第3話

 それから一週間が経った。

「かいりー、るんちゃーん生物行こー」

「待ってー」

「俺も連れてけよ由良」

「健は呼んでない」

「なぬ」

「お待たせー。行こ!」

 新たになかよくなった四人で揃って生物室に行く。今日は魚の解剖だと言っていた。ちょっと怖い。

「魚の解剖なんて、魚おろすだけじゃんね」

「血とか内臓怖い」

「あーね」

「……俺魚さばけるよ」

「え! 浬マジで⁈」

「すっご」

 浬についてわかったことは沢山ある。一つ、彼女はいない。これはでかい。二つ、学校の近所に住んでいる。三つ、一人暮らし。家族は郊外に住んでいるらしい。四つ、今まで転校を繰り返してきて、これが八回目。一ヶ月だけここで一人暮らしをして、そのあとは親の都合でまた外国に行ってしまうらしい。五つ、帰国子女なので英語がペラペラ。そして六つ、魚をさばける。


 生物の授業が始まって魚が目の前に置かれると、浬は目をキラキラさせてよだれを垂らしそうな勢いだった。そんなに魚好きなのかな……。

 

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