第9話悪魔の群れと羊の歌
目を開けるとそこには悪魔がたくさんいた。そんな光景、あまりにも日常すぎてあくびが出てくる。
私はため息混じりの声をあげようとして、面倒くさくて止めた。
今、私がいるのはこの国の地下。すなわち反転世界、別名・悪魔の世界
そもそも人間がいるところの影には悪魔が潜んでいる。
当然それが大きな国であれば尚のことたくさんの悪魔がいるのが当然と言うか然るべきというか。
『
私はそこにいっぱいいた悪魔をまとめて圧縮する。
さっきまで地下世界にわらわらといた悪魔があっという間に手のひらサイズに収まる
これらの悪魔はいわば天然の魔力タンクのようなものだ。
当然、人から生まれたものなので寿命が存在するが……その代わりにこれは言ってしまえば1週間事に狩り取れるアイテムとも考えられる
『
この地下世界はいわば人々の影であり不純物が山ほど混ざっている。
それを私は綺麗に浄化する
濁った黒色だった悪魔の塊はみるみるうちに透明に近しい色へと変貌していく
俺はそれを片手でにぎにぎとしてこねる。
『
やがてこねる度にそれは7色の光を放ちながら最終的に1本の剣へと変化していく
ふむ、この剣には思いのほか夢が詰まっているようだ。
案外この国の人々も今の暮らしを悪く思っていない……ということの表れでもあるため、そのことを明日王子様にでも伝えようかな……
子供の頃夢見た平穏を今はまだ得ることが出来てはいないけれど……それでも私は夢を見る。
……懐かしいな、昔寝れない時はよく羊を数えたものだが……
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹……羊が……7586匹……羊の王は1匹、羊の女王は1匹……?」
まて今なんかいたな
私の目の前の地下空間に金色の羊が2匹現れる
名前は……『
は!……これはまた発見だ。
どうやら人々の影を祓うと羊のボスが出てくるらしい。
……つまりこれは羊の召喚魔法であり……あの言葉はこいつの召喚のトリガーというわけか!
メエーと言いながら突進してくる羊を
『
で殴る。しかし、毛のモコモコしたのに阻まれて威力がほとんど失われる
「なにぃ!……こいつこの見た目でかなりやるな……逆に言えばこの羊を調教出来たらどこでも呼び放題?……いいなこのモコモコ具合と言いベットにするにはうってつけだ!」
では私がするべきは何か
「そんなもの決まっているだろう?」
そう言って俺は巨大なバリカンを呼び出す
それを見た羊が先程までの意気揚々とした顔から青ざめたのを私は見逃さなかった
「さあて……
数分後、キラキラと音を立てて消滅していく羊を見たあと俺は空に浮く大量の毛を見る
……しまった、調子に乗って狩りすぎた。
……仕方ない、これはいつか使うだろうし……保存しておくか……
『
──────別にもふもふを求めていた訳では無い。
あの羊の毛には恐らくだがかなり強力な衝撃吸収効果があることが先程わかった
それを使えば擬似的に防壁の素材として使えるな……
それにもうすぐ雪が降るかも知れないからな……うむ、余った素材は暖房器具にでもしてあげよう
こうすることで街の人達に貸しを作って置くのも悪くない。
罪悪感と感謝は人を縛るいい楔になる。
人とは案外道徳心があり、それが総じて弱点となる。
もっとエルフやらドワーフやらにそれがあるかは知らんが。
……あとはドラゴン族に対する措置だが……1度行ってみるしかないか。
まぁ実際、私が想定していたより他の国の人々が強かったというのがある。
この前行かせた槍の女の子は
ルルナルに意気揚々と突っ込んで半壊させられて帰ってきた。泣きながら
まぁ実際、ルルナル法皇国もかなりの大打撃をくらい今復興に勤しんでいるとの事。
そういった国に対してあえて恩を売りつけるのも『呪縛』という魔法にかけるという意味では重要な気がする。
……まぁ今はとりあえずこのもふもふにくるまるとしよう。うむ暖かいのは正義だ
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