≪冥府の花嫁≫と???
『ああああ職員会議死ねよ!なんでAKARIのしりぬぐいをしなきゃあかんねん!』
『申し訳ありません。ダメダメな≪
佳純先生は自分の教室で起こった宮下さんのことで職員会議に当事者と仲良く強制召喚させられていた。自分の教室で起きた問題なので断ることもできず、僕にありのままを伝えてきた。その後、僕に対する謝罪文が送られてきたんだけど、ちょっぴり傷ついた。
『生徒会会議なんて生産性の全くないことで時間を無駄にさせるんじゃねぇよ!お兄様とイチャイチャする時間がなくなるじゃねぇかクソが!』
『私がいないと勉強が全くできないお兄様、ごめんなさい…ダッシュで終わらせるので≪
愛莉も生徒会会議があるらしい。この感じだとどうしても外せないものなんだろう。愛莉も最後に謝罪文を送ってきたんだけど、傷つけられた。
(二人とも僕を傷つけるのはなんでなん?本心から心配して言ってるんだろうけど、余計に傷付けられるよ…)
となると、今日の放課後の勉強は「私と二人きりね!」心を読まないで?
「あの邪魔者たちがいないなんてすばらしいわ!今日は夫婦の時間を楽しみましょう?」
「夫婦じゃないけどね。後、なんで僕の教室にいるの?明らかに早すぎるでしょ?」
佳純先生はHRが終わるとすぐに宮下さんを連れていった。その時に拳から血が流れていたのを僕は見落とさなかった。
「授業中の旭を見てマウントを取ってくる≪
僕にそういってラインを見してくれた。グループ名、『≪
『お風呂で鼻歌を歌ってるお兄様の声を聞いてるなう。祝福やぁ』
『≪
『≪
「…」
いつ撮ったんだか分からない画像、音声ファイル、動画が『≪
「それじゃあ図書室に行きましょう」
「え?家じゃないの?」
「家じゃ愛莉が邪魔してくるでしょ?義妹とは仲良くしたいけど、夫婦の時間を取りたいじゃない?」
「夫婦じゃねぇのよ」
「図書館デートって夢だったのよね」
既に自分の世界に入っている詩には何をいっても無駄だ。散々、≪
図書室は校舎とは別館にある。進学校ということもあって図書室は結構しっかりしている。受験生や勉強したい生徒たちがたくさんいるらしい。らしいというのは入学式の日の学校案内で行ったきりだからだ。それ以来は一度も来たことがない。
「お、おお、凄い勉強してる…」
「馬鹿丸出しのコメントをしてる旭が可愛すぎるわ」
「ほっとけ」
詩が僕をからかってくるが、本当に凄いのだ。整理整頓された本棚に蔵書の数々、そして、何よりも本気で勉強している生徒たちの雰囲気は並大抵のもじゃなかった。この空間の中で勉強したら、頭がよくなりそうだ。
「あそこが空いてるからあそこでやりましょう」
「うん」
丁度、僕と詩で向かい合える席があった。椅子を引くと後ろの席の女の子に当たりそうだったので、気を付ける。
(それにしても随分綺麗な銀髪だなぁ…)
一瞬だけ見惚れてしまったが、眺めてしまっても失礼なので、僕は鞄から取り出す。
「私も銀髪にした方がいいかしら?」
「心を読まないで?」
詩がちょっとムスッとしながら言ってきたんだけど、銀髪の彼女に聞こえてしまったらしい。銀髪の彼女がこっちを見てきた。先輩らしいけど、顔も超美人だったのでびっくりだ。若干訝し気な視線を僕に送られた後、どうでもいいかのように勉強に戻った。
(うわぁ、絶対変な奴だと思われたわぁ)
ここ数日で色んな人間からマイナス評価をされるからたまには高評価を貰いたい。
「顔も良くないし、勉強もできないし、運動神経も壊滅的な貴方を好きになる人間なんていないでしょ?現実を見なさい」
「僕の周りに優しい女の子はいないのかな…」
「だから、目の前にいつでもずっこんばっこんできる絶世の美少女がいるでしょ?旭にとっては現実の方が甘々なんじゃなくて?」
「おかしいなぁ。僕の前にいる美少女のせいで傷ついてるんだけど…」
「愛の鞭よ。分かりなさいって、この馬鹿…」
言ってる内容は最悪だけど、最後の一言に若干、ときめていてしまったのが悔しすぎる。
「あっ、馬鹿ってそのまんまの意味だからね?か、勘違いしないでよね!」
「事実だから何も勘違いする要素はないけど、ときめきは返してくれ」
「おかしいわね。旭がドロップした音がしたんだけど…陰キャはツンデレに弱いっていうデータは嘘だったのかしら…?」
「そんなデータは滅びてしまえ!」
暴論を投げつけてくる詩に僕は声を荒げてしまった。すると、後ろの席に座っている銀髪の先輩が僕を睨んできたので、頭を下げた。舌打ちをされた気がしたけど、悪いのは僕だ。いや、詩だ。
「私のせいにするなんて…DVな旭もス・テ・キ♡」
「この際だから聞かせてくれ。どうやって心を読んでるの!?」
「ゴホン!」
「!」
声のした方を見ると、僕の方、じゃなくて、僕をガン見している銀髪の先輩がいた。
「ちょっとこっちに来てくれる?」
「はい…」
僕は銀髪の先輩に連れてかれた。
━━━
━━
━
「なんで連れてこられたかはわかるわよね?」
「はい…」
僕は図書館の外で怒られていた。銀髪の先輩は腕を組み、視線で僕を非難していた。めっちゃ怖い。
「旭が欲情してるわ…シェーラ先輩みたいに私も旭をゴミを見る目で見た方がいいのかしら?」
「台無しだよ」
ん?シェーラ先輩?
