第参幕 神業

 どうも、まだ参話目ですが毎度おなじみ天の声です。前回では、コテツお爺さんの放った感覚を狂わせる突き技です。もうぶっちゃけてしまいますが、何か特殊能力を使っているわけではなく、単純な技です。このお爺ちゃんはそれはもう、間合いの取り方が上手いお方なのです。空間把握能力が高く目測なども得意で、相手の体格や目線でほぼ完璧に相手の間合いを把握し、絶妙に嫌な場所へと攻撃を繰り出し時には意図的には筋をずらし相手の感覚を狂わせる、という技が使えるのです。

 また、この技術を応用しt「おーい、天の声いったい何してる?」うげ!作者さん


「なーに、勝手にネタバレしようとしてんだぁ?」


い、いえ‥‥‥これは、その…興が乗ってしまいまして‥‥‥。


「興が乗ったじゃねえよ!お前後で来い。」


ああ‥‥‥それはちょっと、て待ってくださいそこはだめです!や、ちょま!わかりました行きます!行きますから!そこを引っ張らないでください!あと、無言にならないでください!怖いです。

 すみません!第参話スタートです!






















「うお!気持ち悪!」


「はっは!ワシの流派の人間にとっては誉め言葉じゃ!」


 マジで気持ち悪いな‥‥‥確か型を見た感じ結構最近の生み出された流派っぽいけど‥‥‥ちょっと聞いてみるか。


「そうですね、感覚が狂わされるというか、目に悪いというか‥‥‥なんという流派なんですか?」


「ふふ‥‥‥気になるか?」


あ、ちょっとうぜぇタイプの奴かも‥‥‥


「‥‥‥はい…。」


「なんじゃ!今の間は?いいだろう、教えてやる【刀川幻刀流】じゃ!」


「‥‥‥。」


「なんじゃその顔は‥‥‥。」


「いえ、なんでも‥‥‥。」


まじかこいつ、自分で自分の流派を作ったのか?すごいはすごいんだが‥‥‥だいぶ苦労しただろうな‥‥‥。


「いや、主の考えていることはわかるぞ、じゃが勘違いするな、これは祖父が生み出したものであってワシが作ったものではない。」


「あ、そうですか‥‥‥。」


 それはそれで、その開祖の人がかなり痛い人だったみたいだな‥‥‥いや、内も他所のことは言えないか‥‥‥にしても。


「ほんっと、いやらしいことに来るな‥‥‥。」


「はっは、すごいじゃろ!主もなかなかの腕前どうじゃ?【刀川流】に入門してみn‥‥‥。」


「あ、結構です。」


「なに!?」


 いや、急になんだよ‥‥‥俺もう所属してる流派があるんだが‥‥‥。


「一応所属している流派もありますし‥‥‥。」


「そうか‥‥‥ちなみにどこの流派に?」


「--です。」


「な!?」


あ、なんか隙ができた。内の流派のこと知ってんのかな?まあ、いいや隙ありっと‥‥‥。


「うぼふ!」


Oh‥‥‥結構いいのはいった。て、ヤベ!


「だ、大丈夫ですか?!」


「大丈夫だ、問題な…ゴフッ!」


「ふざけられるんなら問題ないですね。」


「まてまてまて!結構いたいんだが!?ちょっとくらい肩を貸してくれてもいいじゃろう。」


「はー‥‥‥わかりました。」


†  †  †


 試験官———コテツというらしい―――を医務室へ連れて行きけがの診察をする。俺が非力なのと、訓練のための模擬刀を使っていたとはいえ、結構いいのが入ったはずだ。骨くらいは折れてるだろうなと、思っていたらただの打ち身だけだったのはかなり驚いた。

 この爺さんかなりの高齢でもう引退してるってさっき聞いたんだが‥‥‥本当に人間か?て、師匠も似たようなもんか‥‥‥何で【侍】は引退した後に強くなる法則があるんだろうな‥‥‥。

 で、そんな爺さんはというと、


「いやー!はっはっはっ!負けた負けた、完敗じゃよ。」


 怪我部分に湿布だけ張って、元気はつらつに笑っていた。最初の威厳のありそうな雰囲気が雲散霧消である。


「完全な隙ありですけどねー。」


「そんなことはない、これ持論じゃが、戦いにおいては隙を見せた方が負けじゃからな!」


「いや~それにはおおむね同意ですけど‥‥‥。」


 と、ゆるーく話しながら俺の次の受験生の実技試験を見学する。さっきの俺とコテツの実技試験も実は前にやっていた受験生や試験官たちに見られていたらしい。それも試験の一環らしく、実践相手の試験官が実際に直接感じた実力をその他の試験官が第三者から見た受験生の実力を見るという感じだ。

 面白そうだったので、最後まで見て入試一日目は終了だ。


†  †  †


 そしてやってきた入試二日目。二日目は弓銃科きゅうじゅうかの試験。弓銃科は刀剣科同様、戦闘系の学科で試験内容自体は刀剣科とほとんど変わらず、せいぜい使う武器が違うのと、実技試験の数の違いだ。そして、その弓銃科の実技試験は、学科の名前にある通り弓と銃を使っている。弓は、長弓・短弓・和弓の三種類を使った試験。銃は、射撃・狙撃の二種目。この計五種類の中から二つ以上選び、早撃ちや遠距離狙撃などの種目を選び受ける。


「で、筆記試験が終わって今弓の実技試験の待機中と‥‥‥。」


 俺は、和弓の近的と拳銃の対人戦の二つだ。


荒神聖あらがみあきらさん和弓の試験会場へ来てください。」


「はい。」


 名前を呼ばれ、最初の和弓の試験を受けに行く。会場につき弓と矢を構える。

‥‥‥さて、どうするかな…ただ当てるだけだったら、この会場にいる奴らのほとんどができる、なら、ほとんどの人間には不可能な技を使えば合格に近づく‥‥‥ならやることはただ一つだろう。


「‥‥‥継矢やれば、さすがに合格するだろう‥‥‥。」


「?!」


†  †  †


 今、彼は何と言った?つぎや?継矢か?まさか、継矢を意図的に成功させるとでもいうのか?不可能だ!どんな弓の達人でも意図的に継矢を成功させるなどほとんど〇%だ。そんなことできるわけない!


†  †  †


 さあ、まずは一射目。深く集中し、できるだけ真ん中を狙う。勢いよく弦から手を放す、するとパンッ!と、気持ちの良い音を鳴らし、的の真ん中に命中する。


(‥‥‥二射目。)

「スー‥‥‥フッ!」


一射目よりも深く集中し、矢を放つ。一射目の的に中ったときよりも甲高い音が鳴る。見てみると、一射目にはなった矢の筈を貫き寸分たがわず二射目の矢と一射目の矢がつながっていた。


「なっ⁉…?‥‥‥!」


遠くで何か驚くような声が聞こえた気がするが、今は無視だ。


(‥‥‥三射目。)

「スー‥‥‥‥‥フッ!」


 さらに集中力を深め、三射目を放つ。二射目同様甲高い音を鳴らし二本の矢に三本目の矢が命中する。


(‥‥‥四射目。)


 ラスト。

(集中

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。)


 最後だ。残りの制限時間ぎりぎりまで全力で集中‥‥‥。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥フッ!」


 引き絞り切った弓の弦から思い切り手を放す。弓から離れた矢は三射目までよりも速く・・連結した矢に到達し、四本の継矢に成功する。残心をゆっくりと解き退場する。


 魚のように口をパクパクとさせている試験官に気づかず。

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