35 定例会

春日はパーティメンバーを集め、定期的に定例会を行っていた。このような会合はある時点で、凜先生からの提案があり、定期的な振り返りと個人間の交流、認識の誤差の是正、意識・不安などの共有など、組織の団結の為には小まめな情報共有が必要であるとの助言をもらい、2週間に1回は食事を交えて忌憚のない意見交換を始めたのだ。始めてかれこれ6カ月ほどは経つが、皆の忙しいこともあり、時には1カ月に1回の月もあったりしたが、皆忙しいスケジュールをこじ開けて集まるように努力していた。


2年間の滞在の中で、彼らはだんだんと王都の人たちとの交流も多くなり、それぞれの生活スタイルも変わっていった。


柏原樹は現在王城から離れ、ある公爵邸に住んでいる。彼は舞踏会で出会った令嬢から交際を申し込まれた。その令嬢は王都に居を構えている、トーマス王の弟である公爵貴族の長女カミラ・ラ・サンダース公爵令嬢であった。柏原の周囲からも交際を後押しする声も多く聞かれ、最後の一押しとなったのは『二人ともお互いをより良く知ることが関係構築に一番大切でしょう』との懇意にしている王族たちからの助言であった。そして柏原樹は長女カミラとの交際を始めた。その交際も進む中で柏原も、公爵家に同居してはとの話になり、とんとん拍子で王都のその公爵邸に住むことになった。もちろんまだ婚姻を結んでいるわけではないので、寝室は別ではあった。


赤石そらはその美貌と明るい人柄と、誰にでも分け隔てなく声をかける気さくさに惹かれる男性陣が多かった。しかも彼女の勇者としての強力なバフ能力も広く認知されており、勇者としての有能さも認められていた。そして、今もこの苛烈な戦闘の中で生き残り、第一線で戦い続けている。その戦闘センスにも高い評価が与えられている為、多くの貴族から赤石には交際の申し出があり、またトーマス王の息子たちである3人の王子たちからも熱烈に言い寄られている、などの噂もあったりする。彼女が一人いると周囲が明るくなる。彼女の周囲には常に人だかりができていた。王城を拠点として、そこで生活をしながらも国内の様々な場所を訪れては演奏会などを開き、スキル向上も兼ねて、歌を披露しているのだ。これが王国での多くの人たちが望む娯楽となっていき、その後も他の女性や男性が歌を歌うことが増えていったのは、赤石そらの功績でもあった。


立石悠真は人との交流が苦手であり、友好関係は非常に狭かった。しかし彼は一つのことを極めようとする職人気質の人間であるため、弓矢部隊にいる少人数の同じような職人気質の兵士たちと常に行動をしていた。その閉鎖的なグループでかなり密な人間関係が展開されていた。立石も含めて、彼らは日夜新たな弓矢の開発や、弓矢戦術を研究し、技術の練磨に励み、時には戦線に出向き大きな功績を残していたのだ。


三原美幸は聖女としてのスキルとその神々しい雰囲気、人への思いやりに溢れた人柄で、国内で絶大な人気があった。三原は回復魔法SSというレアスキルを十全に使い無料での医療活動に勤しんでいた。その国内行脚の中で、『奇跡の聖女』や『聖なる女神』などの様々な2つ名が作られ、吟遊詩人の詩に一番歌われているのは、三原美幸であった。本人はあまりそのことに触れられたくないようで、歌われている歌は一切聞かないようにしていた。


しかし、実は回復魔法を専売特許としている全国医療組織である『医院』からは、静かな反発が起こっていた。


曰く、医療行為は高度な医療知識の必要な行為である為、聖女は同じ「人間」だとしても、異世界から来ている為その回復魔法は検証もなく実行されているので、非常に危ういのではないか。

曰く、医療行為はアフターケアも必要であるため、治療したから治療行為が終了するのではない。医療行為は組織だってするものであるので、聖女だからといって個人でされていては、逆に国の人々が混乱してしまうのではないか。

曰く、聖女の魔法は本当に治療効果があるのか。適切な回復魔法が該当の損傷に施されているかどうかの保証がないのではないか。

曰く、医療は報酬を伴うべき責任ある行為である。無償で行うことで責任が無くなり、患者も医療行為者も医療に真摯に取り組めなくなる。もし医療行為が無償であった場合、患者はその行為が医師の好意を基にするものである為、安心して医療を依頼することができない。有償の場合は患者は報酬を払っているので、安心して質の高い医療行為を要求できるのではないか。

