八章 ファイナル
第156話 同年代
クライマックスシリーズも、ファイナルステージを迎える。
もういつ終わりになってもおかしくない、そんな年齢に直史と大介は突入している。
二人の勝負を見たいがために、集まってくる野球ファンはいる。
そこまで熱心ではなくても、この対戦なら自然と伝説になるだろうと、勝手に思って集まってくる。
第一戦は絶対に落とせないと、レックスは思っている。
直史は普段通りに投げれば、問題なく試合には勝てるだろうなとは思っている。
問題になるのは二戦目以降だ。
ライガースは計算できる先発を、三枚までは持っている。
それでに二試合目から四試合目までを勝ったとしても、五試合目には誰を出してくるのか。
六試合目にはおそらく、自分が投げられるだろうな、と直史は思っている。
第六戦までもつれ込んだとしても、日本シリーズまでには四日間の間隔がある。
ならばそこまでに休養が取れるかな、と直史としては考える。
実際のところレックスは、第六戦までに試合を決めてしまえるかもしれない。
だが逆にライガースは、第五戦までに決めてしまわなければ、第六戦を勝つのは難しい。
それこそ直史が故障でもすれば別ではあるが。
「第一戦の相手は大原選手だけど」
家庭内で普通に、夫婦の会話がなされている。
食事時にこれを聞いていて、本当に自分の父親は、怪物ピッチャーであるのだなと思う真琴だ。
「あいつも長いな」
直史としては高校時代の千葉県大会から、大原のことは知っているわけだ。
白富東がいなければ、一回ぐらいは甲子園に行っていたかもしれない。
後の実績からすると、そう判断されるのが大原である。
その実績というのは、タイトルの獲得と200勝。
だが200勝もした割には、タイトルの獲得数が少ない。
これは大原の全盛期が、ほぼ上杉と重なっていたからだ。
また上杉が故障していた二年間も、直史や武史、あるいは同じチームに真田がいたりした。
真田はたったの14年で200勝に到達した。
そして故障し引退したわけであるが、大原の勝ち星はついにその真田を上回った。
これは大原がローテーションピッチャーではあっても、裏ローテとでも呼ばれる相手のエース以外と当たっていったのが大きい。
だからといって無事是名馬、200勝に到達したのが偉大でないはずもない。
大事な試合に勝つのがエースだとすれば、大原はエースではないだろう。
しかしある程度は計算して、勝ち星を取っていってくれた。
思えば完全な同年代で、そして千葉出身である。
ライガース一筋で、今年でもう23年になるのか。
多くのプロ選手が30代の半ばには引退することを考えると、ここまで戦力として計算されたのは素晴らしいものがある。
今年も勝敗はあまりつかなかったが、立派にローテを回していた。
分類的にはパワーピッチャーで、サウスポーというわけでもない。
それがこの年齢まで働いたというのだから、本当に立派なものであるのだ。
ライガースとしてはドラフト四位で取ったので、もちろん期待はしていた。
だが実はレックスも、もっと下ではあるが支配下で、取る予定はしていたのだ。
なんだかんだと早めに一軍まで上がって、そこから20年以上。
これだけ長くいて、しかも数の多いパワーピッチャーなので、後輩に教えられることも多い。
引退したらコーチの道が開けている、と多くのライガースファンは思っているだろう。
そんな大原であるが、自分の役目は分かっている。
いかに上手く負けるか、というものである。
直史が怪我でもしない限り、自分がレックスに勝てるわけはないと判断出来る。
別に大原の自己評価が低いわけではなく、普通ならばそう考えて当たり前だからだ。
負けることは前提の上で、どう負けるかが重要なのだ。
それは去年の日本シリーズが証明している。
直史のピッチングは、まるで呪いだ。
ライガース打線の調子を崩してしまって、日本一の座には届かなかった。
今年はそれに加えて、アドバンテージの一勝もない。
ただ幸いと言うべきか、直史の圧倒的で支配的なピッチングは、明らかに去年よりも落ちている。
