第3話 どうなる、属性?プラチナイベントに振り回される彼は、ついに、あの封筒の中身を見てしまう。そこに、書かれていたこととは…?

 「じゃあ、君?この仕事、お願いね?」

 「…」

 「やっぱりやめますって言うのは、やめてね?」

 「…」

 「良いアルバイトだと、思わない?」

 「…」

 「ゆっくりで良いから、お願いね?」

 「はい」

 「ああ…。私って、何とまあ、やさしい女なんでしょう。若い子と、遊んじゃうんだもの…」

 「…若い子と、遊ぶ?それって、気持ちの良いエッ…いえ。何でもありません」

 「そう」

 「それでは!また、会いましょう」

 「ええ」

 炎の、約束だ。

 再会する日時は、翌日のこの時間、午前11時ということに落ち着いた。

 「勝った!」

 彼は、勝ちほこりすぎていた。女性と別れた後で、笑いをこらえるのが難しくなっていたほどだ。

 心の属性が、ぶれる。

 気持ちの中で、彼流のおたけびが続く。

 「あの女性が、俺に金を渡すためだけに、この場所にやってくる?また、明日もか?そんなことにだまされる俺様だと、思っているのか?あの女は、明日、この場所にはこないだろうな。そこそこの大金をちらつかせて、俺をつって、楽しもうというんだよな?結果的には、プラチナはプラチナだが、安い座席のチケットを使って、俺を押さえこもうと考えているに、ちがいない」

 心の属性が、どんどん、ぶれていく。

 「…ふん。どうせ、あのチケットは、裏の属性ルートで手に入れただけの安物さ」

 別れる前に、女性に言われたことが、思い出された。

 「君?絶対だからね?」

 「はい?」

 「絶対に…。絶対に、渡してね?」

 「はい」

 「お願いだからね?この封筒に入っているメモを、渡してね?目的地は、その封筒の裏に、書いてあるでしょう?」

 「あ、はい!」

 「しっかりね!」

 ここまで、念を押されてしまうとは。

 一体、どんな内容のメモなんだ?

 安心できたのは、封筒の裏に書かれた、この封筒を持っていく場所は、地図を見なくとも知っている場所だったということだ。

「運」のパラメータを上げておいて、正解だったようだ。

 そこは、「天下一武道会」という、武術大会の開かれる場所。

 「まずは、予選を勝ち抜くことね!」

 女性は、言っていたっけ。

 「でも、予選?」

武道会に出て戦えと、いうことか?

彼は、このミッションを無事に果たせるのか?

 「約束を、果たすんだ!このイベントで、俺は、神に近付ける属性を手に入れられるんじゃないか?LIGHT-LAW みたいな?」

 …しかし。

 結局彼は、ついつい、こう考えてしまうのだった。

 「そうだ。封筒なんか破いて、中身を見てしまえば良いんだ!どうせ、フツーの、店で買うようなメモ用紙なんだろう?封筒も、フツーの、店で売っているような封筒なんだろう?同じような物を買って、入れ替えてしまえば良いじゃないか」

 困ったねえ。

 こんなんじゃあ、「LAW ルート」にはいけませんな。

 属性を変えるのは、そう簡単なことじゃないんだ。

さて、さて…。

 封筒の中にあったメモに、書かれていたのは…?

 何、これ?

 ちょっと、待ってくれ!

 何なんだよ、このメモは!





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真ミステリー。LAW(ロウ)-CHAOS(カオス)-NEUTRAL(ニュートラル) 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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