第8話 法律ってさ...難しいよな...
サクッ!
「うーん! この豚カツ凄くサクサクで柔らかいな! 真人、なんか工夫したのか?」
「今日は...炭酸水に漬け込んで柔らかくして、生パン粉ってやつを使ってみたんだ。家にあった食パンをミキサーに突っ込んだんだ」
「へぇーそれでこんなに変わるんだ」
サクッ!
うん! 自分で食べてみても中々いい出来栄えだな! やっぱり生パン粉は普通のパン粉とは違うな...これからも食パンがあったら使ってみよう。
「真人は料理上手いからなぁ...あの時親に突き返さなくて良かったよ...本当に」
兄さんは僕が料理できて自分が美味しいもの食べれると思って親のところに返さなかっただ。兄さん料理できないからって...
「それで...しゅ...しきんの...こと...だったよな?」
「兄さん喋りながら食べるのは止めてよ。汚い」
「すまんな...よしっ! 食べ終えた。さて、出資金についてだが俺とお前で出すことにしようと思う。俺の方がお前より多く出す。合同企業というのは出資額関係なく一人一票の議決権...会社の運営に関する票を入れることが出来るが...これを変える。定款でな。これで出資額に応じた議決権に出来るわけだ。」
ふむふむ...兄さんが僕より出す。つまり兄さんが議決権の半分以上を持っていて、兄さんが実質この会社のトップになるわけか。
「そこで、俺は議決権を使ってお前を代表社員にする...まぁざっくりいえば代表取締役、社長みたいなものだ。代表権...社外に対する会社の代表として取引等が出来るようになるぞ」
兄さんは裏から操って、僕が社長になるっていうことか。
兄さんに逆らえなくなるから実質兄さんの方が上なんだろうな。
「ちなみに変なプライドとか見せて、反抗するのならこの話はナシになる。分かってるよな?」
やっぱりそう来るよな...まぁ色々やって貰ってるから、元から反抗する気なんてない。
「分かってるよ。兄さん」
「なら良かった。事務所が成長してお前に経営が出来ると俺が判断したらお前に譲るよ」
「期待しないで待っとくよ」
さて、夕食の洗い物でもするか。
「洗い物は後でも良い。先に資本金...出資額について決めておこう。俺の予定では俺が150万。お前が50万の合計200万でやっていこうと思ってる。」
兄さん株でかなり稼いだんだな...200万をポンと出してなおかつ事務所を用意してくれてるから、もっと掛かってるぞ...
「真人は住所書くときはここじゃなくて親の家の住所書くんだぞ。住所移してないんだからな...」
危ない危ない、ここの住所でいいと思ってた...
「洗い物は俺がやっとくから定款作っておいてくれ。ネットに見本あるはずだから多分お前でも作れるはず」
「もう見本見て少しは作ってあるよ。あと兄さんが洗い物して大丈夫...?また、お皿割らない?」
前に兄さんに洗い物をやって貰った時、兄さんは使うスポンジ間違えたり、違う洗剤使ったり、お皿割ったり、食洗機が使えなくて大変だったのだ。
「大丈夫大丈夫。何とかなるさ」
「そう? それじゃあ頼むよ。兄さん」
「任せとけ!」
それじゃあ続きを書いていくか
次の欄は社員及び出資の欄だな。
ん? 社員は全て書かないといけないって書いてあるけど、瑠璃さん達も書かないといけないのか?
...書かなくていいみたいだ。合同会社では瑠璃さん達は社員に当たらないみたいだ。
社員→出資した人全員
従業員→出資はしていないがその会社で働いている人
つまり瑠璃さん達は出資をしていないから従業員にあたるというわけだ。
じゃあここの住所と氏名と出資額を書いて...これでよしっ!
これで絶対的記載事項は終わりだな。
次は相対的記載事項だな...利益の分配に関する事項...? こんなの法律とか知らない僕に出来るのか? あ、弁護士等に相談するのが良いって書いてあるな。
パリーン!
...
パリーン!パリーン!
...
「真人ーー来てくれーー」
何やってんだよ、兄さん...
俺が兄さんのところに行くと床に散らばった破片を素手て集めてる兄さんがいた。
「兄さん、軍手使おうよ。危ないよ」
「お、ありがとうな」
兄さんは軍手で大きい破片を拾っていく。
素手は手を切ってしまう可能性もあるし危険だからね。
「これでよし!」
「まだだよ、兄さん。ほら、ガムテープ」
「お、おう」
手では取りきれなかった小さな破片とかも床には散らばっているんだ。踏んだら危ない。
「これでよし...で、真人はどこまで進んだんだ?」
「あー...そのことで相談なんだけど絶対的記載事項は多分あれでいいと思うんだけど、相対的記載事項とかが法律とか知らない僕は書けないと思うんだ。専門家に頼まないときつそうってこと」
「なるほどなぁ...それじゃあ知り合いの税理士さんに相談してみるよ。」
なんで知り合いに税理士がいるんだよ!
そもそも兄さんに知り合いなんていたのかよ...
「不思議そうな顔してるな? あれだ、株で稼いだ時にお世話になった税理士さんだ。持金が3倍くらいになったからな...税金のことで相談にいってたんだ」
3倍!? 株ってそんな増えるものなのか...僕もやってみようかな。
「あ、株なんてやらない方がいいぞ。素人が手をだしてもすぐに金がなくなると思うぞ。俺は絶対上がる! と思った株に全財産突っ込んだんだから下がってら大損だったな。まぁ...ラッキーだったということだ」
あのアイスの当たり棒を出した時でさえ、俺の実力だなって言ってどや顔するような兄さんがラッキー!?
よっぽど運に恵まれてたってことだな...
「まぁ、そんな訳だから株なんてやるんじゃないぞ。...ただ絶対に上がる! って思った株を買いたいならこの"お兄ちゃん"に相談しに来なさい」
兄さんがそこまで言うっていうことはかなりリスクがあってことだな...株をやるのは止めておこう。
「それじゃあ俺は明日にでも税理士さんのところに行ってくるよ。真人が帰ってくる頃には諸々終わってると思うよ」
そんな早く決められるものなのか...?
まぁいいや、兄さんが出来るって言ったのなら出来るんだろう。
多分自分で調べていて、あとは専門の人に確認を取るだけで良いという状態なんだろう。
あれ...? 僕が書くんじゃなくて兄さんが書いた方が早かったのでは...?
まぁ兄さん忙しかったって言ってたし仕方ないんだろう。そう思おう
「そういえば明日早いんだろ? 寝なくていいのか?」
そうだった、先輩が何故かやる気をだして大やんを許さない。演技で度肝を抜いてやる! 真人くん、協力してくれるね? って次の発表会に対するやる気を出してしまったんだ。
だから明日はまさかの朝練があるという...
先生に朝来て貰うからバレるに決まってるのに何やってるんだか...
「それじゃあ寝るよ兄さん。また明日ね~」
「それじゃあ、また明日。話の続きをしようか」
...真人は寝たな。それじゃあ、あの人に連絡するか。
「あ...もしもし山犬アキタです。先ほど連絡した通り定款の事なんですが...え? 忙しい...代わりに弁護士? 分かりました。何故事務所を建てようとしてるかって? 多分貴女の想像通りですよ。貴女の事務所に行けば良いんですね。分かりました。では、失礼します」
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