セレスティナ王国 誕生秘話

むかしむかし、


この世界せかいには女神めがみより知恵ちえさずけられた


人間にんげん亜人あじん魔人まじんの人々がらしていました。


はじめは仲良なかよらしていたかれらだったが


ある日突然とつぜんいかくるった魔獣まじゅう


人間と亜人の領地りょうちに め入りました。


人間と亜人はこれについてそれぞれ


魔人にいましたが、


彼らは知らないと返事へんじしました。


それで納得なっとくができるはずがなく


人間は魔獣だけでなく、


魔人も信用しんようならないと人間の領地への


立ち入りをきんじました。


人間のその対応たいおうを見た亜人も魔人に対し


亜人の領地に立ち入りことを禁じました。


なにもしていないのに


そのような態度たいどられた魔人は怒り


自分じぶん土地とちじこもってしまいました。


それから数百年すうひゃくねん


何事なにごともなく、


かかわりもなくごしていたある日


積年せきねんうらみをはらすために 


魔人族が人間と亜人の領地に攻め入りました。


先に攻められた人間は亜人に協力きょうりょくたのみましたが


亜人族はたすけてくれませんでした。


人間と亜人族の関係かんけい長年ながねんのすれちがいで


っていたのです。


そこからその三つの種族しゅぞくの間であらそいがえることがなくなりました。



そんな争いの絶えないある日、


人間の領地に


双子ふたごの男の子たちが生まれました。


太陽たいようのように光りかがやかみ

しげ植物しょくぶつの色のひとみの兄と


しずかな夜空よぞらのようなかみ

んだ海のように青いひとみの弟でした。


物心ものごころついた時には争いのせいで両親りょうしんのいなかった二人ふたり


争いの絶えない過酷かこくな時代を


互いに支え合いながら生きていきました。




そんななかでそだった彼らは


いつかの日にかこの争いをめたいと


おもうようになりました。


なんとかして争いを止めるいいあんはないかと


各地かくちたびしていたときに彼らは


運命うんめい出会であいをたしました。


それはつきのように光り輝く髪の女性じょせいでした。


彼女かのじょにはひといやちからがありました。


他人ひとこころ


争いでつかれ果てたからだを癒す彼女は


聖女せいじょばれ色々いろいろな人にかれていました。


そんな彼女とともに旅をし、


この世界せかいから争いをなくすために


戦場せんじょうおもむくことを二人はめました。




それからの彼らの旅は困難こんなんきわめました。


おなじ人間同士どうしでも


中々なかなか上手うまくいかないはない、


領地にははいることができても


まったくこちらの話をかない亜人族、


こちらをつけると有無うむわさず


攻撃こうげき仕掛しかけてくる魔人族まじんぞく




いくら拒絶きょぜつされても、否定ひていされても


彼らはあゆりをとめることはありませんでした。




彼らのねがいはただひとつ。


彼らのゆめはただひとつ。


未来みらい子供こどもたちが明日あすうれうことなく


元気げんきごせる世界にすること。





そんな彼らのおもいはすこしずつ


人々につたわり、


彼らと思いを共にする者たちが


一人また一人とえていきました。





そしてついに彼らの願いはかないました。


三つ種族の間から争いがなくなったのです。


それぞれの種族のなかったあと


彼らは人間の領地へとかえりました。





おのれしたがってくれた者たちをあつめて今までのおれいい、


はなればなれになる者達ものたちのこれからの未来が


良きものになるようにとげそのろうとした。




しかし、かえるところがもうなかった者や彼らに忠誠ちゅうせいちかっていた者達は


その場を去ろうとしませんでした。


そして、そのなかの一人が代表だいひょうとして彼らに告げました。


われらのおうになってくれ”と。





彼らはなやみました。


人々をみちびいてきたとはいえ、


自分たちはひとうえうやまわれるべき存在そんざいではないと思ったからです。





そしてなにより、兄は聖女に、聖女は兄におもいをせていました。


しかし、三人さんにんなかこわしたくなかった二人ふたりは己の気持きもちにふたをし、


ここでわかれもう二度にどわないつもりでいたのです。




弟は二人が想い合っていることを知っていました。


そして自分を思って、気持ちを告げずにわろうとしていることも


さっしていたのでこれをいい機会きかいだと考え、自分の考えをつたえました。




おれは兄さんが王になるのがいいと思う”




あいしてやまない弟に背中せなかされた兄は心を決め、


聖女に想いを告げました。


そうしてばれた二人は、まわりに祝福しゅくふくされ、のぞまれてくにおこしました。


それが今のセレスティナ王国おうこくだとされています。





聖女さまはたみあいたみあいされる王妃おうひに、


双子の兄は民の良い手本てほんとなる国王こくおうになったと言い伝えられています。


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