第3話

「じゃ、行こっか!」


「あっ……」




 しまったと、そう思った頃には時すでに遅く……


 振り解こうとするにもお姉さんの力が強くて、僕の思惑は叶わない。


 けれど諦めきれずに、藁にも縋る思いで、僕はお姉さんに聞いた。




「ぼ、僕はどこへ連れて行かれるんですか?」


「どこって、ウチだけど?」


「……ウチって言うのは、僕を買いっとった悪い大人の人達が沢山いるところですか?」




 探りを入れるように、お姉さんに聞く。


 すると、お姉さんは少し考え込んだあと、またへにゃりと笑い、僕に言った。




「何か勘違いしてるようだけど、君を買い取ったのはウチだよ?」


「……へ?」


「君のご両親の借金を肩代わりする代わりに、ウチが君を買い取りました!」


「お、お姉さんが……?」


「そうそう!だから、今日からウチは君の保護者で、君はウチの子だよ!」


「え、えぇ……」


「へへへ、今日からウチの言う事は絶対だよ〜?」




 あまりの展開に、僕はまた言葉を失った。

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