【R18】後日談① 押し流される
「~~~~~っ!!」
その奏多の姿を見た修吾は、飲みかけていた水割りのグラスを叩きつけるようにしてローテーブルに置いて両手で顔を覆い隠す。
「…ナニ」
風呂上がりの奏多が修吾のリアクションに苦り切った顔になる。
結局彼女は日中に訪れたショッピングモールで自分用のパジャマを買った。というか、気に入ったパジャマを見つけた修吾が遠慮する彼女を押し切って買い与えていた。
グレーと白の、幅の広いボーダー柄のもこもことしたパジャマ。ショートパンツからは形の良い脚がすらりと伸びている。
「…ごめん、無理」
耳まで真っ赤にした修吾も苦り切った声で言う。
「…ナニそれ。修吾が着れって言ったんじゃん。…だからあ、ジェラピケは私似合わないんだって」
「…違う、そうじゃない」
修吾は顔は背けたまま、彼女がいるであろう方においでおいでとする。
「…」
奏多がためらいながらもその腕に近づく。修吾の指先がパジャマに触れたところで彼はそれをくいくいと引っ張って彼女を呼ぶ。
「…」
彼女がまた無言で彼の隣に腰かけると、奏多の方は見ないまま片手で彼女を抱き寄せる。
「…直視できない。俺が悪かったから許して」
「何言ってんの」
「…あー、もう、可愛すぎる。可愛いって言葉じゃ足りない。可愛いの最上級ってなんかないの」
「あのさあ」
「ん?」
「修吾さん、アラサーのいい大人ですよね?」
「…いや、そうなんだけど。…でもダメなんだよ。お前は…」
恐る恐るようやく彼女を見た修吾は「あー。やっぱ、無理…」と言って彼女の唇を奪う。
「…っ」
唇の輪郭を伝う修吾の舌先の感触に、奏多は体を縮こませる。
修吾は彼女の唇の感触をすべて記憶しようとでもいうように丁寧に、その唇に吸い付いて、舐めて、甘噛みした。長い長いキスだった。
は、と奏多の息が上がったところに修吾の舌先がその口内に滑り込む。逃げようとする彼女の舌を追いつめて逃がさない。ようやく触れたそれに、修吾の舌先が絡みついた。
「…っ!」
ちゅる、と音を立てて吸われると彼に開かされた口から鋭い息が零れる。
彼の肩に添えられた腕は小さく震えていた。
かろうじてといったように修吾が彼女の唇を離すと「奏多、…向こう、行かね?」その口を彼女の耳に添えて修吾がささやく。
修吾が差し伸べた手に奏多が触れると、彼はその手を掴んで寝室へと招き入れる。
促されるがままにベッドの中央に腰かけた奏多は、再度降ってきた口づけにその身をベッドに預けた。
修吾は奏多の顎に触れて口を開かせると、舌先で彼女の歯の一つ一つと、そして歯茎の感触までも楽しむようにその口内を探っていく。
舌先が触れ合うと彼女が彼の肩を押しやるようにした、その手を修吾はそっと掴むとベッドに縫い留めるように握る。
執拗ともいえるキスが彼女の息を奪っていく。
それが終わったころには、彼女の息は乱れ切っていた。細く速く呼吸を繰り返すその首筋に修吾の唇が触れる。
「…っ!」彼女は鋭く息を吐くと顔を背けた。それによって更にさらけ出された首筋を修吾の舌が這う。
「…は…」
小さく声が零れる。修吾は彼女の首筋、そして耳までを舐めあげる。
ちゅく、と小さな耳たぶを口に含んで舐った後で、修吾は熱い息を漏らしながら、舌先で彼女の耳の輪郭をたどる。
「…ん、…っ。…ふ、」
彼女の体がざわめくのとともに、固く結ばれているはずの彼女の口から僅かな声が漏れる。
修吾は彼女の耳の軟骨部分までたどり着くと、そこを柔く噛んだ。
彼女の体が震える。呼吸がもっと速くなる。修吾の下半身は痛みを感じるほど膨れ上がっていた。
そのまま耳を甘噛みしながら修吾が指先で彼女の双丘の片側に触れると、彼女の体がビクッと大きく跳ねた。
それにかろうじて理性を取り戻した修吾は、年頃の彼女への申し訳なさと自らの衝撃を抑えきれなかったふがいなさでいっぱいになったようなって体を起こした。
「…ごめん。急すぎた。…悪い」
「…」
浅い息を繰り返す奏多は彼から視線を外したまま、ギュッと彼の服を掴む。
「…だい、じょうぶ、私も、もう…分かんない」