曰く、聖女は医療の素人であり『サイキン』とか『ウイルス』など見えないモノが病気の原因だという、よく分からないことを言っている。見えないモノが原因というのはこれは回復魔法ではなく、呪術の類なのではないか。


どれもナンセンスな話であると三原は思っているのだが、あまりに絶大な人気のある三原の存在に『医院』としては表立って、何も言えないでいた。何せ勇者としてヒト族を守るために異世界から召喚されたことで、国民からは勇者たちに対する同情的な国民感情が確かに存在していた。そして三原は聖女として魔族への戦闘にも数えきれないほど従事し、ヒト族国ファーダムの防衛の要として活躍しており、国民からの信頼と感謝も勝ち得ている。そして三原は、一般人に対しての治療行為も行っていたが、特に貧民街での医療行為を中心としていた。彼らはそもそも報酬の支払いが困難であり、国内では置き去りにされた存在であった。『医院』もそこへ手を伸ばすことはなかった。そこへ救いの手が差し伸べられた為に、特に貧民からの熱狂的な支持があったのだ。医院は彼女の活躍を、歯噛みをしながら見ているしかなかった。


実は他方面からも不満の声があった。それは国教である『ティエラ教』からだった。ティエラ教会は一神教の宗教で、大地神が世界や全ての生命体を作ったと信じられている。太陽が昇るのも、月が現れるのも、夜空の全ての星が瞬くのも、大地神ティエラの御業と信じられている。ティエラは、古代ヒト族語では、『大地』という意味だ。そして、問題になってくるのは、そのティエラ教の教義では、『聖女』という言葉は登場しないのだ。大地神は男神であり、全てを司り、全ての中に存在し、全てを知悉しており、全ては、大地神の掌にある。それぞれの生命体の命の中にも、ティエラ神はもちろん存在し、世界全体が大地神である、と説いている。その教義の中に置いて、『聖』なる『女』性が、何かティエラ教の目的達成の一助とすることはないのだ。聖書のどの記述にも『聖女』との言葉は入っていない。


教会内では聖女の三原をどう教義として落とし込み、取り込むかの大論争が行われていた。


聖女はティエラ神の第一王女ドシャンベの生まれ変わりとしてはどうか。いや、ドシャンベは浪費家として地上の資源を使い尽し、ヒト族に多大なる迷惑をかけた。信徒のドシャンベへの悪感情を考えると、聖女と同格にはできない。


ではティエラ神の妻、セシャンベならどうか、との意見も出たがセシャンベは軍神で怒りの雷神であり、人を慈しむイメージとはかけ離れるため、民衆も納得しないのではないか、と結論に達した。


ではいっそ『聖女』を聖書の中に創作するか、と話が出たがそれは教皇の特権事項であるため、おいそれとは提案しづらかった。


この女神は?この女性は?と神学者たちは聖書を紐解きながら、議論を永遠と続けているのだが会議は踊るばかり。まとまることはなく、今も教会内ではこの聖女の取扱は不確定なままであった。原理主義の強硬派からは聖書にないものは排除するべき、との議論も出ていたりする。あまりに無茶な考えであり、聖女を選定した側の王国と対立するとの意見が噴出しその意見は否定されている。しかし、共感をする人々はごく一部では、いた。


非常に不安定な立ち位置になっていることを、三原はサリア姫との話の中で聞かされた。サリア姫は医院の嫉妬と、この教会の浮世離れした意識と議論を厳しく非難していた。


「おかしな連中だこと。医院は自分たちの医療が全てのニーズを満たしていないから、このような事態になっているのであって、それを補完してくれている聖女を攻撃するなんて言語道断よ。ナンセンスよ、ナンセンス。また教会も、なんて不毛な議論をしているのかしらね。呆れるのはその議論にすでに1、2年費やしているなんて。教会の連中たちの頭の中はお花畑ね。全く時世を把握していないわ。後100年もすればヒト族国は、滅亡するしかないかもしれないのに。本当に愚かだわ」


