第224話 分かり合えなかった

俺と山根さんは長い時間を話してたわけじゃ無いが、仲良く日本へ帰る道を探すのは無理な空気になっている。

俺に自殺を繰り返してスキルを全て無くせと、山根さんは言う。


俺は皆んなを助けたいと思ってる、思っているが、死ぬのは怖いし、スキルが無くなったら異世界で長生き出来ないぐらい、俺自身は何も無い人間だ。


自殺しろと言われてから、何も言えず黙った俺を見て、山根さんは再び笑って

「佐藤さんは皆んなを助けたいと言う、だけど捨てられた子猫を可哀想だから拾って来て、親に飼えないと怒られたら、元の場所へ捨てに行く」

「その程度の覚悟の、助けたいなんですよ」


山根さんは笑うのを止めて指から指輪を外し

「そして貴方は何故か異世界で窮地に立たされても死なない、私は何度も貴方が死にそうになりながら助かるのを見ている」

「女神は佐藤さんを殺したいと思っています、ですが女神以上の力がある何者かが貴方を守っているのかもしれない」

「今のルシーセ帝の中身はオークです、彼は邪神からリスタートの指輪と変化の指輪を貰っています」

「日本へ戻るダンジョンへ行くのは東にある猫人族の村の祠に、佐藤さんが魔力を込めればゲートが出てきます」

「ダンジョンは今回増殖しませんよ、事前に止めておきました」


山根さんは俺にリスタートの指輪を投げてきた。

俺は投げられた指輪を不器用に受け取り、視線を外してから、また山根さんを見ると手に何かを持っていた。

山根さんの手にある何かは光り、そして爆発した。


爆発物で山根さんは自殺したみたいだ。

即死していて、回復魔法で治す時間さえ無かった。


もっと話し合いを、、、無理だったのかもな、彼はリスタートを自分だけなら爆発死で直ぐ出来たのに、今回しなかった。


山根さんは、指輪を俺に渡したからリスタートはして無いよな。

最後は何も言わずに指輪を渡して死んだ山根さん。

他にも聞きたい事があった、でも俺は彼の提案を受け入れられなかった。


これからどうしたら良いんだろう。

俺は死にたくないよ、スキルも無くしたくない。


映画の主人公なら自分の命を犠牲にして皆んなを助けるんだろうが、俺は皆んなを助けたいけど、自分の命は捨てたくない。


リスタートの指輪を右手の人差し指に嵌める。


謁見の間から奥へ行く扉を進んでいくと、1番奥の部屋にルーガ帝国の皇帝ルシーセが震えて、しゃがみ込んで居た。

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