第3話 思い立ったら即行動!
信頼関係というのは非常に大事だ。
これが無くなってしまうと下の者のやる気にも関わる上に、なにか物事をやろうとすると反発が生まれてしまう。
僕は気づいてしまったのだ...
そう! 演者達と一切連絡を取っていないことに!
このままでは僕との信頼関係が築けず演者達のやる気にも関わってしまう...
思い立ったら即行動!
取り敢えずSNSで連絡だ!
えーと...初めてご連絡をさせていただきます。...
グループの名前も事務所の名前も決めてなかった...
これじゃあ相手に此方が誰なのか伝わらないよぉ
山犬アキタの兄弟とか言っても全然伝わらないと思うし、もう諦めるか
...そろそろ兄さんが帰ってくる時間の筈なんだけどなぁ
ピロピロリン!
電話...こんな夜に? あぁ兄さんか
「もしもし兄さん?どうしたの?」
「すまん! 事務所の物の設置とかやってるから今日は此方に泊まって明日の夜くらいに帰ってくる! 夕飯は冷蔵庫にある鶏肉でも使っておいてくれ!」
「兄さん、分かった。事務所のこと任せっぱなしでありがとう」
「なぁに俺がやりたくてやってるんだからそんな気を遣わなくてもいいんだぞ?」
「そうだね、兄さん」
「じゃあ、切るぞーまたなー」
あ、切れた...兄さんが帰ってくるのは明日の夜...
もう僕は事務所所属のVTuberになるのか...前のガワはもう使えない
よしっ、やるか!
安里ヒサトとしての最後の配信を!
そうとなれば告知だ!
明日の午前10時から安里ヒサトの最後の配信を始めます。皆さん見に来てくださいねー
やってしまった
これでもう後戻りは出来ない
今までの苦労が蘇って...
はぁ...唐揚げ揚げてごはん食べるか...
あ、ご飯炊いてないじゃん僕
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「皆さん! おはこんばんにちは! 昨日ご飯を炊き忘れてたヒサトです! 今回俺の最後の配信にお集まりいただきありがとうございます!」
: とうとうヒサトも引退か...
【お昼寝サンゴ】: ヒサトくんどーして引退するのぉぉぉぉぉ
: 最後の配信何するの?
: 悲しいなぁ
今日はいつもよりコメント欄の流れが速い...最後の配信だからかな
お、サンゴママもいる! 最近絵を描くのに忙しいらしく見に来てくれてなかったんだよなぁ...
「サンゴママ! 来てくれてありがとう! えーと今回の配信は最後のゲーム配信! その後話して終わろうと思うよ」
: 了解
: というか今日声聞き取りやすいね
: 確かに声もなんか違う
【お昼寝サンゴ】 : 今の声の方が聞き取りやすいし私は好きかな
「最近俺の身近な人に声を指摘されたんですよね。お前の声は掠れて聴きづらい...ってなのでもう少し聞きやすい声になるようにしてみました!」
そう、あのイケボ(?)は封印したのだ
登録者20万人越えに声が駄目だと言われたのだ...直すという選択肢以外ない
「それじゃあ今日もやっていきましょう! インクペイント2!!」
: 今回は何の武器使うの?
: 最後までインクペイントかよww
: 今回は筆使おう!
: 筆は強い(確信)
「それでは今回は筆でやっていきましょうか。えーとステージは宇宙都市アテンで....
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「本日のゲーム実況は以上になります。筆はやっぱり強かったですね。10戦中2敗しかしてないですしねぇ」
: 筆は強い(確信)
: 今日は聞きやすかった!
: あそこで味方が落ちてなければなー
: これで終わりか...最初から見てきたか らなんか寂しいな
: 今日の配信は過去1良かった!
同接数は過去最高の50人だ。このままやれば少しはヒサトも伸びるだろう...でもやりたいことを見つけたから....!
「これで安里ヒサト最後の配信を終わります。理由はやりたいことが見つかって、配信する時間が取れないからです。今まで皆さんには沢山お世話になってきました。皆さん...皆さん本当にありがとうございました!」
: やりたいこと頑張るんやで
: 元気でねー
: ありがとう!ヒサト!
【お昼寝サンゴ】: ヒサト君!ママの力も足りなくてごめんね...もっとサンゴ頑張って有名になるからね!
: ヒサト!忘れないからなー
: ↑すぐ忘れるやつ
: やめろよwww
「皆さん...本当にありがとうございます...サンゴママ! 俺も陰ながら応援させていただきます! 頑張ってください! ...さてずっと続けていたいのですがもうそろそろ時間です。」
コメ欄暖かいなぁ...ずっと配信続けていたい。でも時間だから終わらないと
自分のやりたいことのために
「それでは名残惜しいのですが...安里ヒサトの配信はこれにて終わりになります。皆さん...お元気で...」
終わってしまった
今まで1年間やってきた安里ヒサトが消えてしまった...
やっぱり何か今まであったものがなくなるのは虚しいものだな
ピロピロリン!
なんだ...?また兄さんか...
「配信見たよ。真人。もう転生する覚悟は決めたみたいだな」
「兄さん見てたのかよ...」
「中々良かったじゃないか、あれなら事務所所属でも十分やっていける。では、本題だが真人には演者達と会って貰う。明日事務所でな」
「明日は学校あるけどいつ行けばいい?そして何処にあるの?」
「そうだなぁ...明日演劇部の活動はあるか?」
「明日はあるよ」
「そうか、なら6時に来てくれ。場所は今お前に地図を送ったから見てくれ」
ここって駅から徒歩五分の雑居ビルじゃないか! かなり広いな...
「兄さんが帰ってくる前に寝ておくね。配信で疲れたし...」
「事務所所属になるともっと忙しいぞ。社長としての仕事も最低限にはこなさないといけないし、まぁ売れてきたら専門の人雇うか考えればいいが...」
そうか、僕が社長とかの仕事をこなしていかないといけないし、演者のサポートとかもやらないといけないのか...責任重大だな
「まぁ何か分からないことがあれば、俺が教えてやろう」
「ありがとう兄さん! じゃあ俺はそろそろご飯食べて寝るよ。おやすみー」
「おやすみ、真人」
さて、明日からの学校と事務所での仕事...どう両立するか...幸いなことに僕の学校の演劇部はオフが多いから合間を縫ってやることは出来そうだな
あ、肉解凍するの忘れてた
今日は魚でいっか...
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