と涼しい顔をしながらも、額には青筋が立てながらため息をつき、医院と教会をサリア姫は三原とお茶をしながらバッサリと切っていた。


三原は「それでもヒト族が魔族に対して抗戦するには、医院・教会と王国が足並みを揃えないと困るし、私の存在が今後の火種の一つになるかもしれないのね」と漠然とそんなことを感じていることを伝え、更に


「私は聖女の名を返還しても構わないのですが」


とサリア姫に提案をするのだが、


「関係ないわ。すでに人々はあなたが『聖女の癒し』と分かっているから、返したところ変わらないわ。この国の事を真摯に考えてくれて、ありがとうね」と感謝の言葉を添えて、返答してきた。


難儀な物ね、と三原は心の中で独り言ちた。


そんなそれぞれが様々な課題を抱えながら、定例の二週に一回の食事会が開かれた。5人は各地での魔獣討伐等の時は一緒になるが、プライベートはこのように自分たちの思うままに信念のままに行動をしていた。




                  ◇



ある高級料亭に勇者パーティが集まった。周囲には音が漏れないように防音の魔法が入念に施されている個室に、第一パーティメンバーが集まった。


春日翼、柏原樹、赤石そら、立石悠真、三原美幸、そしてゲストとしてサリア姫が、今回参加した。


春日は定例会の主催者にして、第一パーティのリーダーとして、会合の開催を宣言した。


「今日は皆、忙しい中集まってもらって、本当にありがとう。みんな、自分たちの研鑽やこの世界での活動で忙しい中だと思うが、俺たちの目的はどこまでも魔族殲滅だ。その為、しっかりと団結をして進んでいきたい。今日は、みながお互いの近況を共有しながら、今後の事を話し合っていきたい。さぁ、食事をしながら進めていこう。」


目の前には、山の幸、魔物の最高級の肉などがテーブルに所狭しと並んでいた。皆は、思い思いに料理を取り、舌鼓を打ちながら、他のメンバーの話を聞いていた。


赤石「今日は、サリアちゃんも来ているけど、何かあったの?」

サリア「本日は、皆様との時間もなかなか取れない昨今でありましたので、皆様のお顔を見に、参上した次第でございます。」

赤石「そうなんだね。久しぶりに会えて、嬉しいね」

サリア「赤石様もご健勝のことと存じます。国内の男性貴族の間で、赤石様のことは話題にならない日はないとお伺いしております」

赤石「はははは。そんなことないよ。みんなと仲良くできて嬉しいよ」

春日「そらは、よくパーティや舞踏会にも出席していると聞いているけど、鍛錬の方はどうなっている?」

赤石「やってるよ~。私の場合は、歌を歌うこと自体がスキル使用になるから、演奏会や舞踏会、なんかで歌わしてもらって、皆の思いを一つにしたり、センチメンタルにしたり、意識を上げたりと、色々やってるよ。はははは。いい練習をさせてもらっているよ。国のお偉い人たちも、私の歌は気持ちにストレートに入ってくるって言ってもらって、好評らしいよ。へへへへ」

サリア「はい、そのようでございます。赤石様のスキルの詩歌の姫君で吟じられた言々句々、また歌声、旋律は、国の多くの人々の心を魅了しておいでです。まさに国の歌姫のような存在で、演奏会も時々開催されているとか」

赤石「そんなんだよね~。演奏会を開くと、観客の最前列には、一斉に踊り出す人たちもいるから、なんか面白いよね。はははは。なんか、日本のオタクみたい~」

春日「そうか。しかし、それもいいが、戦闘で役に立たないと意味がないんだぞ、そら。国のこともいいが、時には兵士たちを引き連れて、どこかに遠征に行ってきてもいいし、しっかりと戦闘訓練もするようにな」

赤石「そ・・・そうだね。分かったよ」


春日「柏原はどうだ?新しい生活には慣れたのか?」

柏原「そうだね。サンダース公爵は、非常に温和な方で、娘さんもよく僕の話を聞いてくれて、彼女の話も聞けて、楽しくさせてもらっているよ」

サリア「サンダース公爵殿下は、トーマス王の弟君で、ともに勇者の血を引いておられます。王家に連なる者のみに『フォン』を名乗ることが許されております。しかし、公爵殿下は、王家から離脱しておりますので、デニス・『ラ』・サンダースとなっております。そのご長女であられます、カミラ・ラ・サンダース公爵令嬢は、社会活動家としてもご高名であり、その美貌も社交界では有名であられます。そのような方のハートを射止められたのは、柏原様の人間的魅力ですね。」

