第39話

「にししし……美味しから食べてごらん?」


「はぁ……」




 お姉さんに勧められるまま、僕はそのクレープとやらを受け取った。


 何かの本で読んだ事がある。


 甘いクリームも柔らかい生地で包んだスイーツ……


 恐る恐る、僕は生まれて初めてのクレープに齧り付いた。



「!?!?」




 口の中に広がる、柔らかい幸せの味。


 甘いクリームと、瑞々しいフルーツ。


 あまりの美味しさに僕は衝撃を受け、夢中で齧り付いた。




「美味しい?」


「……はい」


「えへへ、よかったよかった」




 お姉さんの問いかけに、僕はそっけない返事をした。


 でも、お姉さんは嬉しそうで、子犬を愛でるように僕の頭の撫でた。


 いつもなら嫌がったかもしれないけど、クレープが美味しすぎて、僕はお姉さんのその行為を許した。

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