第219話 ダンジョン脱出

アケミさんに空間魔法を付与したが、魔力の量が少ないからか難しい能力になってる。


清水さんが所持してる願いの種という、謎のスキルを転移魔法に変えるかどうか皆んなと話していたら、マンジュウさんが亀に対して空間魔法で倒せるんじゃないか?と提案してきたので、試してみる。


マンジュウさんは自らの人差し指をアケミさんが出した亜空間に入れると、亜空間が消えると同時に人差し指が根元で切断されて消えた。


アケミさん

「マンジュウさんの指が無くなった、ごめんなさい痛そうよ」


マンジュウさん

「出血も凄いし痛い(笑)でも亜空間に物を入れたら中の物を消してしまうのが分かったので、亀の顔なら亜空間に少し入ると思うんです、もし顔を切断できたら殺せるかも?」


亀をオリハルコンで固めて、甲羅から出した顔に向けて空間魔法を使う。

亜空間を出す位置は難しいらしく、ピンポイントに狙った場所には出せないので、亜空間が出たら皆んなでオリハルコンで固められた、亀の頭を亜空間に入れる。


固めたオリハルコンを軽くすると亀が移動して攻撃してくるので、俺達じゃ動かすのは無理だったからホワタに頼む。


亜空間が出現して消えるまで約5秒、亜空間を出すまでに約5分。

亜空間が出たらホワタは、オリハルコンで固めて重い亀を素早く口で移動させて、亀の頭を亜空間に入れた。

数秒して亜空間が閉じると、4cm四方の空間に入れた亀の鼻先は見事に切れた。

それでも亀は死なず暴れている。


センベーさん

「次に空間魔法が使えるのは1時間後だよね、それまで食事して待ってようか」


赤黒い血を吹き出して暴れてる亀の横で、食事する気にはセンベーさん以外は、ならなくて座って待っていた。

アケミさんには剣で亀の傷口を突いて貰ったけど、亀は死ななかった。

必死に剣で刺そうとしてるアケミさんを見てると、59才の女性になんて事をさせてるんだろうと、辛い気持ちになる。


1時間後に魔力が回復して、空間魔法を使えるようになったアケミさんが亜空間を出して、またホワタがその場所に亀の頭の一部を入れる。

3度目に亀は動かなくなって、蒸気を出して金属の塊に戻った。

空間魔法を使える魔力が高い人は、何でも消してしまえるな、かなりのチートキャラだと思う。


『アケミさん魔力はどうですか?』


アケミさん

「魔法の種類が増えてるのよ、アイテムボックスが使えるみたい何なのかしらこれ?」


センベーさん

「キターーー!!!アイテムボックス!!」


清水さん

「異世界の常識キター!」


皆んなテンション上がった。

この異世界では見た事なかった、アイテムボックスだ。

検証してみたら、スキルを使った場所にランドセルぐらいの大きさの、正面の一面だけ出し入れ出来る様に開いている、箱状の空間が出てきて、中に物を入れて置けるみたいだ。

別の空間だけど時間経過はするみたいで、中に入れたアイスクリームは溶けていた。


その後に亀を3匹倒して、アケミさんの魔力は上限になったみたいだ。

アケミさんは亜空間攻撃、アイテムボックス、亜空間ゲートを使えるようになった。

詠唱時間は1分から先に縮まらなかったが、亜空間とアイテムボックスは一辺の長さ2メートルの立方体ぐらいの広さを出して使える。


亜空間ゲートは縦横2メートルの真四角なゲートを作り、亜空間で隔てられた場所を繋げる。

そう、このダンジョンから外の世界へ脱出できるゲートだ。


センベーさん

「もう出口の無いダンジョンでも、それこそ日本へ戻るダンジョンからでも出られそうだよね」


清水さん

「ボスを倒さなくても、日本へ戻るダンジョン?から日本へ戻れるんでしょうか」


確かに、戻れそうな気もする凄い魔法だ。

空間魔法所持者で、亜空間ゲートが使えるまで魔力を上げられた人は居たんだろうか?


亜空間ゲートは荷物や乗る場所を外したホワタが、ギリギリ通れる大きさだったけど全員がダンジョンから脱出できた。



外へ出ると真っ先に腐った死体の臭いが、鼻に着く。

待機していた兵士は居なくなっていた。

周辺には多くの兵士の死体や魔物の死体、争った後があるのでスタンピードが始まっているんだろう。


『アケミさん清水さん、帝都へ戻るまで、戻ってからも凄惨な光景を沢山見ると思う」

2人は俺を見て頷いた。


マンジュウさん

「アイスさん!!こっち来て」


其処には、ヴァルガさんと山口さんの腐り始めている死体があった。

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