柏原「いやー、そういう大層なものじゃないと思うよ。勇者というところが大きいんじゃないかな?へへへへ。カミラとは仲良くさせてもらっているよ。」

春日「お前は、その女と結婚したとしたらどうするんだ?ここに残るのか?」

柏原「そんなの分からないよ。残りたいと思えば残るだろうし、一緒に地球に行こう、と言って、カミラが同意すれば、行くだろうし、まずは付き合っている段階だからそんな先の事は分からないよ。高校でもそうだっただろ?付き合っても、3カ月以内で別れる奴らばっかりだったし。離婚率も日本では3~4割だし。結婚しても一緒にずっといるかも分からない。まぁ、その時になって考えるしかないかな。」

春日「能天気だな。責任をもって動けよ。まぁ、お前の私生活はいいが、それより、訓練はどうだ?しっかりやっているのか?」

柏原「そうだね。公爵家専属の兵士たちと一緒に訓練したり、公爵領土内で魔獣が大量に発生していたりするから、そこに時々討伐しにいっているよ。僕が盾役だから、若干皆、気が引けていたりするんだ。『勇者様を盾にするのか―!?』って感じで。いやいや、その訓練をしなければならないんだから、って説得するのが大変だったな。はははは。」

サリア「柏原様のご活躍で、サンダース公爵兵士団の死亡率が大幅に改善されたとお伺いしています。すばらしいご功績だと存じます。」

春日「そうか、まぁ、しっかりとやっているなら、俺からは文句はないが。戦線には出ているのか?」

柏原「今は、公爵領土内しか動いていないよ。」

春日「ぬるいな。お前ももう少し頑張れ。時には戦線にも行け。いいな。」

柏原「・・・。」

柏原は、春日の発言を不服に思いながらも、一理はあることで、反論をグッと抑えることにした。あまり春日に反論しても、あまりいい結果とならないことは、ここ最近の春日との議論で分かっているのだ。


春日「それじゃあ、立石。お前は何をしているんだ?全く情報が入ってこないぞ。」

立石「鍛錬と研究」

春日「弓矢の鍛錬と、何の研究だ?」

立石「戦術と武器」

春日「そ、そうか。実践ではどこに行っているんだ?」

立石「戦線と森林」

春日「お前は、2単語でしか話せないのか?普通に話せよ。」

サリア「立石様のお話は、実は弓矢部隊においては、非常に有名でありまして、新たな弓術を開発され、現在、全ての戦線においても使用されています。速射性能をどこまでも高めた長弓隊編成することにしました。弓術初心者でも1分間に10本もの矢を放て、敵に対しては驚異的なようです。また、長弓隊の前に柵や落とし穴の防御柵を設け、長弓隊を守っています。そして、布陣の仕方には、歩兵を長弓隊の間に配置し、歩兵めがけて突撃してくる敵に矢の集中砲火を浴びせることができており、素晴らしい功績であります。歩兵隊と長弓隊の混在ユニットの案は、脱帽でございました。」

立石「うん。」

春日「そうか。それは分かったが、お前の弓術スキルの腕前は上がっているのか?あの賢魔の時のような無様なことにはならないな。」

立石「うん。」

春日「ふん。じゃあいい。本当かどうか、実際に見ればわかるしな。けども、心配だな。また後で確認する」


そして、春日は三原美幸の方を見て言った。


「美幸。お前は最近何をしているんだ?俺は、美幸に王城にいる方がいいって言っているのに、外に出てばかりいて、ほとんど会えないじゃないか。何をしているんだ?」

三原「ごめんなさい。聖女の仕事が忙しくて」

春日「仕事じゃないだろ。ボランティアだろ?そんなことをやっているのもいいが、戦闘訓練は大丈夫か?」

三原「大丈夫だと思うよ。キュアの威力も上がっているし、最近は広範囲で回復魔法を発揮できるエリアキュアの精度も上がっているよ。それに、この前も魔法攻撃を色々試してみて、全属性は扱えることが分かったの。攻撃面も期待してもらっていいよ」

