2023年10月7日

 軍が私たちのアジトを強襲する。私たちはまだ休眠状態の秘密兵器を連れて包囲網を脱出しスラムに逃げ込む。群衆にまぎれて歩いていると配給所にたどりつくが、配給されているのは白い泥状の何かで食べられるのか分からないような代物である。私たちは肉屋を占拠して貯蔵室に潜むと、秘密兵器の目を覚ますために物を食べさせたり傷をつけたり話しかけたりする兵器は少しずつ反応を返すようになったがまだ話すことはできない。私たちは彼を映画に連れていく。映画は一族に捨てられた男が復讐を遂げるアクションものだった。彼は記憶を取り戻したがそれはたまたま隣の席にいた私しか気付かなかった。その映画館も軍に襲われ、私たちはバラバラになる。気が付くと荒れ果てたコンクリートの建物の中で私はうつぶせている。折り畳み式の机と椅子が二つ、三つある以外は家具のない殺風景な場所で、机の上には薄汚れた水槽が並んでいる。いくつかの水槽は倒れていたり床に落ちて割れており、床は水浸しになっている。左奥の一番大きな水槽の中には妙に赤く大きなタコが揺らめいている。身体が大きい割に頭の部分がひしゃげていて空をたなびく凧のようだった。これが彼の本来の姿らしい。元の黒いシャツの男の姿に戻さないと仲間に怒られると私は焦るが、自由そうな彼の姿を見ていると何もかもどうでもよくなった。

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