お前、馬鹿じゃないの。そういうこと言うなって。ほんとに、限界なんだから。
「…無理だったら言えよ」
答えは待たずに修吾は彼女に口づけた。
それと共に、彼女の細い腰を掴んで破裂しそうなほどいきり立った彼自身を彼女のショートパンツの中心に擦り付けるようにする。
くぐもったうめき声が彼女の口から洩れる。
修吾は彼女の服の中に腕を進めて下着をずり上げると、その乳房をかろうじて優しく包み込む。その動きに伴って彼女が息をつき、体をざわめかせる。
その誘うような脈動に許しを得た彼は彼女の服を剥ぎ取ってその胸の中心を口に含んだ。
「ちょ、…っ…」
修吾は口の中でそれをコロコロと嘗め回しながら奏多の顔を見やる。
奏多は腕で目元を覆い隠すようにしていたが、修吾はそれを引きはがした。
「っ、」
「…ちゃんと、見せて」
見せつけながら乳首を舐め上げて、優しく口に含むとそっと甘噛みする。もう片側は爪先で細かに引っ掻くようにする。
「…ーーっ!」
奏多は快感よりも困惑が多いような顔で顔をしかめた。
しばらくそれを舐りながら彼女のショートパンツを剝ぎ取ると、舌先で彼女の体の隅々までを味わいながら下へと辿っていく。
浮き出そうなあばら骨。彼女が息つくたびに上下する腹部。その中心にある臍。途中、彼を制止しようとする彼女の手のひらを捕まえてキスをする。そこから伸びるか細い指の一つ一つを口に含む。
「ちょ、…やめ、て。くすぐったいよ…」
「…くすぐってんの」
彼女の顔を見ながら腕の内側にキスをする。
「…ふ、」
弱弱しく漏れた吐息とともに観念したように彼女の体から力が抜ける。
浅く繰り返されるその息に少しだけ正気に戻った修吾は「…そろそろやめとく?」と名残惜しそうに手のひらに舌を這わせながら彼女の顔色を窺った。
「…ねぇ、もう、聞かないで」
「…心配してんの」
「…もう、いいから」
「ホントに?…俺もう、…流石に止められる自信無いよ」
「…ん」
また目元を覆い隠してしまった彼女は短く応えた。
それを聞いた修吾は乱雑に服を脱ぐと、彼女に何度目になるか分からない口づけを降らす。
奏多は初めて直に感じる彼の体温にまた体をざわめかせる。修吾の体にひんやりとした彼女の体温が伝わる。
その口づけの合間にも、彼は自分自身を奏多の中心に押し付ける。先ほどとは違う、頼りないレースのショーツの感触。
「っぁ、…」
修吾はたまらず彼女の細い足を持ち上げて、唇を恥部に移した。
「ちょっと!…ま、って…!やっ…!」
ショーツをこじ開けてそこに吸い付く修吾を、奏多は彼の頭を押しやることで逃げようとする。
それでも修吾は、その固く閉ざされた扉を柔らかにこじ開けようと舌先を僅かだけねじりこませる。
「…しゅうご、…やめ、…ぅ」
修吾の頭を掴んでいた手から力が抜ける。修吾はその乾いた扉を潤そうと唾液を送り込む。しばらくして、ピチャピチャと淫靡な音が部屋に漂い始める。
「ぅ、…ん、…」
まだ羞恥が勝っているその声を聴きながら、修吾はかつての彼女には開けないよう告げたベッドの下の引き出しを開ける。
そこから彼女とつながるために必要なものを取り出すと、それを自身にまとわせ奏多の耳元でささやく。
「…いい?」
「…ん」
彼は奏多にキスを降らせながら最後に一枚残っていた彼女の下着を脱がせ、痛みを感じるほど滾った自身を奏多の中心に擦り付けながら最後の理性を振り絞る。
「奏多」
「ん」
「ホントに無理しないでいいから、ちゃんと言って」
「…ん」
修吾は彼女の中に腰を進めようとする。ぎしっと彼女の体が軋む。
奏多は一言も漏らさず体を固くして震える手でシーツを握りしめている。
十分潤したはずの奏多の体はそれでも、ぎちぎちと彼を締め付けてそれ以上の侵入を阻む。修吾は奏多の耳を舐めて囁く。
「かな、力、抜いて。入んないから」
「…わ、かん、ない…」
「吐くの、息を。できる?」
「…は、…っ」
「もっと、ゆっくり、長く吐いて」
「はぁ…はぁ…は、ーーーーっ!!」
彼女が息を吐いている間にその中に入り込もうとするが、必死に抵抗するようなその硬さと彼女の顔に浮かぶ苦痛にそれ以上何もできず、いたたまれなくなって修吾は彼女を抱きしめた。
