第4話

 放課後。部活のスパイクを教室に忘れてしまったので取りにきた。いやー、それにしてもあの解剖ちょっとグロかったな……。

 教室のドアを開けて自分の席に行く。すると、浬の席の下の方で何か黒いものがうごめいていた。え。な、なに。まさか、G⁈ いや、Gにしては大きい。じゃあ、なんだ?

 恐る恐る床の方に顔を近づけてその物体を確認する。……。ん?

「猫?」

 猫だった。黒猫。え、なんで猫がこんなところに⁈

「えとー迷い込んじゃったのかな?」

 いや、ここ四階だぞ。迷い込んだなんてあるか?

「猫ちゃーん。ここから出してあげるから、おうち帰ろうか」

 そう声をかけると、反応するかのようにその黒猫は振り返って私を見た。少し目を大きくしてその猫はこう言った。

「やべ……」

 ……え? ね、猫が喋った⁈

「えええ!」

「あ……」

「どういうこと⁈」

「はーっ。いいか、由良、今から見ること聞くことは全部黙っとくんだぞ」

 え? は? 私が何も理解していないうちに猫は私の目の前に座り直して、目を瞑った。その途端すごい旋風が巻き起こった。……! 目いた……。思わず私も目を瞑る。

 しばらくして風がおさまったと思い目を開けると……そこには浬がいた。


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