第20話 レーブユニオンコラボpvp①

告知ミスから2週間たった。

謝罪動画は少しバズったようだ。いつものライブ配信の同接数の2000人を大幅に上回る1万回再生だ。

その後の配信もあまり荒れることなく終わった。成功といっていいだろう。

でも僕に何か爆発の人みたいなイメージをつけられたのだが...まぁ、それは気にしないことにしよう。


「じゃあ、最後に...健闘を祈る」


「「「はい!(おう!)」」」


最後にそう言い最終打ち合わせを終わらせる。

上手く成功して欲しいが...どうなるか...


ーーーコラボ配信開始


「皆さんどうもこんばんは! レーブユニオン0期生、月谷レボンです! 本日はレーブユニオン内初のコラボ! ということで皆でブロックラフトのpvpをやっていきたいと思いますー! 今回はこちらの配布ワールドをお借りしてやっていきますよー!」


僕はルールについて書いたものを画面上に貼り出す。


「こちらが今回の概要になります。合計5回戦。1位4ポイント、2位3ポイント、3位2ポイント、4位1ポイント、1キル1ポイント。より多くのポイントを集めたものが優勝というものになります。鳩行為...他の人の配信に行ってOOここにいるよ! と伝える行為ですね...これも禁止させて貰います。あとは楽しむ! 一番大事なルールです。楽しんでいきましょー!」


: こんレボン

: こんレボー

: レボー

: キタ―――(゚∀゚)――――

: 匠「頑張れよ」

: 匠「呼んだ?」

: ある意味一番爆発力があるからな...期待してるぞ!

: ( ・∀・)ノよお

: 爆発力www

: ルール把握!

: 他の人潰し合わせてるだけでも勝てそうだけどなぁ

: 1キル2位フィニッシュが理想的か?


「それじゃあ、ワールドに入りますねー」


少しラグくなる可能性も考えていたがすぐ接続でき、サクサク動いている。ラグが起きた際のことも話していたが無駄になって良かった。


「あと来てないのは...タイヨウさんですね」


先に来たメンバーはチャットで話していたり、射撃場みたいな所で弓を打っている。


月谷レボンがワールドに参加しました

月谷レボン: こんばんは

山犬アキタ: ( ・∀・)ノ

南羽ペギ: 負けないよ

山犬アキタ: (´・_・`)

南羽ペギ: (・_・)

山犬アキタ: 頑張りましょう!

山内タイヨウがワールドに参加しました

山内タイヨウ: 遅れたッスー申し訳ないッスー

月谷レボン: それじゃあ、始めようか


全員揃ったのでスタートボタンを押す。

このゲームはスタート同時に武器のパックを選ぶことができる。戦士パック、弓兵パック、盾兵パック、兵士パック、なんだこれ...芸術パック?

最初は弓兵パックとやらでいいだろう。


3...2...1...start


初期位置はランダムだ。ステージは...村だな。


「ステージは村ですね。とりあえず近場の家に隠れましょうか」


え、動画映え? そんなことより勝つことが大事だろ!

僕の選んだ弓兵パックには食料10、弓、矢64本、木の剣が入っていた。他のパックのことは知らないが遠距離から戦うことしか考えられていないような中身だ。


「それじゃあ屋上に行ってみましょうか。この家は屋根が無いので他のプレイヤーが狙いやすそうです」


FPS等の戦闘ゲームでは高所を取ることが有利とされている。PVPも同じようなものだろう、多分。


登ってようやくこのバトルフィールドがどのような地形か見えた。僕はこの四角形のフィールドの南端の家の屋上に立っている。


真ん中に見えるのは...ペギか?


「真ん中に多分ペギさんがいますね。ここから弓も当たりそうですので打ってみますか」


弓を持って構えていることから誰かと戦っているんだろうなと推測する。

これなら背後から撃って漁夫を狙うことも可能だろう。


山内タイヨウは南羽ペギに撃ち抜かれた


え?


