第346話 二連戦

 カップスとの二連戦の後、ライガースとの二連戦がある。

 この四試合がレックスにとっては、ペナントレースの行方を左右するものであることは、容易に想像された。

 一時期は相性が悪かったカップス相手でも、ここ五試合では勝ちこしている。

 投げるピッチャーも塚本に三島と、確実に一つは取るような組み合わせであった。

 レックスが色々と考えているように、カップスも当然ながら考えている。

 クライマックスシリーズのファーストステージで、当たるのが嫌なのはどちらか、といった感じである。


 ファーストステージは、三試合で二勝した方が勝ち。

 ファイナルステージはペナントレースを制した側に、一勝のアドバンテージがある。

 カップスとしてはまず、相手チームの投手陣を考える。

 直史の不敗神話以外にも、三島にオーガスに百目鬼と、この四人でポストシーズンの先発は回すだろうと予想される。

 去年は木津が活躍したが、今年はそこまで安定していない。

 それに加えて磐石のリリーフ陣。

 二勝するのはかなり難しいだろう、というのがカップスの首脳陣の考えである。


 ただライガースが相手となればどうであろうか。

 明らかに得点力の高いライガースは、カップスの計算を上回る可能性が高い。

 だが大味な攻撃に加えて、投手陣もある程度はレックスより数字が劣る。

 FA移籍してきた友永が、完全にエースとなっている状態。

 爆発力は高いのだが、安定していない。

 逆にカップスがある程度の点を取っても、それ以上に点を取ってくる可能性がある。


 レックスとライガース、どちらが短期決戦に向いているか。

 アドバンテージを渡しても、逆転の可能性があるのはどちらか。

 ほぼ確定で落とす、直史の試合があるレックスを相手にするか、強力打線のライガースを相手にするか。

 データから計算は出来るのだが、その数字はあくまでもデータを平均的に取ったものだ。

 これをさらに勝負強さといった、目に見えにくい数字も含めて考える。


 レックスと戦った場合、直史に負けてしまい、残り二試合を両方勝たなければいけない。

 ファイナルステージで当たった場合、直史が二試合に投げてくる可能性がある。

 残りの四試合を全て勝つしかなく、一試合引き分けがあっても日本シリーズには進めない。

 ライガース相手であれば、どの試合でも下克上は起こりうる。

 それはファイナルステージで当たっても、同じことである。

 クローザーはともかくリリーフ陣がやや弱い。


 やはりファーストステージでレックスと当たる方が、最終的に日本シリーズに進出できる可能性は高い。

 もちろんどちらと当たっても、データでは勝ち上がる可能性は低いと出てしまう。

 それでもせっかくAクラス入りしたのだから、日本一を目指すのは当然だ。

 日本シリーズまで勝ち進めば、本拠地の新広島球場でも試合が行える。

 地元に落ちてくる経済効果は、馬鹿にならないものであろう。


 このカップスの計算を、レックスの方もライガースの方も、おおよそ推測は出来るはずだ。

 もちろんだからといって、ライガース戦をわざと負けるかというと、そこまで露骨にはしない。

 せいぜいやるとしたら、レックス戦はちょっと厳しくピッチャーを使い、ライガース戦は無理な選手起用をしない。

 どのみち三位は決まっているのだから、アウェイでどちらも勝っていかないといけない。

 苦しい立場なのはそうであるし、首脳陣でこの方針は共有しても、選手たちには伝えない。

 それに下手に洩れると、八百長と勘違いされてしまうかもしれない。

 半ヤオに近いと言われれば、そうかもしれないとしか言いようがないが。


 


