第2話 恐怖の再教育
インド洋でエビフライを巡る戦争が起きそうな時に、堅固の使徒・山田狂恋は一般女子を再教育しているらしい。
さすがに一般人となると放置しておくわけにはいかない。
「山田さんの収容所がどこにあるか分かる?」
『もちろんよ。ここよ』
「近いね。というか、隣じゃないか」
まさかの隣の建物の地下である。
こんなところに収容所があったとは。
都市は人が多すぎて隠れるには向いているという話もあるからね。
『あとは、何かあった時にすぐにここに侵入することができるということもあるでしょうね』
……さいですな……。
早速向かうとしよう。
千瑛ちゃんの案内に従って、隣の建物の秘密通路から下への階段を降りる。
地下は薄暗く、独房のような部屋が並んでいる。
奥の部屋からボソボソという声が聞こえてきた。
ドアの前まで着いて、まずは中の様子を探る。
「私ごときものが時方悠様を推すのは百億年早かったです。私は自らの過ちを認め、自己批判をいたします」
虚ろな目をした女子が力ない声で話をしている。
うーむ、何という恐ろしい光景なのだ。
「いいわ。あと84327回ね」
チラッと扉を開けて中を見ると女子の前に、いつものライダースーツに教鞭をもつ山田狂恋の姿があった。
残り約8万4千回って、一体何回読ませるつもりなんだ。
「いい? 貴女達、人という字は棒と棒が支えあって成り立つの。すなわち貴女達はこの棒のような価値しかないわけよ」
山田狂恋はどこで用意したのか薪を一本取り出した。
「いいえ、それすらおこがましいわ。先進国の人間は最貧国の人間の30~50倍の資源を使っているというデータがあるわ。つまり、貴女達のような堕落し、横暴な色欲に身を浸すような存在は通常の役立たずの更に有害なのよ。まさに世界でもっとも不要な類の人類といえるでしょう。にも拘わらず飽くなき強欲を求める貴女のような存在があるから世界から対立がなくならないわけで、世界中のあらゆる悲劇、あらゆる戦争の原因が貴女にあると断言できるわ。まだまだ自己批判が足りないわね」
「は、はい……」
エグい、エグすぎる。
こんなところに身を置いていたら三日で精神崩壊しそうだ。
「山田さん!」
怖いけど踏み込んだ。
山田狂恋は満面の笑みをこちらに向ける。
「あら時方君、私を迎えに来てくれたのね?」
えっ、迎えに……
一体どう答えたらいいものか。
というか、何かアドベンチャーゲームの選択肢みたいなものが出てきたぞ!?
▶何と答えますか。
1.もちろん君を迎えに来たんだ!
2.今すぐ女の子達を解放するんだ!
3.一緒に美味しいエビフライカレーを食べに行こう!
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