第17話 月谷レボンの配信④

ベチッ!


画面から嫌な音が鳴り、僕は大量の敵がいる広場に落ちてしまった。

木の剣しかない状態でこの敵の数はまずい...いや、配信的には美味しい展開なのか?


「は、はは、不味い展開ですね...矢が刺さっているので撃ち抜かれしまったようです」


シューー


まずい!

咄嗟に匠との間にブロックを置く。これでダメージが半減できるはずだ!


ドカーン!


「あぶな! 咄嗟にブロックを置きましたが何とかなりましたね...とても心臓に悪いですね。でもまだまだピンチです!」


目の前にゾンビ3体!

後退しながら剣を振る。ヒットアンドアウェイというやつだ。


「右に骸骨が1体いますね。イタッ! こいつ射ってきた!」


この立ち位置...このゾンビの密集度...いける!


僕は自分のキャラクターを右上に走らせる。

狙うのは...同士討ちだ。


「同士討ち狙います! 骸骨、ゾンビに射てぇぇぇぇぇ!!!」


骸骨が射った矢が...僕の真横を通りすぎゾンビにヒットする。

これでゾンビ1体は骸骨を攻撃するようになる。狙い通りだ。


「よし! 狙い通り!」


これで骸骨とゾンビ1体は僕のことを狙わなくった。

真後ろにゾンビ2体、これならヒットアンドアウェイ作戦で勝つことが出来る。

もしかしたら配信者失格なのかもしれないがやられるよりマシだ。


「おりゃぁぁぁぁぁ!! 死ね死ね死ね死ね死ねぇぇ!!」


配信者なのに死ねとはこれいかに。


「よっしゃぁ! あとはゾンビに殴られた骸骨だけですね」


どうやら骸骨vsゾンビは骸骨が勝ったようだ。普通はゾンビが勝つはずなのだがゾンビが穴に落とされて一方的に射たれたようだ。


「でもこちらも残りhpは低いですね...ブロックを掘って下から殴りましょうか」


骸骨の射線外に出てしまえば、此方側が一方的に殴れる。


「これで向こうから攻撃は出来ないですね。これで...勝利です!」


: あww

: 後ろから押されたのか...

: 木の剣でこれは辛いだろ

: これは死んだか...?

: おいおい、死んだぞあいつ

: シューーー

: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: ドカーーン!

: 昇天「匠」

: なんか強そう

: ブロックで軽減したのか...上手いな

: まだ3体いるぞ

: ヒットアンドアウェイ...

: 堅実だな

: あ、骸骨来た

: 装備ないからキツそうだな...

: 右上に飛び出した...?

: 同士討ちさせるつもりか?

: 同士討ちだぁぁぁ!!

: 成功!!

: 配信者として死ねとはどうなのか()

: 下から殴ればいいや

: 配信者とは(

: 勝利!

: 木の剣にしてはよくやった


「とにかく体力の回復です。ボーナスチェストにあった食料でも食べましょうか」


もう食料に余裕はない。次こんなに敵がいたならもう撤退だな。

さて、松明を置いて湧き潰しだ。これでもうここで敵は湧かない。


「さて、進んで行きましょうか。右と左...どっちに行きましょうか。左の方が選ぶ人が多いと聞きます。逆張りで右に行きましょうか」


どうやら行き止まりのようだ。

むぅ...外れか...


「外れですね。左に行きましょう」


2択なら外すことなんて当たり前だ。ソシャゲなら絶対外すし(当社調べ)ノーカン、ノーカン。

先に進んでいくと...あの特徴的な緑色、匠か。


「匠はヒットアンドアウェイで倒します!」


殴る、退く、殴る、退く、殴る、退く...


「ようやく敵討ち出来ました...良かったな、前の僕...」


匠に爆発されたストレスが溜まっていたようだ。何か変なことを口走ってしまったような気がする。


「鉄鉱石がありますね。あ...一個だった...切り替えていきましょうか」


運もついていないようだ。こんな時は立て続けに運の悪いことが起こりそうな予感がする。


「下に行こうと思ったら地面が遥か下にありますね。さて、どうしましょうか」


降りるために必要なブロックは持っていない。かといって降りなければ撮れ高的にも良くない上にあまり鉱石に集まっていない。

周りに何か良いものが...これだ!


「このブロックを壊したら、出来た! ブロックで塞き止められていた水が下に流れていきましたよ! これで降りることが出来ます!」


降りたらすぐ前にゾンビがいたがヒットアンドアウェイ戦法で倒す。

え? 1vs1なのにそんな戦法で良いのかって? 勝てばいいんだよ勝てば。


「おぉ! 沢山鉱石がありますよー! 鉄鉱石も石炭も、銀も! これで鉱石不足も解消です! 鉱石も集まったので帰還しましょうか。帰り道は...あれ、どっちだ」


これはブロックラフトあるあるだが洞窟に入ってしまうと帰り道が分からなくなるのだ。いくつにも分かれている道、同じような景色、帰り道を覚えておくか何か目印になるようなものを置いていないとすぐに迷ってしまう。


「あれーこの道でもないし...」


: 行った場所ブロックで封鎖すればいいんじゃない?


「それだ! じゃあこことここを封鎖しましょうか」


自分の背後をブロックで封鎖すると一本道が出来た。こうしていけば帰ることが出来るだろう。


「道は見えた! いざ行かん!」


: 左

: 右

: 左

: 左

: 右

: 俺の予想通りレボンは右に行ったな

: 左の方が良さそう

: 右外れじゃねーか!

: やはり左、左が全てを解決させる

: お?

: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: ヒットアンドアウェイ...安定だな

: 爆死してもええんやで

: 敵討ちか...

: 良かったな前世のレボン...

: 悲しみの鉄鉱石一つ

: 落下死対策いいね

: ブロックラフトの謎仕様、水に落ちたらノーダメ

: かなり鉱石あるな

: 装備作れそう

: 誰も触れないゾンビくんかわいそう

: ゾンビだから...

: 迷い始めたぞ

: あるあるやね

: 封鎖したな

: これかなり役に立つよ

: 道は見えた! いざ行かん!


「ようやく地上が見えてきましたね。地上は...夜みたいですね。早く拠点を作るか地面に潜るかでもしましょう」


ドン!

シューー


は?


ドカーーーーン!!


月谷レボンは空をみた瞬間匠に爆破された


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


: あwww

: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: 呼んだ「匠?」

: シューww

: ドカーン!!

: 悲鳴助かる

: えぇ...


「そ、それでは良い時間ですので配信を終わります。裏でアイテムは拾っておこうと思います。皆さんありがとうございました!」


爆発オチなんてサイテー!






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