第226話 猫人族の祠
日本へ帰るのに入らないといけないダンジョンのゲートへ、15万人の日本人を連れて移動している。
事前にホワタに乗って猫人族が住んでた場所に祠があるのを確認して、祠に魔力を入れるとゲートが開いたのも確認している。
スタンピードを防いで、大陸の殆どのダンジョンは攻略して破壊した。
だけど東の国々は、スタンピードで壊滅的な被害を受けてしまった。
東に住んでいた亜人と呼ばれる、猫耳に尻尾が付いている人みたいな色々な特徴のある種族、人間とは少し違う人達はルーガ帝国に避難して来ていたけど、差別が酷くて荒廃した土地でも直ぐに東の故郷へ戻っていった。
リベルさんが皇帝じゃ無かったら、援助も無かったと思う。
俺達5人とホワタとオークキングとリベルさんだけでダンジョンは攻略した。
俺がダンジョンボスを倒して、リベルさんがダンジョンコアを破壊していった。
リベルさんはコアを破壊し続けたら途中で成長しなくなったけど、最後までコアを破壊してもらった。
リベルさん
「アイスが居るから人類最強じゃないけどよ、物語に出てくる英雄ぐらいには強くなったんじゃないか?」
実際リベルさんはレアスキルを幾つも手に入れて、魔力も凄く上がっている。
リベルさんのスキルスロットも増えたので、一部のスキルは俺が有効なスキルに変えた。
前回の異世界のセンベーさんよりも、ずっと強いと思う。
あれだけ強くなれば俺が居なくても、まだまだ不安定なルーガ帝国を上手く統治していくと思う。
俺がリベルさんが良いと思ったのは、異世界人だけど奴隷制度に反対で、亜人に対しても差別意識が無いからだ。
ただ奴隷制度は廃止されてない、貴族も裕福な商人も奴隷を手放したく無いし、貴重な財産だから取り上げたら、反乱が無くならない状態が続いてしまう。
それでも少しずつ奴隷も亜人も、待遇は良くなっている。
何れ奴隷制度は無くすと、リベルさんは言っていたので信じる。
祠に俺の魔力を流したら、日本へ戻るダンジョンのゲートは開いたままなので、入ることは問題ない。
だけど周りの荒廃した土地を何とかしてから、ダンジョンへ入りたいと、日本人の皆んなには伝えてある。
直ぐに日本へ帰りたいと言ってきた人達は、ダンジョンへ入ってもらう。
残った日本人2万人と、一緒に此処へ戻ってきた亜人達の50万人で、灌漑工事や街の再建を一緒にやる。
マンジュウさん
「私は良いことだと思いますよ、時間に制限があるわけじゃ無いんです、皆さんが元の生活に少しでも戻れる様にしましょう」
センベーさん
「そうだね、ダンジョンが増殖しなくても、スタンピードを終えるまで時間が掛かって、沢山の人が死んでしまったよ、この状態を放置して去る方が何か嫌だよね」
ナナさん(清水奈々さんは2年の間で「アイスさんと呼ぶので、私も清水じゃなくナナと呼んで下さい」と言われてナナさんと呼ぶようになった)
「私は日本へ戻らないので、ホワタとオーキンと異世界で一緒に暮らしますから、皆さんとまだ一緒に居られて嬉しいです」
アケミさん
「この年になったら1年も2年も変わらないわよ、最後まで手伝うわ」
ナナさんは日本へ帰るダンジョンには、入らないと言っている。
ホワタを残して帰れないし、俺が連れてきたオークキングも魔物支配スキルで友達になったらしく、仲良くしてる。
オーキンと呼ばれるオークキングと仲良くしてる女子高生とか、見た感じは色々と困惑するが、思ったより上手くやれているみたいだ。
オークキングがもし暴れても、ホワタが殺すから大丈夫なのかな?
まぁオークキングはビックリするぐらい大人しくなったので、異世界人に怖がられる以外は問題ないだろう。
俺達が東の地域の復興を手伝っていたら、2年以上の時間が過ぎていた。
秋の収穫が一段落ついて生活が上手く回り出していた、季節はもう11月になる。
異世界に来てから5年7ヶ月、一緒に来てた日本人の殆どが、既に日本へ帰るダンジョンに入っている。
バラバラに逃げていた猫人族の人達も、祠の近くに戻って来ている。
前回の異世界で、転移して来た日本人が魔王と魔族だと言う伝承を教えてくれた、猫人族のシャーマンさんも居た。
猫人族のシャーマンさん
「この祠は昔から最悪の災いを封印してあると教えられてたけど、違ったんだねぇ」
結局、俺達と最後まで一緒に復興を手伝ってくれた日本人は3000人程だった。
秋の収穫祭と、俺達日本人との別れの祭が始まった。
ナナさん
「皆さんと別れるの辛いです、でもホワタとオーキンと離れるのは嫌なんです」
「私は異世界でこのまま暮らします、皆さんお元気で、、」
ナナさんが涙を流し続けて別れの挨拶をした。
日本へ帰るダンジョンのゲートに、ホワタとオークキングは入る事が出来なかったので、ナナさんとは暫くお別れだ。
センベーさん
「皆んなを日本へ帰したら、僕とアイスさんとマンジュウさんは戻ってくるつもりだよ!ナナちゃんまた会おうね」
アケミさん
「あたしは日本の家族に会いたい、ナナちゃんとは最後になるわね、もし、もしあなたが日本へ帰って来たら会いましょうね」
アケミさんとナナさんが泣きながら長い時間、抱擁をしてる。
次の日の朝に仲良くなった亜人さん達や、ナナさん、ホワタ、オークキングがゲート前まで最後のお見送りをしに来てくれた。
俺達は皆んなに手を振りながら、ゲートの中へ入って行く。
一緒に最後まで居た日本人達がゲートの中へ入って、アケミさんが中に入り、俺が中へ入り、センベーさんとマンジュウさんが最後にゲートへ入った。
誰も居ない、ゲートの中は静かだった。
後から来たセンベーさんとマンジュウさんの顔は凍りついていた。
目線は俺の手元に向けられている。
俺の右手は、アケミさんの頭を髪の毛を掴んで持っている。
胴体の無いアケミさんの頭からは、血がまだ滴っていた。
センベーさん
「アイスさんがやってないと分かってるから、大丈夫だから、、、」
「アイスさん聞いて、今から最後の提案をするよ」
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