≪境界を超える者≫の宴2
『いやぁ~お風呂を覗かれると思ってたけど、全くそんな気配がないなぁ。≪
((((滅茶苦茶垣間見しています!))))
旭の心情とは裏腹に≪
「それにしても絶景ね。なんで世界遺産に≪
私は何枚目か分からないティッシュを鼻に詰め込んで血を止める。
「全くだよ!特に『聖剣』はアーサー王のやつを超えてるもん。私だったらいつでも抜けるし!」
「私の方が何回でも抜けるわ」
「あんたたちじゃできない抜き方も私ならできるよ?」
アーサー王に謝れと言われるほどの不敬だ。
「貴方たち、ちょっと…!黙りなさい!」
「どうしたの…まさか!?」
異変に気が付いた。詩たちがヘッドフォンに集中する。そこには、
『声よ轟け 夜のその向こうへ 涙で滲んでた~♪』
残響散○を歌っている≪
「≪
「一番近い盗聴器は!?」
「
※一番高価な盗聴器です
≪
そんな≪
「これで≪
≪
「ぇ…?」
「何で…?」
「…うそでしょ!?」
その異変とは、
「♪~」
≪
『歌詞がわかんなくなっちゃったなぁ~あははは』
「…」
≪
━━━
「…どうする?このままじゃ中途半端なASMRになってしまうわよ?」
「そんな中途半端なのを許すわけないじゃん。なんとかして≪
「そうよね」
≪
「でも、遠隔で伝えようにも、こっちのマイクをオンにしたら、私たちの『垣間見』がバレちゃうよね?」
「それはそれですよ。バレた時に≪
「…」
「沈黙は肯定ですよ?」
≪
ASMRが完成するか、私たちがオシオキされるかどうかの二択ならノーリスクハイリターンだ。
━━━
━━
━
「♪~」
(歌詞が分からん)
一番どころかサビすら全然微妙なのに、僕が歌えるわけがない。ただ、メロディーが素晴らしいので鼻歌で歌っても楽しい。
こう見えて僕はカラオケが好きだ。唯一の特技が声の良さだけだから、これで褒められるのは本当に嬉しい。
(褒めてくれる人が≪
それでも僕を認めてくれる人がいるという事実を喜んでおこう。
♪~
「ん?」
さっきまで僕が鼻歌で歌っていた曲が流れてきたのだ。だけど、どこを見ても何も見えない。上で詩たちが聞いているのかもしれない。それにしても僕が歌詞を思い出せない時に、本当にありがたい。
「ただ一人舞う千夜 違えない帯を結べば~♪」
『二番キター!≪
「え…?」
僕が鼻歌を歌っていると、シェーラ先輩の声が反響した。僕がぶんぶん首を振ってもどこにもいない。
「な、なんだ幻聴か。僕も疲れてるんだな…」
気を取り直して、
「この先どんなつらい時も 口先よりも胸を張って」
『エロエロ低音ボイス…グフっ、もう死んでもいい』
『≪
『≪
『その未来は一生来ねぇから』
(お、おかしいな。まるですぐそこに≪
僕は相当疲れているらしい。もう一度お湯に顔を付けて目を覚ます。気を取り直して続きを歌おう。
『アレ?≪
『いない!まさか!≪
『ズルいわよ!私だって生『聖剣』が見たい!』
二階からドタバタと音がした。
「…」
僕は悟った。
「≪
「帰れ」
「あ、はい」
風呂に入ろうとしてきた≪
そして、お風呂場を探索する。
「これカメラじゃない…?」
シャワーのヘッドの部分を見ると、カメラらしきものが搭載されていた。他にも床、天井、壁…よく見てみると、つい最近張り替えられたような形跡があった。
そこを捲るとカメラが付いていた。
「…」
僕はシャンプーを持ち上げる。すると、カランカランと液体とは違った個体の音がした。中身を見ると、明らかにシャンプーとは関係のない機械が入っていた。しかも、電源はオンになっていた。
そして、シャンプーを元の位置に戻すと、肘が当たって、石鹸がお湯の中に入ってしまった。慌てて取り出そうとすると、石鹸が溶けていく中に、黒い物体が現れた。取り出してみると、さっきシャンプーに仕込んであったものと同じだった。
僕はこれらを発見して堅く心に決意した。
もう二度と≪
そして、≪
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