「私の名前を知ってるのね…確か、音無詩さんだったかしら」
「私の名前を知ってるんですか?」
「…まぁちょっと、耳にする機会があってね…」
「そうですか、光栄です」
「どうでもいいわ」
ぺこりと詩が頭を下げるが、詩に対しても少し敵意を持っているような素振りをしていた。すると、置いてかれている僕に詩が彼女を紹介してくれるらしい。
「この人は三条シェーラ先輩。風紀委員長で三年生で首席の先輩よ」
「あっ、どうも。山井旭です」
「ええ、紹介の通り三条シェーラよ。それより山井…あのもしかしてだけど『聖剣』を抜いた?」
「あ、えと、はい」
僕が答えるとさっきまでの叱ってやろうという表情からゴミを見るかのような表情に変わった。
「私の持論なんだけどね。振る舞いって人の心を表すものだと思ってるの」
「はぁ」
「そんな私からしたら『聖剣』を抜いたあんたなんて軽蔑の対象よ。はっきりいって近くにいて欲しくないわ。図書室も穢れてしまうし、二度と近づかないで頂戴」
「…」
言うだけ言ってシェーラ先輩は図書室に戻ってしまった。僕が茫然としていると詩がまた僕に説明してくれた。
「シェーラ先輩は優秀なんだけど、潔癖がすぎることで有名なのよ。≪鉄の処女≫なんて言われているわ」
「なるほど…それはいいえて妙だ。だけど、詩に対しても敵意を持つなんて、相当だね」
「アレは別の…いいえ、なんでもないわ。馬鹿な旭に言っても時間の無駄だわ。家に帰りましょ」
「泣くぞ?」
僕が図書室に出禁になったので、家に帰って勉強することになった。
━━━
━━
━
「ただいま、お父様、お母様」
「おかえりなさ~い」
「今日もせいが出るな」
私、三条シェーラは少しデカい屋敷に住んでいる。父は貿易会社の社長で母は北欧系のハーフで元モデル。私はクオーターということになる。
「ええ。今頑張らないと受験に負けちゃうもの」
「イイ心がけだ。三条家たるもの心まで清廉潔白、質実剛健でいなければならない。その点、シェーラは自慢の娘だよ」
「ほめ過ぎよ」
父様から褒められて、フンと鼻を鳴らしてしまう。
「ご飯はいつも通りの時間でいいの?」
「ごめんなさい…本当は父様と母様と食べたいのだけれど、この時間が一番集中できるの」
「そう…」
母様が悲しそうな顔をするが、こればっかりは譲れないのだ。
「無理はするなよ?」
「ええ」
私は二階にある部屋に戻ると、鍵を閉め、カーテンを全部閉める。
そして、制服を脱ぎ、部屋着に着替える。制服の乱れは私の乱れ。勉強にも影響をきたしてしまうので、こういうところでも気を抜かない。音が漏れないように隙間にガムテープを張ることも忘れない。
パソコンを開いて、勉強する準備が整った…というわけではない。私はユーチューブのチャンネルを開いた。
「父様、母様…ごめんなさい。私は今から悪い子になります…」
私の夜
「≪
よだれがたれ、頬を紅潮させているその姿からは≪鉄の処女≫というには全くふさわしくなかった。
「ああ、≪
放送禁止用語を一人でぶつぶつと呟き、恍惚の表情を浮かべていた。
「今すぐにでも≪
帰り道のコンビニで買ってきたカードを入力して課金を完了する。両親から参考書を買う用にもらったお金だけど、すべては≪
「はっ!イケない!前も理性を失って、≪
理性を取り戻したと同時に昼間の事件が思い出される。
「それにしても音無詩…私の≪
(敵意を抑えきれなかったのはまだまだ未熟な証拠ね)
ただ、それよりも気になることがあった。
「あの『聖剣』を抜いた、山井だったかしら。彼の声が≪
そう考えると脳が一瞬で冷めていった。もし本人だとしたら、私はなんてことをしてしまったのだろうか。AKARIのようにネット内で糾弾されてしまう可能性がある。そんなことを想像して、恐怖が…
「≪
あるわけがない!
≪
「はぁ~、幸せぇ~」
≪
表では潔癖の才女、しかし、裏では淫欲の化身。その、≪
「≪
潔癖の皮を被った悪魔が聖域に踏み入れた。
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