 レックス陣営は間違いなく、カップスと対決するややこしさを理解していた。

 ライガースに比べてレックスは、ピッチャーにその戦力の比重が大きくかかっている。

 そのためポストシーズンでは、レギュラーシーズンよりも無茶な、ピッチャーの使い方をしていく。

 直史に先発をしてもらった翌日あたり、クローザーもしてもらうかもしれない。

 また中六日という登板間隔は、さすがに守れないとは直史も理解している。

 ポストシーズンで全力を出すために、レギュラーシーズンはローテを守る。

 若いうちはともかく、年を取ったらコンディション調整も大変なのだ。


 筋肉の出力は案外衰えない。

 だが軟骨や骨の骨密度に耐久力、腱や靭帯の柔軟性は、どうしても若い頃よりも失われていく。

 綿密なウォーミングアップをして、クールダウンも行う。

 それでも疲れを取るのに、二日では足りない。

 メジャーではもう投げられないな、と思う理由である。

 野手ではあるが大介も、メジャー12年間のうち全試合出場したのは、7シーズンだけである。

 もっとも長めの離脱をしたのは1シーズンだけであるので、これぐらいは普通のことなのだが。


 直史が離脱したら終わる、というのがレックス首脳陣の共通認識である。

 戦力的にもそうであるし、実績的にもそうである。

 去年のポストシーズンでも、直史はクライマックスシリーズでライガース相手に二勝している。

 三島と百目鬼は負けたし、オーガスも勝ち投手になれなかった。

 データの少ない木津が勝ったので、今年はそれほどの数字は残せないだろう。

 今年のシーズンはほぼ、完全にローテで投げて、データを取られているからだ。


 カップス戦から続くライガース戦に、直史は帯同していた。

 これまでなら自分の投げるライガース戦だけに帯同する、という選択をしていたかもしれない。

 だが直史は冷徹ではあるが薄情ではないので、最低限の協力はする。

 ブルペンで見守るだけでも、リリーフのピッチャーを助けることが出来る。

 試合前の練習にしても、第一戦の塚本の様子を見ていた。

 しかし考えているのは、自分の試合のことである。


 カップス戦の後、ライガースとの二連戦。

 これで今年のライガースとの、レギュラーシーズンの対決は終わる。

 移動距離はさほどでもないし、休養日で移動することが出来る。

 登板間隔もおかしくないので、問題なく投げられるだろう。

 考えなければいけないのは、その時点でライガースとの差がどうなっているかだ。

 第二戦目は百目鬼が投げるので、この間のように打線が調子を落としていたら、しっかりライガースに勝てる可能性はある。

 そんなライガースはタイタンズとの二連戦の後、甲子園に戻ってくる。


 八月の終了時点では、レックスにほぼ決まりと言われていた。

 だが九月に入ってから、レックスはここまで負け越している。

 オーガスと左右田が離脱したことが、分かりやすい原因ではあるだろう。

 そして主力の故障というのは、ここからも起こりうることであるのだ。


 MLB時代などはよく、ピッチャーがポストシーズンで酷使されて、以降の調子を落とすというのを見た。

 普段は100球の球数制限を、厳密に守るのがほとんどのチームである。

 しかしポストシーズンはそれとは逆で、特にワールドシリーズともなれば、チャンピオンリングを獲得するため、エースが全力で投げてくる。

 そういったピッチャーが本当に、以降の大形契約期間、全く活躍できなくなるということは、本当にあるのだ。

 シーズンに対する考え方が、NPBとMLBでは全く違う。

 日本のポストシーズンはまだしも、試合数が少ない方なのだ。




 ライガース首脳陣も色々と、考えることが多い。

 自力優勝が消滅しているのだから、残りの試合をもう全部、勝つつもりで戦うのが前提である。

 しかしそれでも、負ける可能性が高い試合は、捨てていく必要があるだろう。

 具体的には直史の投げてくる試合である。


 ローテをそのままにするなら、友永がここで先発することになる。

 しかし今のライガースの先発陣の中で、一番勝利に貢献度が高いピッチャーを、当てていくべきなのか。