「と、とりあえず打ちます! 当たれぇ!」


ペギに向かって一直線に放たれた矢はペギに...避けられ地面に突き刺さる。

なんだあいつ! 後ろに目がついてるのかよ!


「あちゃー、避けられた上に逃げられましたね...さてどうしましょ」


南羽ペギ: mituketa


「ひぇ!」


いつぞやに体験したあの猛獣を前にしたようなプレッシャーが僕を襲う。

思わず逃げたくなるような重圧の中、冷静になろうとしながら考える。

ここから逃げても何処にも行くところはない。ここで迎え撃つ!


「む、迎え撃ちます! この家で!」


ペギが弓で牽制しようとしてくるのを僕も弓を打って阻止する。

石の剣を一瞬持っていたところを見ると弓兵パックではない。矢の一本一本が大事なはずだ。こちらの方が利がある。


「おらおらおら! あたれあたれくたばれぇ!」


次から次へと飛んでくる矢を左右に避けつつペギが段々と近づいてくる。

駄目だ! 遠距離では避けられる! なるべく近寄らせないと!


「あ、痛! 矢が刺さった! 反撃を...痛! また刺さった! ...一旦引いて回復します」


: 顔文字かわいい( ・ω・)

: 戦士か弓兵か兵士か盾か...

: 兵士と戦士って何が違うんや?

: 芸術? なんやこれ

: ペンは剣よりも強しwww

: なわけないだろwww,

: 多分羽ペンで戦うんやろ(適当)

: まーた隠れてるよ...

: #レボン動画映えを考えろ

: まぁ...勝つためだし...

: 高所いいね

: 安定でつおい

: 真ん中に誰かいるぞ

: なんだペギか

: 射て!射て!撃て!

: あ、タイヨウ死んだ

: いくら初心者と言っても早すぎでは?

: ペギ上手いのかもよ

: え、避けた?

: ありえねぇww

: 背中に目でもついてるのか?

: ごもっともww

: mituketa

: ひぇ

: ひぇ

: にぇ

: 迎え撃て!

: 籠城だぁ!

: 今どうやって当てた...?

: 走りながら撃ったよなぁ...


「食料食べてようやく回復...ってあれ、ペギさんは?」


回復している間にペギを見失った。これってヤバイのでは...?


ガチャ!


扉が開けられる音がする。もう下にはペギがいるはずだ。近接戦では持っている武器とプレイスキルの差で負ける...ここは逃げるしかない!!

この家の屋上には梯子があってこれで家の裏まで降りることができる。


「下にいますねこれ...にーげるんだよー! 降りる! 降りるぞぉ! ...ってあれ?」


南羽ペギ: mituketa


「アイエエエ!?ペンギン!?ペンギンなんで!?」


ペギが石の剣片手に突っ込んでくる。僕が弓兵を選んだということは大体予想しているようだ。


「剣を食らえぇぇ!!あぁ、 持ってるの弓だったぁ!」


想定外の事態にテンパってしまい持っているものが弓だったので弓を引くだけになってしまった。


「あーもう早く撃って剣に持ちかえて...って痛!」


急いで逃げ始めた僕に後ろから容赦なく矢が飛んでくる。


「くそ! あと一発食らったら死ぬ! ...一旦この家の後ろに隠れます...ふぅ、ペギは正面から入ったと思って家の中に入っていきましたね...この隙に正面に行って逃げましょうか...」


少しは体力も回復した。これなら奇襲をかければなんとかなるかもしれない。

ッチ! 気づかれたか!


「奥義! ヒットアンドアウェイ!」


近づいてきたら一発当てて逃げる。遠くに行ったら弓を一発打って逃げる。これの繰り返しだ。


「時間は稼げている! だからどうした!」


完璧とも思われた戦法だが相手に少しのダメージ。僕にはかなりのダメージが入っている。

やはりプレイスキルが足りないか...


「って、痛! どこから、ちょ、ヤバイ!」


月谷レボンは犬山アキタに倒された


は?


南羽ペギは犬山アキタに倒された


犬山アキタwin!!!


「はぁぁぁぁぁ???」






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