それでもレギュラーシーズン、一勝も出来なかったのだが。
毎年のようにと言うか、完全に毎年、ノーヒットノーランとパーフェクトを続けてきた。
オールドルーキーとしてプロ入りしたが、完全にその年から主力。
一度は怪我で引退したはずが、復帰してまたも無双。
高校時代から見てきたが、二年の春ぐらいまではまだ、人間味があったと思う。
二年の夏の甲子園で、おそらく完全に覚醒した。
そこからは公式戦で、負けた試合が一度しかないという、とんでもない完璧っぷり。
どうやったらそうなるのかと、少しだけ調べてみた結果、それは人間には出来ないことだろうと結論付けるしかなかった。
大介のバッティングもそうだが、明らかに次元の違うところで生きている。
そんなだからしまいには、魔法使いから大魔王まで、二つ名が物騒な方向に飛躍するのだ。
(あと何年……)
今年のドラフト次第では、来年きり、ということもありうる年齢と成績。
そうは思う大原であるが、なかなかライガースはローテピッチャーが新しく出てこない。
出てきたとしても安定感が、どうしてもないピッチャーが多い。
去年は20勝近くしたのに、今年は10勝がぎりぎり。
だが防御率などは悪化していない、などというピッチャーが多いのだ。
打撃のチームであるライガース。
だがプロとしては、その方が客の入りに増減が少ない。
それでも先発はどうにかしようと、常にドラフトでポテンシャルの高い選手を指名する。
しかしそれを育成しきれないというのが、ずっと弱点にはなっている。
まさにここが、大原のキャリアを活かす位置ではないか。
二軍のピッチングコーチなどを、まずは経験してもらうべきか。
あるいはその前にスカウトとして、素材を見る目を養ってもらう、というぐらいにはライガースのフロントも現場も考えてはいる。
大雑把なところもあるし、いい加減なところもある。
だが練習だけはしっかりとする。
基礎から重点的に、ひたすら己を磨いていく。
そんな大原だからこそ、長年ローテーションを守ってきたのだ。
ここまで長くローテーションを守ってきたという意味では、あるいは上杉よりも偉大だ。
凡人の中では最も非凡、とでも評するべきであろうか。
決戦開始の朝、大原は慣れた東京のホテルで目を覚ます。
高校までは関東にいたので、こちらに実家もあるから愛着もある。
だが自分の生活のほとんどは、関西に定着している。
結婚したのもあちらであるし、無難な人生を確実に歩んだ兄などもいるので、自分は関西で骨を埋めると考えるべきだろう。
「あれとまた投げ合うんだよな……」
朝からしっかりシャワーを浴びて、しゃきっとする大原である。
朝食はバイキングであるが、内容はしっかりと考えておくべきだ。
ナイターであるので、まだここから食事はしていく。
だが消化に使うエネルギーまで考えて、調整をしていくのだ。
そういったことに関しては、大原も既にベテランである。
しかし実力以上の力を出せるわけではない。
負けると分かっている試合に臨む。
そういった経験もたくさんしてきた。
それで安易なピッチングをすると、しばらくは調子が悪くなる。
結局は安定して投げることが、先発ローテを守る道。
単純ではあるが、ものすごく難しいことである。
ライガース選手団は朝食後ミーティングなどを行っていくが、予告先発で直史が投げることは分かっている。
統計的に考えて、勝てる可能性が低いことは分かっている。
0ではないが、それはこちらも強いピッチャーを出していけばの話。
全力同士で戦えば、わずかな勝機は残っているはずなのだ。
しかしここでは全力を出さず、他のところで勝つことを選んだ。
捨て試合。
クライマックスシリーズファイナルステージの、第一戦を捨て試合とすること。
これはとんでもない賭けであるが、計算上はこれが一番、日本シリーズに進出できる可能性が高くなる。
あとは直史が、去年のような無茶な間隔で投げてこないことを祈るのみであるが、そこは大介もないだろうと感じている。
おそらく今年も沢村賞を取るだろうが、それでもキャリアの中では一番微妙なシーズンだ。