春日「本当に。俺と組んで一緒に回ろうって言っているのに、聖女聖女って。そんなに忙しいのか?」

三原「ごめんね、春日君。誘ってもらっているのに。けども、パーティとしての連携では、しっかりとした支援はできると思うわ。それより、春日君はどうなの?なんか、春日君の言葉に険があるように思うけど、何かあったの?ちょっと詰問調になっているところが気になるんだけど・・・」

春日「はっきり言おう。正直、みんなが魔族との戦いを忘れていないかが、心配なんだ。俺たちはどこまでも魔族殲滅の為に頑張っているはずなのに、それ以外の活動をすることに俺は、危機感を感じている。みんな、本当にやる気があるのか?」


キッと一人ひとりを睨みながら、春日はぐるりと皆を見渡した。皆は、春日を驚いたように見返していた。


春日「俺が第一バーティのリーダーだ。皆、色々と頑張っているようだが、以前の賢魔第60位ぐらいはもう相手にならないだろう。が、今後戦うであろう、50位や40位、はたまた1ケタ台の賢魔と戦うとなったら、本当にお前たちは、大丈夫なのか?」


三原「それは、みんながそれぞれのやるべきことをしっかりとやってきているから、信じるしかないんじゃないの?みんなの力は、1年前と比べたら格段に高くなっているよ。どうしてそんな言い方をするの?」


春日「それは、俺がどこまでも真剣だからだ。あれから俺も色々とあって、辛い思いもしたが、あの敗北のおかげで俺は覚醒したよ。本当の使命に目覚めたんだ。俺は勇者なんだ!勇者は後続ではない、戦線の最前線を『勇』ましく突き進み、模範を示す『者』が勇者なんだ。だから俺は立ち上がった。菅原とも一緒に対戦したりしている。あいつもかなり強いからな。中部戦線にも俺は何度も行った。あそこは別格だ。立石も行っているんだろうが、あそこの魔族と俺は何度もやり合った。第何位の奴らかは知らないが、魔族との戦闘で死にそうな目にも何度も合った。しかし、俺はなんとか生き延びている。このレベルでの戦う意識でお前たちは戦闘訓練をしているのか?という話だ。お前ら、戦いを舐めていたら死ぬぞ。お前らはヒト族の希望なんだぞ。負けは許されない」


立石「俺はやっている」

赤石「えー、私のスキルもかなり向上しているよー」

柏原「・・・舐めんなよ」

三原「春日君・・・」


春日「こんな調子だったら、お前たち全員死ぬぞ。俺からの提案をしてやろうか?これから1週間に5日間集まり、戦闘訓練をするんだ!ヒト族の希望になる。どうだ!?」


三原「そんな!!!突然無理よ!だって、戦争は総合戦って言われているでしょ?もし私のスキルが、国の総合的な力を底上げしているのなら、私の貢献も大きいはずよ。戦場に行って、そこで戦っているだけが戦いじゃないわ!春日君、どうしたの?何かおかしいよ?!」


春日「美幸、お前が甘すぎるんだ。俺と一緒に来い、と言ったのに生ぬるい場所で温室で育ってしまっているんだ。この1年間で空いた穴を埋めるのは難しいぞ。美幸、これは、お前の為であるんだ。お前たち全員の為でもあるんだ。それに、お前たち全員、最初の2週間に1回の開催でも、諸行事等で追われるから参加できないとか意味の分からないことを言い出す奴もいる。先月は一回も開催できなかった。どこに本地があるんだ!勇者は、まず勇者の仕事をしろ!!」


三原「言っていることが分からないわ。全然分からないわ」


春日「このパーティでは、俺がリーダーだ!!!話し合いはする!意見は聞く!しかし、最終決裁権は俺にある!!俺の言う通りにしろ!!!」


(めちゃくちゃだ)


4人は思っている中、サリア姫は徐に口を開いて話し出した。


「実は、私は今の春日様の意見に肯定的であります」


「なっ!!!サリアさん、それは・・・、どういうこと?」


三原は驚きながら、目を見開いて、サリア姫を見つめた。サリア姫は勇者のメンバーの不安そうな顔を見渡し言った。


「実は、皆様に、本日はお願いがあってまいりました」

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