第227話 最後の提案

俺の右手にはアケミさんの生首がある。

記憶が無い、彼女を殺してもいないし、首を切り取ってもいない。


『やってないと思いたい、、、記憶が無いんだ』


これが暴走してるって事?俺がラスボスになってアケミさんを殺したの?


センベーさん

「アイスさんがやってないと僕達は知ってるよ」


マンジュウさん

「うん、、ですがアケミさんの弔いだけしましょう」


2人は俺を気遣ってるから言わないだけで、アケミさんを殺したのは客観的に見たら俺だろう、、、


頭しか残ってない、、アケミさんを火葬して墓をつくる。

アケミさんの墓をつくるのは2度目だ。

今回は俺の手が震えてる、、考えれば考えるほど俺のせいだ。


約20万人もの日本人がゲートから先に入ったはずなのに、誰もいない。

これだって記憶が無いだけで、俺が全員を殺したんじゃ無いか?


山根さんが言った、最後は俺が裏切り全員を殺すという言葉が、頭に何度も浮かぶ。


アケミさんに謝り、いや謝って済むなんて無いな。

それでもアケミさんの墓の前で謝り続ける。


一瞬だと思ってたら長い時間が経ってたみたいだ、話があるとセンベーさんとマンジュウさんが真剣な表情で話し掛けてきた。


センベーさん

「アイスさん、僕とマンジュウさんで考えたんだ、どうやって皆んなを日本へ戻せるか?この不可解な状態を解決できるか?」


「アイスさんは絶対、人を殺す時も望んで殺しなんかしてない!僕はアイスさんと10年、このダンジョンに居た時間を含めたらもっとか、ずっと一緒に居て見てたから、知ってるよ」


「だけど日本へ皆んなを戻すのは、アイスさんじゃ無理だと思った」


俺じゃ皆んなを日本へ戻せない?


マンジュウさん

「このダンジョンに入って私も同じ意見になりました」


「アイスさんのせいじゃないのは分かってます、それでもアイスさんでは、どんなに強くても日本へ皆んなは帰れないと思います」



センベーさん

「僕達から最後の提案があるんだ」


俺とセンベーさんとマンジュウさんは先にセーフティーゾーンの建物を探して、そこで話そうと移動する。


アケミさんの墓に最後にまた、合掌してから移動する。

墓の方を何度も振り返ってしまう。


何時間も歩くとダンジョンにある、セーフティーゾーンの建物を見つけられた。

中には誰も居なかった。

やっぱりあれだけ多くの日本人が、ダンジョンへ入ったのに誰も居ないのはおかしい。


よくある鉄筋コンクリートで作られているような見た目、無骨な直方体の建物で、学校の校舎のようだ。

中は部屋が100室も有り、24時間ブッフェ形式で食事が摂れる食堂や温泉、服や小物が置いてある部屋等、生活に必要な物が揃っていて、いつの間にか補充や清掃がされている場所だ。


お腹は空いてなかったが、ゆったりと寛げるソファーもある食堂で話す。


最後の提案って何だろう?何で最後なんだ。


センベーさん

「アイスさん、ずっとここに居るといつか消えてしまうんだよね」


『うん、確か前回ここに来た時にセーフティーゾーンで長く住んでる人からも、そう聞いたよ』

『その人の予想で消えた人達は、日本へ帰ったんだろうと言ってたけど、俺は日本へ帰ったとは思えない』


マンジュウさん

「センベーさんと決めてました、3人が消えるまで此処で暮らしましょう」


これが最後の提案?何の解決にもならないよ。

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