第225話 皇帝の死
山根さんが爆発して死んだ。
最後は一気に色々な情報を俺に言って、聞き返す暇も無く死んだ。
俺の目の前に居る皇帝ルシーセも、オークだと言われて無ければ人間にしか見えない。
鑑定しても前にルシーセを鑑定した時と同じ表示がされている。
でも明らかにルシーセと違うのは分かる。
目の前のルシーセはルーガ語を喋る事も出来ず、俺を見て震えてる。
俺は抵抗もしないルシーセの指に着けられている、2つの指輪を抜き取る。
指輪を抜き取った直後に、肉体が膨れ上がりオークに変身した。
オークにオリハルコンの首輪を着けて、首輪にチェーンも取り付け、チェーンの反対側を俺が持ち、引っ張って連れて行く。
オークは少し抵抗したが、火魔法で痛め付けると声を上げながら俺に従って着いてくる。
帰りも城の中では俺を見つけると攻撃してくる兵士が居るけど、殺さず氷で動けなくして無視して城の外へ出る。
オリハルコンの家の中で待機してる皆んなの所へ戻る。
城の中での事を話すが急展開過ぎて、色々な質問をされる。
ルシーセが何故オークとか?邪神って何?スタンピードでダンジョンは増殖しないの?とか色々と聞かれても俺も答えられない。
『清水さんオークの通訳は出来そう?』
清水さんは魔物会話スキルがあるので、魔物と会話が出来る。
ただ四聖獣の亀とは会話が出来なかった、会話じゃなく感情を読み取るらしいので、理性を失った魔物とは無理みたいだ。
清水さんは魔物支配スキルも持っているけど、ホワタ以外には成功してない。
清水さんはホワタは友達と言っているが、本当に友達なんだろう。例外な魔物だ。
清水さん
「このオークは会話できます、感情が読み取れますから通訳できますよ」
良かった、オークに何でルシーセに変身してたのか聞いたら
「邪神様から永遠の命を与えるので、佐藤氷を殺せと命令された」
俺を殺す為に山根さんと協力して、色々と準備をしたそうだ。
山根さんから、ルシーセになるように言われたみたいだ。
オークを鑑定するとリスタート4とあるので、確かに死んでもリスタートするから永遠の命ではあるのか。
オークは4回全てで俺に殺されたそうだ、気付かなかったけどオークはオークキングという魔物を従える能力が有り、前回の異世界で俺を大きなナタで襲って来たオークであり、俺が閉じ込められたゲートの沢山あるダンジョンへ逃げ込んだ、魔物を従えてたオークでもあった。
『ルシーセはどうなった?』
オークキング
「スタンピードが始まったら山根が殺した、俺がルシーセに変身して、俺の代わりに山根が人間に指示した」
『変身の指輪はどうやって使うんだ?』
オークキング
「指輪を着けて人間を食えば、その人間になれる」
変身の指輪を使うのは無理そうだな。
それにしても、山根さんは魔物の言葉も習得していたみたいだ、色んな事を知ってたから世界を救う為に、出来れば仲間になって欲しかった。
センベーさん
「山根が黒幕だったの?アイスさんを暴走させたら倒す方法があったのかな?」
センベーさんに言われて、その可能性もあったのかと思った。
最後に山根さんは俺を暴走させてリスタートするつもりだったんじゃ無くて、俺が暴走したら倒す方法があったから、暴走させたかった可能性もあるのか。
女神にしても邪神にしても、俺は会う前から嫌われているみたいだし、神様みたいなのに嫌われている異世界とか憂鬱な気分になってきた。
マンジュウさん
「アイスさん、これからどうするんですか?」
帝都から魔物を排除して、スタンピードを終わらせる。
山根さんの話だとダンジョンは攻略しても分裂しないらしいから、攻略して試してみる。
ルーガ帝国を俺が治めてもいいけど、ヴァルガさんや山口さん、他にも長山さんや五十嵐村長、色々な人達が殺されてしまったから運営は難しそうだ。
帝都の外に居る、皇帝になった人や王になった人で良さそうな人を選び、支配者になって貰おう。
スタンピードが落ち着いたら、日本人を連れて東にある猫人族の祠へ向かおう。
祠から日本へ戻れるダンジョンへ行けるはずだ。
8月に始まったスタンピードが収束して、ルーガ帝国で新たな皇帝が戴冠して国内が安定してきた。
新しい皇帝にはミスリル級冒険者のリベルさんを選んだ。
ルーガ帝国の皇帝の近親者や有力な貴族は、碌な人が居なかった。
皇帝の人選で困っていた時に、プロトマト国で皆んなを纏めてスタンピードを防いだリベルさんは英雄になっていた。
彼に会った時に皇帝になって欲しいとお願いしたら拒絶されたけど、無理矢理、皇帝にした。
リベル皇帝に従わない人間は俺の力で、脅して従わせた。
思ったよりカケージ港の頭領をしていた商人や他の有力者、他にもルーガ帝国内でリベルさんを支持してる人が、多くて助かった。
スタンピードを乗り越えて生き残った日本人は約15万人になった。
多いけど、異世界で死んでしまった人の方が多い。
皇帝リベル
「アイスよ、元の世界へ帰るんだろ?なんかお前と初めて会った時から知ってる様な感覚だったけど、馬が合ったのかもな」
「これからも日本人を見つけたら、東にある祠へ連れて行くよ」
「元気でな」
スタンピードが始まってから2年もの間、ルーガ帝国と周辺の安定に時間が掛かった。
気付けば異世界に転移してから3年と4ヶ月が経っていた。
漸く全てが落ち着いて、約15万人の日本人と一緒に、俺達は東にある日本へ戻れるダンジョンの入口へ向かう。
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