第215話 ダンジョン内の食料

5人と1匹で転移ゲートが沢山あるダンジョンへ入った。

ホワタの背中には充分な食料を積んでいるので、頻繁に出入りしないでも最深部で野営が出来るようにしてある。

まぁホワタに乗ったらダンジョンが迷路でも、1番奥から入口まで直ぐに帰れるけどね。


ダンジョンの入口ゲートから中へ入ると、入口近くの転移ゲートは俺が入って消していたから奥へ行かないとゲートは無い。


マンジュウさん

「外へ出る転移ゲートが無いですね」


本当だ、後ろを見ると外へ出る転移ゲートが消えていた。


清水さん

「本来だと外へ出る転移ゲートが此処にあるんですか?」


『ある、入った場所に戻る転移ゲートが本来はあるはず』


ちょっと焦っているけど、先に進んで他の転移ゲートを探すか。

俺達はホワタに乗って魔物が中に潜んでいる転移ゲートが、残っている場所まで移動する。

ダンジョン内は横幅8メートル高さが4メートルあるので、ホワタがジャンプは出来ないけど俺たちが上に乗って移動出来るくらいの高さはある。


センベーさん

「転移ゲート全く見当たらないね」


マッピングしてある地図を見ながら1番奥までいくが、転移ゲートが1つも無い。

一日中ずっとダンジョンを隈なく探したが結局1つも転移ゲートを見つけられなかった。

それと前に造ったオリハルコンの家や、探索隊がそのまま置いていった荷物等は全て無くなっていた。


マンジュウさん

「迷路の様なダンジョンに閉じ込められましたね」


アケミさん

「大変な状況になってるのかい?」


食事をしながら俺達は状況を話し合った。

誰かがダンジョンをクリアしちゃったのかな?

それならダンジョンが消えてないと、おかしいよな。

この異世界では、まだダンジョンに人が残っているとダンジョンは消えない。

人が隠れている?でもそれなら戻る転移ゲートだけは残ってるはず。


それから1週間ぐらいダンジョンを捜索し続けた。

隠し扉が隠されているかもしれないと、ホワタから降りて壁や床を確認しながら移動する。


俺は内心で相当焦っていたが、俺とマンジュウさんしか入った事が無いので、俺達は焦ってたけど他の人はまだ事態を深刻に捉えてなかった。


ホワタは食事をしない。

普通の魔物なら食事をするのに、清水さんから前に聞いたら食べられるけど、基本は食べ物を摂らないそうだ。

ホワタが食べるなら持ってきた食材なんて、あっという間に無くなってたな。


2週間も経つと皆んな焦ってきてる。


センベーさん

「そろそろスタンピードが始まっちゃうんじゃない?」


『正確な時間は分からないけど、食事と睡眠の回数を考えたら、まだ余裕はあるはず』


壁はオリハルコン?で作られていると思う。

俺は皆んなに、かなり離れて貰ってオリハルコンの隔壁も造って、温度が伝わらない様にしてから今出せる最高温度の火魔法を壁に放つ。

ダメだな、1時間も火魔法を使って壁を溶かそうとしたけど、壁は全く変化無しだった。

俺の造ったオリハルコン合金なら、俺の火魔法の最高温度だと少しずつ溶ける。

この壁はオリハルコンのようだけど、より硬い何かか、魔法や状態変化に耐性があるのかもしれない。


等々1ヶ月以上経ってしまったと思う。


清水さん

「外では大規模なスタンピードが始まってますよね?」


『多分だけど、そろそろ始まってても、おかしく無いね』


食料も節約を始めてる。

水は魔法で出せるから、後1ヶ月は大丈夫だと思う。

俺達が出した排泄物を1箇所に纏めてオリハルコンで密閉してる物が、所々に残ってる。



センベーさん

「ホワタを食べたら、まだ食料には困らないかな?」


清水さんがセンベーさんを睨みつけてる。

ホワタは魔物とは少し違う、食べられるかどうか、個人的にはホワタを含めて共食いまでして生きたく無いな。


ダンジョンに入ってから2ヶ月以上が経ったと思う。


アケミさん

「調味料がまだ少し残ってるけど食事としては、これが最後よ」


渡された薄いスープの僅かな具材を何度も口の中で咀嚼する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る