已己巳己

 二〇一三年六月、民俗学者である叢雲氏が蛟信仰に関する新たな論文を発表した。その中で、東京都西部に位置する応龍村の存在が明らかになった。


 苦労して村へ辿り着いた私を迎えてくれたのはうら若い一人の巫女であった。彼女は水地千歳と名乗り、ここは応龍村であると言った。件の鳴蛇村で話を聞いた巫女と同じ苗字だと思い出しそれを伝えると、「鳴蛇村のりんは双子の妹だ。」と教えてくれた。しばらく会っていないそうだがずいぶん仲が良いらしく、嬉しそうに妹のことを聞かせてくれた。

(叢雲和博『蛇と人間 関東地方の蛟信仰』より)

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