第23話

 たしか、昨日の夜はスウエットを着ていたはずなのに……




「う〜ん? 朝〜?」


「ちょっ!? お姉さん!?」




 一度布団を剥ぎ取った衝撃で、お姉さんを起こしてしまったみたいだ。


 起き上がる事で布団は剥がれ、お姉さんの綺麗な肌が白日の元に晒される。


 まずいと思った僕は、すぐに布団をお姉さんに掛け直した。




「お、お姉さん!? なんで服きてないんですか!? か、隠してください!」


「う〜ん?」




 けれど、お姉さんは寝ぼけているようで、僕の質問にも答えず、掛けてあげた布団も捨て去り、僕に抱きついてきた。




「お、お姉さん!? ちょ、ちょっと待ってください! 寝ぼけてるんですか?」


「寝ぼけてないよ〜だからさ、あとちょっとだけ寝かせて? ね? いいでしょ? お母さん?」


「寝ぼけてますよ!? 僕はお姉さんのお母さんじゃありません!? ねぇ! 聞いてますか? ちょっ……う、うわぁー!」




 必死の抵抗虚しく、僕は悶々とした気持ちを抱えながら、お姉さんの抱き枕として朝の時間を過ごす事になった。

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