 確かにわずかでも勝つ可能性を出すためなら、一番のピッチャーを当てるべきだろう。

 だがそれよりもこの試合は捨てて、他の勝てるかどうか分からない試合に、友永を使うべきではないか。 

 幸いと言うべきか、ライガースのファンというのは、試合の勝敗もそれなりに気にするが、スカッとした試合を見ることを好む。

 スカッと負けてしまって、他の試合に勝った方が、首脳陣としては計算が立つのだ。


 友永以外に誰を使うのか。

 もちろん畑や津傘は勝てそうな試合に使うし、ローテの間隔で使えないピッチャーはいる。

 中五日であるが、大原を使うか。

 桜木をまた先発に持ってくるというのもありかもしれないが、今季はもう一年目で充分に、プロの怖さを知っただろう。

 直史に当ててしまうと、完全に心が折れてしまうかもしれない。

 その程度で折れるな、と言えないのは同じピッチャーだった山田だからである。


 プロの洗礼を何度も受けたから、あのピッチングを見ても耐えられた。

 また社会人からのプロ入りということで、即戦力だと自分に言い聞かせたものだ。

 だがあの時代、上杉や武史はそうでもないのだが、直史のピッチングを見せられて心が折れたピッチャーは多い。

 別にプロ生活において、直史とばかり対戦するわけでもないのに。

 バッターで心が折れたのが意外と少なそうなのは、大介がいくら抑えられても、立ち向かっていった姿を見せたからだろうか。

 どのみち最初の二年間だけしかNPBにいなかったのは、むしろ同時代の選手たちにとっては幸いであったろう。


 ここは大原を使う。

 今年限りで引退と口にして、トミージョンを拒否した大原。

 保存療法では一時的によくなったように思えても、根本的な治療にはならない。

 本人も球が行かないことには気付いているが、それでも経験の蓄積で、どうにかイニングを誤魔化している。

 なんだかんだと今年も、勝ち星を五つも増やしたのだ。


 サウスポーならともかく、大原は右腕のピッチャーであった。

 それがここまでしっかりと長く投げたのは、工夫がかなりされたことによる。

 若い頃は本格派であったが、球威だけに任せるピッチングでもなかった。

 上手く技巧派に転向したことが、ここまで長くやってこれた理由であろう。

 そして今もこのギリギリの状況で、チームに頼られることとなっている。


 大原としてはこのローテの変更も、そのまま受け止めた。

 つまるところライガースの優勝の可能性を残すため、直史相手に玉砕してくれということだ。

 若手にやらせるには辛い役目で、だからこそ今年で引退の大原が、この役目を任されることとなる。

 残りの日程を見てみれば、おそらく大原がレギュラーシーズンで投げるのは、これが最後になるであろう。

 またポストシーズンも投げるとして、それは敗戦処理の試合になる可能性が高い。

 もしくは直史相手に、捨てる試合の先発として、また使われるか。


 ライガースがペナントレースを制しなければ、これが大原の甲子園での、現役最後のピッチングになるかもしれない。

 引退試合をするとすれば、おそらく来年のオープン戦になるであろうか。

 もっとも先発の調整が上手くいかなければ、まだ投げることになるだろうか。

 しかし本当の調整というのは、一軍の試合で投げていかなければ、上手く行かないであろう。

 やはり70人枠の関係もあるし、今年で大原は引退なのである。


 その最後の試合が、甲子園で直史相手となるなら、大原としてはむしろ望ましいものだ。

 結局は高校時代、甲子園への道を阻み続けた白富東。

 その甲子園で自分は、最後の先発として対決するわけだ。

 実力差は痛感しているが、これは大逆転が期待される場面ではないのか。

 甲子園というのはそういう場所なのだと、大原は思っている。




 レックスとの直接対決の前、まずはタイタンズとの二連戦。

 この試合は純粋な、点の取り合いになっていった。

 かといって双方が二桁得点などという、極端なまでの打撃戦というわけでもない。

 シーソーゲームになって、ややライガースが有利に試合を進めたのだ。


