うよ。」
そう言ったウィリアム王子が私の手を両手で握りしめた。包まれた手から彼の体温をなんとなく感じているとふと視線を感じた。
目の前にいるのはウィリアム王子だけだからその視線が誰のものかなんて考えなくてもわかるはずなのに、その時の私は誰だろうと気になって顔を上げてしまった。
そして、見えたのは美しいウィリアム王子の顔。
私が覚えているのはここまでだ。
多分、私もソフィアも、美しい顔に対する免疫をほとんど持ち合わせていないし、男性に対する耐性も持ち合わせていなかったからキャパオーバーを起こして思考が止まってしまったんだと思う。
それから何を話してどうやって解散して寮の部屋まで帰ってきたのかが全く覚えていない。
ただ、気がついた時には寮の自分の部屋のベッドに座っていて、晩御飯を食べなくてもいいんじゃないかってくらいお腹がいっぱいだったから、もしかしたら恥ずかしさのあまりマカロンをずっと食べてたのかもしれない。
ぼーっとして虚空を眺めていた私を心配して声をかけてくれたアメリアには本当に感謝しかない。
ありがとう、アメリア。また何かお礼をするね。
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