第16話 月谷レボンの配信③

結局のところ僕はブロックラフトを実況することに決めた。

もうじきコラボもあるし、最近やっていなかったので練習も兼ねてやろうと思う。

数時間の作業の末、スキンも出来た。

自画自賛にもなるが出来映えは中々のものだ。

...おっとそろそろ時間のようだ。


配信スタート!


「どうも皆さんこんばんは、レーブユニオン0期生。月谷レボンです~」


: こんばんは

: こんばんは何やるんですか?

: クジラ作ると聞いて

: 壺をやると聞いて

: え? ホームラン?

: こんレボーン

: ↑なんだよそれ...

: 挨拶やで(^^)


うわっ、こいつら鬼畜ゲーと呼ばれるやつばっかり薦めてくる。社長に何させようとしてんだよ。

こんレボーンは聞いたことないな...なんか特有の挨拶でも考えてみようかな。


「本日は、このゲーム! ブロックラフトで遊んでいきたいと思います!」


: なんまブロックラフトか

: ハードコアやると聞いて

: ハードコアでやるよな?

: マルチでやるの?

: I love hardcore. you love hardcore

: 匠さん呼ぶ?

: 匠「呼んだ?」

: 爆発のスペシャリスト匠


ハードコアモード...1度死んだらもう二度とその世界でゲーム出来なくなるモードだ。ブロックラフトやるの久し振りの僕にそんなことやらせるんじゃねぇ!


「ハードコアはやりませんよ? 久し振りにやるんですから...あ、ふりじゃないですよ。そして爆発の匠はお帰りください」


: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: 匠「呼んだ?」

: 月谷「帰れ」

: 匠「呼んだ?」

: 猫「にゃー」

: 匠「。。。。゛(ノ‥)ノ」

: なんやこのノリ()


本当になんだこのノリ...

匠は猫が近寄ると逃げる性質がある。猫の鳴き声がしたから匠が逃げて、匠が呼んだ?と言い続ける流れが終わった訳だ。


「コメント欄さぁ...まぁ、いいけどさぁ。難易度はノーマルでやります。ボーナスボックスつけて...シードはランダムで...よし、あとはワールド名を決めるだけですね。何か案ありますか?」


: あああああ

: 漆黒のバーニングワールド

: ^^

: 匠ほいほい

: ハードコア

: 避暑地

: リゾート

: みるるるるる

: あ

: a


適当なワールド名の案が多くみられる。まぁコメント欄なんてこんなものだ。悪いと言っているのではない。見ていて楽しいものだ。


「リゾート...いいですね! 今回の目標はこの世界に僕のリゾート地を作ること! リゾート地で決定です!」


ブロックラフトはクリアというものがない。

まぁ、ファイナルドラゴンを倒すことが一応の目標ということにはなっているのだが。

ストーリーもなく、完全に自由。なのでシリーズを終わらせるためにも目標というのは必要なのだ。


ワールド生成!


「っと、草原でのスタートですか。中々いいですね。個人的には草原からのスタートの方がやりやすいですね。さて、早速左に見えている森林に行って木を取りましょうか」


木というのはこのゲームにおいて必須のアイテムだ。これがないと何も始まらない。


「中々固いですね...まぁ、斧がないからこのスピードは当たり前...」


ドサッ!

シューー!


「は?」


ドガーーーーン!!!


月谷レボンは匠の自爆によって粉砕させられた。


「えぇぇぇぇーーーー!」


: 草原スタートは中々良いな

: 海探さないとな...

: あれ、リゾートは...?

: 海作るんですね分かります

: 序盤の木はストレスの元

: あれ? ボーナスボックス取ってなくね?

: あ

: 匠「呼んだ?」

: シューーーwwww

: ドカーーン!

: い つ も の

: 匠「呼んだ?」

: ぬこ「にゃー」

: 匠「。。。。゛(ノ‥)ノ」


リスポーンを押すか...


「....はっ、少し放心状態になってました。昼なのに匠が湧くとは...そ、そうだ。ボーナスボックス回収してませんでしたね。回収してから取り敢えず洞窟に行きましょうか...」


ボーナスボックスの中身は食料少しと木とツルハシだった。


「早速作業テーブルを作って剣を作りましょうか。ごまだれ~...木の剣を手に入れました~洞窟に入ってみます」


実況者の見せ場といえば洞窟探索でしょ!


「石炭がありますね。これで松明が作れますね。あれ? もうこの洞窟終わりですか...」


戦闘シーンも探索シーンもあまりなく、実況者としてはつまらない洞窟だった。

あれ、ここでトーク途切れないか?


「鉄鉱石早く欲しいですね。それが無ければ何も始まりませんし。そうだ、マルチやらないの? ってコメントが来てましたね...マルチはまだ予定していません」


: ごまだれ~

: ごまだれ~

: 分かる人が何人いるのか...

: 洞窟小さいな

: ちっさ

: 鉄がないと確かに始まらない

: マルチやらないんだ

: 不仲説


「不仲って訳ではないんですよ。理由は配信の終わりに言おうと思います。あ、そうこうしているうちに次の洞窟に着きましたね。大きい洞窟だと良いんですが...」


今回は中々大きい洞窟みたいだ。いくつにも道が別れている。これは期待できそうだ。


「鉄鉱石ありました! 早速掘りましょうか...ってあれ? ドロップしてない」


: 木のつるはしで掘ってるからやで


「あーそうでした、そうでした、木では掘れませんでしたね。普段木なんて使わないから忘れていました」


最近やってなかったし...そもそも木のツルハシを使う機会も少なかったから仕方ないね!


「石のツルハシ作って...これでよし! 焼かないと鉄鉱石は使えないので帰るまでは持っておきますか」


: 不仲じゃないなら良かった

: まだ誰もコラボしてないからね...

: でかそうな洞窟やな

: 木で掘るなよwww

: あるあるやなww

: 木は使わないからしゃーない

: 石が一番使えるのよ...


「じゃあ進んで...っと、下に広場みたいなのがありますね。大量のモンスター...ちょっとここに飛び降りるのは厳しそうですね。周りを掘って攻撃されない位置から倒して...」


ベチッ!


え?




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