ノーヒットノーランやパーフェクトといった、完全に支配的なピッチングが少なくなっているのだ。
出ているヒットも、ポテンヒットや内野の間を抜けていくような、運の悪いヒットが多い。
だがそれでも、去年まではそれすらほとんどなかったのだ。
無敗ではあるが、絶対ではなくなっている。
大介はそれを感じているし、大原なども付き合いが長いので、その大介の感覚が分かる。
意外と理論的ではあるが、直感を信じている。
それが外れることは滅多にない。
実際に球速の平均は、去年に比べれば下がっている。
大原に勝つことは、本当に求められていない。
とにかくイニングを投げて、リリーフ陣に負担がかからないようにしてくれればいい。
ピッチャーを休ませるための大原の先発。
だが100回ぐらい戦えば、一回ぐらいは勝利の可能性も出てくると思うのだ。
ライガースの打線というのはそういうものである。
その一回を最初に引けるかどうかが、野球というスポーツだ。
普段は統計を使って勝負をしていきながら、いざという時にはその統計の裏を書く。
勝負というのは野球に限らず、そういうものであるだろう。
将棋のような確実な最適解があるのなら、また話は別である。
しかし野球はまだしも、麻雀の方に近いものだ。
勝率を上げることは出来ても、最適解で勝利出来るとは限らない。
一発勝負の高校野球のトーナメントは、意図的に大番狂わせが起こるようなシステムになっている。
プロ野球でもある程度、大番狂わせはあった方が面白い。
だがそればかりというのも、今度は強さが分からなくなってくる。
結果も楽しむが、過程も楽しんでいくスポーツ。
野球は日本人の気質に、それなりに合ったものであるのだ。
(まあホームラン一発で最高四点入るスポーツだしな)
大原はともかく直史は、そんな状況にさえ陥らないピッチングをしているわけだ。
ただ大介の目から見ても、今日の試合はそれほど絶望的なものではない。
確かに勝てる可能性は少ないが、大原はこの数年、大崩れするピッチングがほとんどないピッチャーだ。
そして直史は油断というわけでもないだろうが、大原からなら何点か、味方の打線が取ってくれると考えるだろう。
それは期待ではなく期待値であるが、微妙に油断にもなりうる。
直史が油断しなくても、キャッチャーやベンチは油断しかねない。
ライガースの首脳部がどう考えているかは分からないが、これは直史に勝つための微妙なバランスの起用だと思う。
昼食後、試合前の練習時間で、大介は大原とそんなことを話していた。
ライガースが先攻のこの試合、まずはこの時点でチャンスである。
レギュラーシーズンの直史であれば、ここはいきなり申告敬遠もありうる。
舞台が甲子園でないので、観客の野次も少ないと思えるからだ。
だが去年のことも考えると、第一戦は圧勝を狙ってくる可能性が高い。
試合に圧勝するのではなく、打線に圧勝するのだ。
そうすれば残りの試合、直史でなくてもライガース打線は、委縮してまともに打てなくなってしまうかもしれない。
「逆のこともありうるんだよな」
大介は付き合いが深く長いので、直史の性格の二面性も知っている。
「一点や二点は取られてもいいから、三試合に投げるペースで投げてくる」
「まさかそんな」
と言いつつも、大原は直史の起こした奇跡を、何度も見てきた。
去年とは明らかに衰えたはずの直史。
それでも上限値が、ほんのわずかに下がったのみ。
その値が、他のバッターが届くものであるのか。
以前から少し、条件によっては届いていたのが大介だ。
しかしその大介も、、ほんのわずかに衰えている。
そしてバッターよりは、ピッチャーの方が明確な衰えは少ない。特に技巧派であれば。
正直なところこの二人は、投打の極致であるために、どちらが上なのかということは判断しにくい。
対戦成績では、試合の勝敗だけを言うのであれば、直史の方が圧勝。
直接対決だけを見ても、直史が勝っている数の方が多い。
しかしながら直史を負かすというのは、とんでもなく珍しいことなのだ。
それもあれは、負けてもいい試合ではなかった。
レギュラーシーズンの試合で直史が負けていないのは、単なる偶然だと本人は思っている。
