冥府から覗く瞳
「これなら合格ね。お疲れ様」
「うひぃ…間に合った…」
詩の数学のチェックを終えて、僕は机に倒れた。詩から何度ボツを喰らったのか分からない。だけど、ようやく地獄のチェックが終わった。
「他の科目もなんとかなりそうね…こんなに勉強ができない人がいるんだとこっちもいい勉強になったわ」
「ぐっ、すいません」
シェーラ先輩が言葉に棘を持って僕に言ってきた。その通りなので、ぐうの音しかでない。しかし、最高で僕の方を見てきた。狙いなんてバレバレだ。
「お礼なんていいわ。後でもらうもの、ふひ」
「倫理に反するものはダメですよ?」
「中○しはセーフよね?」
「アウトに決まってんだろうが」
「倫理に反したことなんてどこにもないじゃない!ただ子種をもらうだけよ」
「それがアウトなんですって」
「こういっちゃ悪いんだけど、≪
「そういっていただけると助かります…愛莉もごめんね?中学生の妹に教えてもらうなんて兄失格だよ…」
「お兄様の助けになれたので良かったよ~。これで≪
「何か言った?」
「いいえ?」
ニコッと笑った愛莉になぜか戦慄を覚えた。
山学院高校のテストは二日間に渡って行われる。一日目に理系、二日目に文系科目だ。
中学生と同じで理科とか一括りにして行われるんだけど、その中身は化学と生物だったりと普通に科目数はヤバイ。結構ハードなスケジュールだけどこのテストを乗り越えられなかったら終わりだ。
時刻は今、朝の5時を迎えていた。ここまで色々あった。お風呂にあった数々の盗撮グッズを没収したと思ったら、リビングや洗面所、詩の部屋から廊下、トイレに至るまであらゆる場所に仕掛けられていた。
監視カメラが壁に埋め込まれているのはもちろんのこと、盗聴器が服にまで埋め込まれていた時は驚いた。
(随分、僕の服が新品になっているなぁと思ったら、そういうことだったらしい)
最初のうちは見つけるたびに怒っていたんだけど、僕の怒り声に興奮した≪
それでもここまで天才的で変態的な行動の原理は何なのかと≪
「≪
最後に「
ただ、変態たちに精神的に追い詰められ、勉強でも追い詰められでろくでもない思い出しかないけど、ここまでうまくいったのは僕を慕ってくれている≪
「君たちがいてくれてよかったよ。本当にありがとう」
「え?」
僕が素直にお礼を言ったことに驚いているらしい。四人が間抜けな顔をしていた。
「一人じゃ何もできない人間だったからね。≪
僕の心からの一言だった。変態で自分勝手だけど、≪
今回の勉強はもちろんだけど、最古参の≪
「≪
(少し臭いセリフだったかな?だけどこのぐらいは恰好つけさせて欲しい)
ただ、≪
「これから作戦名≪
「≪
そんな話があったのかと思い出そうとしても何も出てこない。
「英語のカンニングよ」
「やっぱさっきのセリフ返して」
史上最低なことが最後に残っていることを忘れていた。
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