第7話

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃんw ほら、早く入っちゃお!」




 あまりの展開に固まる僕の手を引き、お姉さんは浴室に入った。


 そうしてシャワーヘッドを手に取り、水を出して適温に合わせると、それを僕の頭にかけながら聞いてきた。




「気持ち〜?」


「え…あ…はい…」


「お〜よかったよかった」




 正直、気持ちよいか気持ちよくないかなんて分からなかった。


 色々な感情で、頭の中がごちゃごちゃになっていた。


 気恥ずかしさ、お姉さんの体という見てはいけないものを見てしまった罪悪感、そして…


 そして何より、これから何をされるのか、自分はどうなるのかという恐怖感が僕を支配していた。


 一難去ってまた一難。


 せっかく少しは信用できるかもしれないと思ったのに、お姉さんに対する警戒心がまたぶり返してしまった。



「頭も洗っちゃおっか〜ほれほれ、痒いところはありませんか〜?」


「…………」


「……ん?あれ?どしたん?」


「あ、いえ……」


「……あっ!ごめん!もしかして本当に嫌だった!?」




 僕が黙り込んでしまうと、お姉さんは咄嗟に髪を洗うのをやめ水を止め、僕にそう聞いてきた。


 何故か、心の中を読まれてしまった。


 僕は思わず、本音を言葉にしてしまう。


 見てはいけないものを見てしまわないように、目を細めて、お姉さんの顔だけを見る。




「いや…その…僕、お姉さんの事まだあまり知らないので…少し怖くなってしまって…」


「うわっ!だ、だよね?ごめんごめん!子供だと思ってグイグイ行き過ぎた!ウチ、距離感バグってるっていつも周りから言われてて、悪い癖出ちゃった…」


「お姉さんは…やっぱり悪い人なんですか?」


「悪いって……いや、確かに胸を張れるような人間ではないかもしれないけど……」


「ど、とういうつもりで僕を…」


「ち、違うよ!ウチは君が思っているような理由で君を引き取ったわけじゃないから!なんていうかその……理由はその……上手く言えないけど……ウチは……」




 お姉さんは僕の肩を掴み、宣言するかの様に言い放った。




「ウチは君の家族になるために君を引き取ったんだよ!」

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