ただ優勝を決める一戦で、負けてしまったというのはどうしようもない。
もっとも大介からしても、あれで勝ったと言っていいのか。
削りに削った上で、ようやく勝負してきたのを、狙って打ったのだ。
直史やアナハイムのベンチが勝負を回避していれば、おそらく試合には負けていなかったのではなかろうか。
それでも勝てると思ったからこそ、直史は勝負をしたのだ。
そして負けたのだから、あれは負けで間違いはない。
本人のみが納得を求めている。
野球の中でもピッチングやバッティングは、ある程度の偶然性から統計が生まれる。
その結果のみを見れば、確かに直史は大介を上回る。
しかし重要な試合に一度負けるというのは、高校野球であればそこで終わり、というものであるのだ。
神宮ではお互いに、顔を合わせることとなる。
だが試合までには、言葉を交わすことはない。
直史の場合はもう、自分には大介を完全に、封じる力はなくなったと思っている。
去年のシーズンが過酷であったため、かなり体に無理をさせてしまった。
そして回復しないダメージとなって残っている。
新しく手に入れた技術は、球速の段階的な変化。
しかしそれを含めても、もうクオリティを維持することは出来なくなってきている。
それでも最終的に勝てばいい。
もっともこのファイナルステージ、勝つのは本当に難しいと分かっている。
ただそれは大介との対決のみで、チームとしては普通に勝てるものだろう。
たったの一勝のアドバンテージが、ここまで大きくなるものなのか。
去年はそれで負けたので、今度はこちらが楽をする番だ。
直史としては、自分が二勝する。
あと一つ、誰かが勝ってくれればいい。
中四日あればポストシーズンでも、ファーストステージを経由していないだけ余裕がある。
問題はこの初戦の後に、二連敗でもしてしまった場合だ。
去年までの直史は、中一日などで投げたりしてきた。
レックスは負けたが佐藤は勝った。
そんなコメントが野球関係者の中に生まれたりもした。
ただこの言葉はおそらく、かつて上杉が三年の夏、自分は無失点ながらも決勝で負けたことから、そう言われるようになったものの流用だろう。
エースであればチームを勝利に導かなければいけない。
実際に直史は、四試合に登板して、三試合は先発で勝利した。
残りの一試合は、リリーフで無失点ながら、チームは逆転出来なかったのだ。
引き分けてそれで、クライマックスの仕様でライガースが日本シリーズに進んだ。
(二連敗でもしたら)
そうすれば直史の出番が、もっと早く回ってくるかもしれない。
41歳のピッチャーに、そこまで無茶をさせるなという話である。
だが三連敗すれば、中三日で投げるかもしれない。
結果としては同じく負けるにしても、最終戦までもつれ込むかどうかで、色々と球団経営は変わってくる。
ホームの神宮でやるので、それだけでもある程度の経済が動くこととなるのだ。
この第一戦を、どのようにして戦うかが問題だ。
一応は六試合、直史から三島にオーガス、百目鬼に木津という順番で投げさせようかという話になるはずだった。
だが三島は復帰初戦になるので、最後に持ってきたいとも言われている。
ライガースの投手陣の層を考えると、二試合目は勝てるピッチャーを並べてくるだろう。
そうすると二試合目は、微妙に勝ち星の確率が低そうな、木津を投げさせようかという話になる。
レックスの計算できる先発は、直史、三島、オーガス、百目鬼の四人。
これに一応木津も、勝ち運がついているので入れておくと、六試合目が直史となってくる。
ライガースはそれに対して、畑、津傘、フリーマンが勝てる先発だ。
ただこの三人で、残りの五試合を投げるのは厳しい。
正確には四連勝しないと、最後の試合で直史が投げてくるのは、もう想定したものになっている。
ピッチャーの運用を考えると、レックスの方が楽なはずなのだ。
しかし今年のライガースは、シーズンは全てのチームに勝ち越している。
レックスを相手にしても、直史が五勝したにもかかわらず、勝ち越してしまっているのだ。