 タイタンズはもう今年、ポストシーズン進出の可能性はない。

 だが本拠地のドームでの試合なので、選手個人は自分の成績を、しっかりと残すために全力である。

 もっともピッチャーは、壊れない程度に全力という具合であろう。

 今の時代は何をしても、リリーフ投手以外はタイトルすら取れない。

 今年は武史が途中で長期離脱したので、奪三振のタイトルも直史が取れる。

 意外と言ってはなんだろうが、NPBで奪三振のタイトルを取るのは、今年が三度目になるであろう。

 一年目は上杉と武史がいたし、復帰後も去年は武史にこのタイトルは取られていたのだ。

 むしろMLBの方が、これらのタイトルは取りやすかったのは、リーグが違ったため。

 サイ・ヤング賞もリーグ別に存在したのだし。


 現代では本当に、投手五冠の内容の中で、完封勝利が一番難しい。

 MLBなどでも完封はおろか、完投勝利さえ珍しくなっているのだ。

 それこそサイ・ヤング賞を取るようなピッチャーでさえ、シーズンに三度程度であろうか。

 直史は今年既に、18回の完封勝利を遂げている。

 MLB時代などは勝った勝利の全てが、完封であったというシーズンが一度ある。

 プロ入りからこちら、全てのシーズンで二桁完封勝利。

 直史は実働期間が短いだけに、逆にそのクオリティがとんでもなく高くなる。


 投手五冠などというのは、沢村賞よりも珍しい。

 だが上杉は、何度も達成している。

 ただ武史のプロ入りにより、最高勝率と最多奪三振、最優秀防御率はどれかが取れないことが多くなった。

 また直史がプロ入りした年は、最多奪三振以外の先発タイトルを取っていった。

 他には大原が、最高勝率のタイトルを一度、さりげなく取っていたりする。

 怪物がほぼ同世代に集中したという点では、上杉は不運であったのか。

 もっともその二人は、MLBに行ったので、結局は上杉の時代が長く続いたが。


 対して大介には、競争相手がいなかったと言える。

 タイトル争いのためにシーズン終盤、敬遠合戦になることがなかった。

 むしろ歩かされると、盗塁の数を増やしてしまう。

 だからこそ勝負されることが多かった、というのは確かに言える。

 最初のライガース時代は四番に、金剛寺や西郷がいたことも、大介の勝負が避けられない理由になった。


 その大介であるが、今年もほぼ打者のタイトルの全てを、獲得する勢いである。

 しかし一つだけ、どうしても取れないタイトルがあるのだ。

 それが最多安打で、そもそもスラッガーはこのタイトルを、なかなか取れない傾向にある。

 今年も残り10試合で、173安打を打っている。

 この三割以上がホームランであるのだから、ちょっとその時点でおかしいのだ。

 かといって打率が低いわけでもなく、今年も首位打者がほぼ確定。

 ここから残りの試合が、全て四打数0安打でも、おそらく首位打者はこのままであろう。




 タイタンズはタイタンズで、悟がほぼ三ヶ月の長期離脱をしていながら、20本塁打に届きそうである。

 プロ入り以来続いている二桁本塁打は、まだまだ続いていく。

 ただ膝の調子はあまり、いいとは思えない。

 どのみち悟は今年、規定打席に到達しない。

 それでも復帰してからしっかりと、打点を増やし続けている。

 来年もこのまま、主力として残留するだろう。

 離脱期間が多くても、こんな数字を残していては、タイタンズもちょっと年俸の削減などしづらい。


 サードを守っているが、これがパならDHになっているだろう。

 もっとも平均的なサードとして見れば、充分に守備の貢献度もある。

 守備負担がどうしても苦しくなれば、またパへの移籍もあるだろうか。

 悟は行使していないだけで、FAの権利はずっと保留しているのだ。


 大介は直史と違い、そこまで悟に対して後輩という意識がない。

 大学でそこそこ自由のあった直史と違い、大介はもう一月からプロの合同自主トレに入っていたからだ。

 もちろん甲子園の試合は、ずっとチェックしていた。

 だが甲子園はもちろん、千葉での県大会であっても、そう簡単には見に行けない。

