第220話 アイス国消滅

ダンジョンの外へ出たら沢山の死体があった。

その中にはシャルパック国で俺を奴隷にしたヴァルガさんと、奴隷から解放してくれた山口さんの死体があった。


センベーさんが躊躇なく2人の死体を漁る。

いや調べてるみたいだ。


センベーさん

「2人ってかなり強いんだよね?」


『強い、ヴァルガさんは歳を取って衰えたと言ってたけど、2人とも冒険者で言えばA級というかミスリル級以上だと思う』


センベーさん

「大量の魔物に襲われたんじゃ無くて、一撃で殺されているかも」


センベーさんが傷口を見せてくれて、2人とも筋力強化スキルを使う前に殺されたか、強化を使っていたのに一撃で殺されたなら「相当強い相手と戦ったと思う」と意見を言ってきた。

魔物にやられたらゴブリンやオークに食われて、死体はもっと酷い状態だろうから人にやられた?


5人で話していたらゴブリン6体が襲ってきた。

2匹は矢を放ってくる。

火魔法で飛んできた矢を消滅させて、ゴブリン6体を消滅させる。


清水さん

「佐藤さん何をしたんですか!?」


『ああ、今の魔力だと火魔法で、見た相手を一瞬で消し炭に出来るんだ』

『何百万という敵が来ても、瞬間で全員を消滅させられる、スタンピードはもう怖くは無いと思う』


センベーさん

「うわぁぁ、こっちは魔王が味方にいるパーティーだった(笑)」


緊張していた空気が、センベーさんの発言で緩んだ気がする。


ヴァルガさんと山口さんを、灰にしてから埋めてオリハルコンの墓を造る。

2人には色々あったけど、お世話になった。

恨み?はもう無い、ありがとうと感謝を言って合掌する。


『ルーガ帝国の帝都へ向かっても良いんだけど、すぐ近くにプロトマト国の首都オーサイがあるから寄っても良いかな?』

『逃げ遅れてる人が居るなら、助けてから帝都に行きたい』


誰も反対する人は居なかったから、首都オーサイへ向かう。

首都には人々が立て籠っているみたいだ。

無数の魔物が、首都の城壁を取り囲んでいた。


俺達はホワタに乗ったまま城壁を一周して、見えた魔物から順番に全てを灰に変えた。

風が吹くと積もった魔物の灰が散乱する。


マンジュウさん

「あれだけ居た魔物が全て灰になって消えた」


アケミさん

「アイスさんの魔法は神様みたいだねぇ」


首都オーサイに近付くと、門が開いて何人かが出てきた。


「ここの守備を指揮しているミスリル級冒険者のリベルってもんだ」

「魔物が全て消えた、何があったんだ?あんたら魔物じゃないよな?その白い虎は魔物だよな?」


懐かしいなリベルさんだ。

前回の異世界で一緒にダンジョンを攻略したり、南の大陸では色々な国を相手に一緒に戦った。

強くなりたい願望が強い人だけど、俺達にも壁を作らず接してくれた、頼りになる人だった。


リベルさん

「すまんな、頭が混乱しててさ、助けてくれてありがとう」


リベルさんは俺が懐かしい記憶を思い出していて、黙って見てたのを勘違いしたみたいだ。

どうしよう素直に名乗った方が良いのかな?


『アイス国の王でアイスだ』

『今からルーガ帝国の帝都タミンスへ向かうが、首都オーサイや周りで避難して居る奴等が、帝都へ行きたいなら全員助けるぞ』


リベルさん

「アイス王??いやアイス国は無くなってアイス王は死んだと聞いてたんだが」

「すまんが鑑定させてくれるか?それと誰か!!アイス王を見た事ある奴を連れてこい!」


俺は死んだことになってる?

アイス国が無くなった?

行方不明なら分かるが、死んだ事になっているのか。

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