第14話 魔物の亜種
今回のゴブリンは武器を持っていたが、それはあまりよろしいことではない。
何故ならそういったゴブリンは群れの中での競争に負けて追いやられた個体ではない可能性があるからだとリュディガーは教えてくれる。
「ゴブリンは弱い魔物だが、それでも数が増えれば脅威が増す。それに数が増えればそれだけ強い個体が生まれる可能性が高くなる」
「代表的なのだと
こいつはゲームでいう魔法使い的な能力を持っているゴブリンらしい。
「それ以外にも身体能力を強化する真言で通常のゴブリンとは比べ物にならない力を発揮する
魔物は生まれながらに持っている真言は決まっている。
だが中にはその生まれつき以外にも何らかの要因で真言を手に入れ亜種と呼ばれる魔物が現れることがあるらしい。
こういった個体は生まれつき以外の真言を持っている時点で通常個体よりも強い。それだけで単純に真力による強化が入るからだ。
だから
(ただでさえ真力が増えてるのに特殊能力まで加わるとか今の俺が勝てる相手ではなさそうだな)
無理は禁物。真力が八になったことでその気になれば垂直飛びで二メートル近く飛べるくらいの身体能力を手に入れたが、この世界でそれは特別なことではない。
浮かれて無謀なことをすればあっという間に死んでしまうに違いない。
(だけどもし可能なら亜種の魔物は倒したいんだよな)
亜種の魔物はそうじて通常種より強いが、その分の旨味もある。それは亜種の魔物から手に入る最初の真言は魔物特有のもの以外の真言となるらしい。
例えを上げると
だがそこに階梯二の真言『火炎』が加わった個体の場合は『鈍感』より先に『火炎』が手に入る。
そしてそういった魔物特有のもの以外の真言の階梯は高く、また非常に強力な真言となっている傾向が強い。おまけに亜種の魔物は真言を手に入れ易いときた。
真言を多く保有して手に入り難くなっている状態でも強力な亜種の魔物からなら一体だけでも真言を手に入れられることがあるくらいだとか。
まあそれは今の俺にとってはあまり関係ないが、強い真言が手に入るのは十分すぎる魅力だ。
「……ちなみにゴブリンの亜種で倒し易い奴とかいますか?」
別に倒すと決めた訳ではない。あくまで情報収集だ。
まあもし可能ならチャレンジすることも考えていないとは言わないが、流石に命の危険を冒してまでとは思っていない。
「そうだな……今のお前でも倒せそうなのは
「単体ならってことは複数では無謀ってことですか?」
「
そして一方的な攻撃に蹂躙されてしまうわけだ。
「仮に今のお前がそういった集団と戦って勝つには奇襲か何かで
「……ですね。無理そうなのでそういう時は逃げることにします」
強い真言は欲しいが一か八かの命懸けはお断りだ。
現状、そこまでして無理をしなければならない状態でもない。そもそも亜種が現れると決まった訳でもないのだ。
「まあもう少し強い真言を手に入れたいお前の気持ちも分からなくもないから。今回のゴブリンどもの件が片付いたらお礼もかねてマシな真言が手に入れられる魔物を倒すのを手伝ってやるよ」
「本当ですか!? それは助かります」
身寄りもなく、いつまでもこの村にいられるとは限らないのだから力を手に入れておいて損することはない。
というかいち早く食事も寝床もリュディガーに頼りきりの現状をどうにかして一人で生きていけるくらいにはならないといけない。
今は利用価値があるからどうにかなっているが、いつまでも彼が俺を養ってくれるわけもないのだから。
(とは言ってもゴブリンを狩るくらいしか今の俺にできることはないんだよな)
まあならばそれを今はそれを頑張ることにしよう。魔物との戦闘経験を積むという点でも悪くはないのだし。
それからまた一月ほど村の周辺に現れるゴブリンを狩り続けたが、その数が減っている気配は全くしなかった。
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