先発とリリーフを、上手く使ったら四勝は出来るのかもしれない。
そのあたりも計算して、二試合目の先発は木津で行こう、と考えられている。
そして五試合目はオーガスというところまでが決まっている。
三島が三試合目、百目鬼が四試合目、という流れにはなっている。
ただ直史のあとに連敗でもすれば、中二日で投げられないか。
去年は中一日で投げて、リリーフの試合は連投であったのだ。
それに比べればずっと楽だ、というのは直史の考えである。
もっとも体がついていくか、それは自信がない。
本当ならばもう、去年で引退するつもりで、全力で投げきってしまったのだ。
ただ上杉から、社会に対する影響度を考えれば、野球を続けていた方がいい、などと説得されてしまっただけで。
そして実際に今年一年、それなりに投げることが出来ている。
もっとも自分の理想とするような、そういうピッチングにはほど遠い。
一試合あたりに投げる球数は、明らかに減らしてきている。
もっともそれでマダックスをしているので、衰えとは思われにくいが。
10回のマダックスに、パーフェクトが一回とノーヒッター。
これは衰えているピッチャーの、シーズン成績ではない。
だがパーフェクトにしても、完全に今年の場合が運があっただけだ。
もっともマダックスと完投数に関しては、やはり非凡なピッチャーだと言うしかないが。
数字として分かりにくい、衰えとしては奪三振率だろう。
去年に比べて一試合あたり、第三進数が平均で二個以上も減っている。
もちろんこれは去年よりも、ゴロを打たせることをより重視するようにしたからだ。
それに試合によっては九回で14奪三振という試合もある。
奪三振王は弟に任せている。
実際に今年も、このタイトルは直史は取れていない。
他の先発タイトルは、全て獲得しているのだが。
実は武史が途中で故障したシーズンしか、投手五冠は取れていないのだ。
MLBではまた別のリーグだったので、普通に取れていたが。
直史がいなければ、他のタイトルを全て、武史が取っていたというのも異常なのだ。
まさに野球の歴史において、突然に現れた特異点。
完封を狙って出来るピッチャーなど、今のプロ野球ではいないだろう。
そもそも完投することさえ、今ではほとんどないのだから。
ライバルになりそうなピッチャーは、今年は現れなかった。
ピッチャーは比較的、仕上がりが早いと言われるので、高卒などで台頭する選手もいる。
しかしながら今年、目立つほどの活躍を見せた者はいない。
なんだかんだでプロのレギュラーシーズンは、過酷なものであるのだ。
特に新人などは、いきなり先発に固定されるわけでもない。
去年の時点で、競合多数というピッチャーはいなかった。
ただ今年は高卒で、なかなか活きがよさそうなのがいるな、と直史は思っている。
果たしてドラフトで、レックスはどういう選択をしていくのか。
やはりピッチャーは何枚も必要かなとは思う。
直史の年齢を考えれば、いくら成績が突出していても、長く君臨できるわけではない。
また三島は終盤に故障があったが、それがなければポスティングを出していただろう。
どのみち先発のローテが、まだ一枚は完成していないのだ。
将来のチームのことを考えるようになってしまった。
野球界全体のことを考えて、球団のフロントがどう動くのか、気になるようになった。
引退後は野球に関わる仕事をするつもりはなかったが、フロントにならば関わってもいい。
直史はそう考えるぐらいには、野球に対する姿勢が柔軟になっている。
それはともかく、今は目の前の試合だ。
自分の体に、大きな負荷がかからない程度に、全力を出す。
最終戦にも投げることは覚悟して、あとは他の試合を誰が勝ってくれるか。
ちなみに青砥も戻ってきていて、ビハインド展開の敗戦処理を、投げる予定ではいる。
勝つための戦力にはならなくても、そういう存在も必要だ。
ピッチャーを使い切って勝つのが、野球の醍醐味であろう。
その先にある、日本シリーズまでも見据えなければいけないが。
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