「…やめないで」
「いいから、無理しないで」
「だいじょぶだから」
「…もう、俺だって我慢すんの限界なんだよ。煽んな」
「…修吾」
乞うように名を呼ばれたら。もう、我慢ができるはずがなかった。
彼は彼女の頭を抱えるようにして抱くと、ごめん、と思いながら無理くりに彼女の中心を切り開いていく。
「……っ!う、う……っんっ!!」
奏多が口を腕で強く抑えて体を震わせる。
「…き、つ…っ」
修吾もそう漏らしながら狭いその最奥にたどり着こうとする。やがて彼女の体の中心にある壁に行きつくと、彼は熱い息を吐いた。
奏多の顔を窺い見ると目を固く閉じて涙を零していた。
それでも修吾がキスをすると、ぎこちなくもその求めに応じてくれる。初めて、彼女が修吾の舌を自ら求めた。
そのいじらしい彼女の仕草に修吾はたまらず腰を動かした。未だ彼を拒むような固く乾いたそこを、彼女が喜べる部分を探るように、上をこすって、下をこすって、奥の壁を突き上げる。
「…、っ、く、…っ…!」
奏多は修吾が体を貫くその衝撃に押されるがままに息を吐きだしている。
その合間に、修吾は自分の親指に十分に唾液をまとわせて彼女の繊細な突起に触れた。
「っぁ…!」
ようやく彼女がそれらしい吐息を漏らしたのをいいことに、そこを柔らかくこねるように擦る。
彼女の中にじんわりと暖かな蜜がにじみ出てくる。修吾はキスをしながらその蜜をかき回すようにする。
「…あ、やっ…!」
彼女の中のあるところを責め立てた時に彼女が漏らした声を、それを待ちわびていた修吾は聞き逃さなかった。
「…どこ?この辺?」
「あ、やだ、…っ」
「ねえ、…ここ?」
「や、だって、ば、…っ」
「…ああ、やば。お前、そんな締めんなよ。…ここだろ」
奥にほど近いところをえぐる様に突き上げれば、「っ…やぁっぁあっ…!」と彼女が顔を隠すことすら忘れて驚いたような顔で小さな悲鳴を上げる。
全身がくねるように脈打ち、形のいい顎が持ち上がる。彼女の中が一際締まる。
「ねえ、言って奏多。気持ちいい?」
彼女の反応でわかるだろうことを修吾はあえて問いながら、粒粒としたそのヒダを何度もゆっくりとこするようにしてやる。
「やぁ、だ、っ…や、やめて。いや、…まって、おねが…い…ぁ、っ、」
初めて与えられた快感に怯えたような顔の奏多は、涙を零し続けながらかすれた声で修吾の顔を懇願するように見る。
その信じられないくらい淫らな表情に、修吾が一層固く大きくなる。
「やだ、やめない。大丈夫だから、奏多。めちゃくちゃ可愛い。もう、俺も、わけわかんなくなる」
奏多の頭を抱えて彼女の耳元で囁く修吾は、そこを突き上げる腰の動きを速めた。
「っ、ふぁ、あ、あ…!」
奏多はその衝撃の一つ一つに体を震わせながら、よりどころを求めるように彼の背に腕をまわす。修吾も奏多の背に腕を回して彼女をきつくきつく抱きしめて舌を絡める。
二人が繋がっている部分から、くちゅくちゅとかすかな水音が聞こえ始める。
「ん、はあ、あぁ…っ」
奏多の全身に力がこもり始める。
「…っ、まって、…そこ、や、…」
彼を止めようとして奏多が伸ばした手は、修吾にギュっと指先を絡められベッドに押し付けられる。
「…ね、ぇ…それ、だ、めっ…!」
その中が修吾の動きを再度押し止めようかというようにきつくなっていく。
修吾は止めてみろよとでも言うように、滑らかになった彼女の中でよりその動きを速くする。
「…しゅうご、…も、…むり…っ、やだ、や…っ!」
「…俺も」
彼女のつま先から始まった震えがやがて腰に達すると、彼女の中は修吾を絞り上げるように痙攣した。
「は、っ…ぁあぁぁぁ…―っ!」「…っ…!!!」
二人とも、自分の体を襲った快楽の波に耐えようと体を固くする。
そのまま、その味を確かめるように動けない。
やがて奏多の息が落ち着いたとき、修吾は彼女に柔らかくキスをした。ようやく体の力を抜いた彼女は、そのキスに意識を手放した。
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