第21話
……どうやら寝ぼけているようだ。
仕方ないな、まったく。
そう心の中で思いながら、お姉さんの腕を振り解こうとする。
けれど、お姉さんの腕はまったく振り解けなかった。
人形みたいに整った輪郭。
雪だるまみたいに白い肌。
花の蜜のように柔い匂い。
そして、もの凄い力。
お姉さんの腕力は、小学生の僕の全力では到底及ばないくらいに強かった。
そうして抱き寄せる力は徐々に強まり。
いつの間にか、浴室でされたのと同じように、僕の顔がお姉さんの胸の間にすっぽり収まる形になっていた。
それは、つまり……僕は、息が吸えなくなっていた。
「う、うぅー! ゔぅー!」
「へへへ、くすぐったいよ〜!」
必死に脱出を試みるも抜け出せず。
肝心のお姉さんはまだ寝ぼけているみたいで、楽しそうに寝言を口にしていた。
ダメだ……深い眠りについている……
こっちはくすぐったいどころの騒ぎじゃないのに。
抵抗虚しく、僕の意識と酸素濃度は徐々に薄れていく。
さっきは精神的におかしくなってしまうかもしれないと言った。
けど、前言撤回。
僕はこのお姉さんに……
物理的に殺◯されてしまうかもしれない……ゔっ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます