第37話

 そうしてゲームセンターを後にした僕とお姉さんは、モールの中で買い物をしていた。


 お姉さんが、これからの生活で必要な物を買ってくれると言った。


 僕はあるもので大丈夫だと何度も断ったけど、お姉さんは聞いてくれなかった。


 最初はお姉さんに悪くて縮こまっていたけれど、途中から僕の物を選ぶお姉さんのノリノリのテンションに当てられて、僕も積極的に自分が使うであろう物に対して意見を述べた。


 お姉さんは人の面倒を見るのが好きなのだろうか、それとも……


 いいや、考えるのはやめておこう。


 考え出したらキリがない。


 とりあえず今はお姉さんのご厚意として受け取って、将来必ず返せるように頑張ろう。




「ねぇねぇ、この子熊の着ぐるみさ、パジャマにちょうどいいじゃない?……ね、来てみてよ?」


「……いやです」


「な、なんでよ!」


「嫌ったら嫌です」


「お願い!ほんと、一生のお願い!頼むから」


「はぁ……もう……」


「…………きゃー!かわいい!店員さん!これもくださーい!」




 これ、絶対自分が楽しむためにやってる……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る