 完全にポストシーズンが終わった後、関東大会などを見たことはあるが。


 現在はスラッガーであるが、30代の半ばまでは、むしろ樋口のようなバッターであったと言える。

 しかもバッティング能力に走塁も、樋口よりも優れたバッターであった。

 実際にトリプルスリーの回数は、樋口よりも多い。

 だがタイタンズに移籍してくるまでに、大介はMLBに移籍してしまった。

 なので対戦することも、お互いが全盛期をすぎてからのものとなっているのだ。


 大介が悟を見ていて思うのは、エゴイスティックなプレイが少ないな、ということである。

 これは良い意味でも悪い意味でも、そういうことなのだ。

 その場で試合に勝利するために、より確実な方を選ぶ。

 もちろん大介も勝利を狙うが、そのための方法はホームランがいいだろう、と考えるのだ。

 単打でいいと考えれば、スイングが弱くなってしまう。

 もっとも大介はチャンスで回ってくると、ほとんど敬遠されてしまう。


 第一戦は二打席で一安打、打点が一。

 ただし盗塁も一つ加えて、ホームを二回踏んでいた。

 試合も8-6でライガースが勝利。

 とにかく勝って行くというライガースの方針が、しっかりと発揮されている。

 試合をしながらも、他の球場での動向は気になった。

 カップスがレックスに勝ってくれるか、というところである。

 ほぼ互角の展開のまま、終盤に突入。

 そして最終的に、レックスが決勝点を奪って、第一戦を勝っている。

 これで勝率の差は縮まらない。




 レックスはレックスでもう、総力戦に入っているのだ。

 3-3で迎えた七回、同点の場面ながら勝ちパターンのリリーフを投入。

 この数試合休んでいたということもあるが、このシーズン終盤になって、さすがに前提条件を変えてきた。

 先発の塚本がなかなか、いいピッチングをしていたというのもある。

 勝ち投手になったのは、七回を投げた国吉であった。


 第二戦は三島が投げる予定なので、こちらでも試合は終盤にもつれ込む可能性が高い。

 同点ならもちろんビハインドでも一点差なら、投入される可能性はあると、事前にリリーフ陣には言ってある。

 ただこのあたり、首脳陣も苦しいところなのだ。

 もちろんペナントレースは、勝ってしまいたいのがチーム全体の意識だ。

 しかしここで無理をして、たとえば大平か平良のどちらかが離脱でもすれば、クライマックスシリーズを戦うのはものすごく厳しくなる。


 カップスとの二連戦の後は、休養日があってライガースとの対戦。

 だがここで第一戦を投げるのは、直史なのである。

 よほど球数が多くでもならない限りは、リリーフを使うことはないだろう。

 そもそもライガース打線相手であると、今の鉄壁のレックスのリリーフ陣でも、逆転される可能性はそれなりにある。

 ここまでに勝ちパターンのリリーフが、逆転されて負けたり、あるいは決勝打を打たれて負けた試合は、わずかに五試合。

 カップスとの引き分けの試合も、三人で3イニングを無失点に抑えた。


 終盤勝負ならば、レックスは強い。

 先発に加えて、国吉が復帰してから六回に、須藤が入るようになったのが大きい。

 それほど多くはないが、この1イニングをしっかりと抑える。

 また同点の場面でも、須藤が使われることは多くなった。


 ライガースとの試合を前に、このカップス戦をもう一つ勝つ。

 そうすればライガース相手でも、かなり楽な展開になるだろう。

 本当にこの、第一戦の勝利は大きかった。

 ライガースもタイタンズとの試合を勝っているが、差はそのままなのである。


 アドバンテージがほしい。

 アドバンテージさえあれば、最悪直史が三勝して、日本シリーズに進める。

 さすがにもう若い頃のようには、などと年寄り仕草をする。

 だが42歳のこのシーズンが、前の2シーズンと比べても、各種数字は上がっている。

 衰えた詐欺はやめてほしい、と事情を知らない外の人間は、よく言っている。

 もちろん本人はそんなもの、全く無視しているのである。

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