第16話

 お姉さんのその言葉には、すごく深い愛情が込められているような、そんな気がした。


 そして、その切実な雰囲気は、お姉さんをとても大人な女性に感じさせた。


 どうして、そこまで僕に……




「へ、変な事したら直ぐに出て行きますかね!」


「う、うん! それでいいよ! へへへ」




 お姉さんの行動でさらに分からなくなった僕は、半ばヤケクソになって、そうお姉さんに言った。


 すると、お姉さんは嬉しそうにへにゃりと笑い、自分の額に当てていた僕の右手を掴み直して握手をする形に変え、言った。




「じゃあ、改めてよろしく! 狩野優人かりのゆうと君!」


「よ、よろしくお願いします……僕の名前、知ってたんですね……」


「そりゃ知ってるでしょ〜」


「お姉さんの名前は……聞いてもいいですか?」


「あ、言ってなかったっけ? ごめんごめんw ウチは〜」




 僕から手を離し、両手を後ろに組んで、眩しいような笑顔を浮かべて、お姉さんは言った。




「今日から君の【家族】になる【白金玲央奈しろがねれおな】です! 優人君! 白金家へようこそ!」

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