第5話 MAO王国と日本国
『話は変わるけど、王国はどうするの? 日本と異なるシステムを作るわけ?』
千瑛ちゃんが話題を変えてきた。
そう。MAO王国は新しい国家なので、その気になれば独自の政治システムやら税金システムを作ることもできる。
一から作るのは本来は途方もなく面倒なのだけれど、何せ最新鋭AIを抱える千瑛ちゃんがいるから、その気になればできなくもない。
いやいや、おまえ達には予算がないではないか。
というツッコミがあるかもしれないけど、実は天見優依の新曲『永遠の歴史』はMAO王国の国歌である。
だから、その権利はMAO王国に属しているわけで、既に百億再生だの億単位でのダウンロードがあるから、これだけでものすごい額の金が発生している。それを国家予算だと主張することもできる。
「……面倒だから、日本政府に任せるよ」
とはいえ、一々為替レートなり何なり考えるのはややこしい。
生活に困るわけでもないのだ。日本に任せよう。
諸外国も、単に日本政府が魔央の威を借りて外交で圧力をかけてくるのが嫌だから独立しろと言っているわけで、僕達が日本政府の中で暮らすことまで文句を言っているわけではない。
この辺りはヴァチカンやサンマリノと似ている。
ところで、こういう話をすると、「日本は破壊神を抱えているのだから、どうしてもっと強気にならないんだ? 国民は怒らないのか?」という疑問を持つかもしれない。そこから「石田首相は弱腰だ」という話にもなるかもしれない。
首相が弱腰かどうかは分からないけど、結論としてはそんなことはない。
理由を説明すると、まず国家元首なり要人以上の部分ではシークレットになっているから日本国民が文句をつけることはない。
あと、日本という国が魔央の威を借りるとなると、魔央がうっかり世界を滅ぼした時にどうなるのかという問題もでてくる。
世界全てを滅ぼしたら関係ないけど、もしかしたら世界の半分くらいで済むときもあるかもしれない。
その時、日本が負う責任はものすごいものとなる。
だから、嫌だということだ。
ちなみにMAO王国は責任を取るのかと言うと、国家の破産宣告をすることになるだろう。
もちろん、世界の半分が滅ぶことのないよう、努力はする。ただし、世の中にはできることとできないことがある。
頑張ったけど滅んだ場合には諦めてもらうしかない。
日本のことについていうと、制度的な問題もあるんじゃないかな。
もし、破壊神がいるなんてなったら、日本の元首である天皇制度との兼ね合いで色々面倒なことになるかもしれない。
だから、そんな存在は知らないと隠しておくのがいいのだろう。
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