第212話 速殺リヴァイアサン

夕方の甲板に沢山の人が集まっている。

カケージ港から乗って来た人達、途中の港で募集した船員、俺達の説得で船に乗った日本人達。


「なにあれ?リヴァイアサン?」


「体長何百メートルあるんだよ」


リヴァイアサンを初めて見たらビックリするのは分かるから、俺は準備をしながら皆んなの反応を見てる。


マンジュウさん

「凄い、話で聞いてたと実際見るんじゃ異世界の化け物は違いますね」


センベーさん

「皆んな同じ反応だねー」


俺は自分の身体にオリハルコンの縄を巻き付けて、反対側はマストに縛り付ける。

今の魔力なら倒すのは問題無いと思う、倒した後にリヴァイアサンの金属の塊を回収したいから準備をする。


『皆んな充分見たか?もう倒すぞ?』


マジか?本気であんなの倒せるのかよ?という目をしながら殆どの人が此方を見ている。


リヴァイアサンの周辺の海を凍らせる。

奴も負けじと凍った海を溶かしていく。

これなら大丈夫そうだ、凍った海へ甲板から飛び降りてリヴァイアサンへ近付く。

俺の海を凍らせるスピードの方が、奴が海を溶かすのより速いので、凍った地面を歩いてリヴァイアサンに触れる。

触れた先から最大魔力で火魔法を奴の身体にぶち込む。

リヴァイアサンの皮膚の周りには水の魔法で膜が作られているから、普通なら火魔法が効かないけど、超高温の火魔法は奴の水の膜を消して皮膚も焦がし、俺の手はリヴァイアサンの身体にめり込む。

一万度以上の温度になってそうな火の玉をリヴァイアサンの身体の内部へ何発も放つ。


リヴァイアサン

「ヴァァッーーキューッゥゥゥ」


鯨とイルカの叫び声を混ぜた音を発して蒸気を放ちながら爆発した。

物凄い爆風の中で視界が遮られているけど、海を凍らせ続けて、金属の塊が海の底に落ちないよう気をつける。


蒸気の煙が消えた後には、氷の中に金属の塊が嵌って残っていた。

氷を溶かして金属の塊を拾い、船へと戻る。


10分も掛からず倒し終えて戻った俺に、甲板の上で恐れの目をして皆んなが出迎えてくれた。


センベー

「船に乗ってる人達は、もうアイスさんには逆らわないと思うよ」

「本当の化け物を見つけたからね!(笑)」


センベーさん以外は冗談で笑ってない。



カケージ港へ戻った俺達は船長さんや船員さんに積み下ろしを任せて、日本人を連れて帝都タミンスへ戻る。


『ナチャチャさん、家族を連れて7月中には帝都へ来てね、8月を過ぎてからだと移動も大変になるから』


ナチャチャさん

「アイス王様、何で此処まで優しくしてくれるんですか?」


冷たい雨で布をくれた恩だと言ったが、俺は彼の明るさに何度も救われてるから。



帝都へ戻る時に驚いたのは、カケージ港と帝都タミンスの間を魔石機関車を作って走らせていた事だ。

他にも発電所を作り、道には街灯が灯っていた、数ヶ月で色々な発展が目覚ましく進んでいた。


日本人が主導して開発を急いでいたと思ったら、ルシーセさんが魔石機関車の開発を指示したらしい。

多分助言した日本人が居るんだろうな。


燃料は魔石を使っているらしい。

南の大陸で魔石を燃料に使う技術は開発が難しいと聞いていたけど、数ヶ月で作れてしまう天才が居るんだな。

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