第211話 東の地域

東にある港に寄港して交易をする。

正直楽しい、もう3回違う港に寄港しているが、何処も其々に違う雰囲気があって、建物や住んでる人達も違う。


ルーガ帝国の周辺は宗教も単一で、女神様を信仰している教会が権力を持っていて教会では同じような昔話しか聞けない、東の方は宗教も豊富でみんな違って言葉は通じなくても、俺が知らなかった昔話や神話が数多く聞ける。

異世界の昔話や神話は日本へ帰る情報として、真偽は別としても貴重な情報だ。

東の地域では、こんなに昔話が多いのにルーガ帝国周辺では、殆ど昔話が伝承して無いのは教会が制限してるからかな?


食事もバリエーションが豊富で、美味しい不味いは別にしても楽しめる。

辛いのは苦手だけど、気候が暑いので現地で食べると美味しく感じる。


船に戻ると楽しさとは別に、

大量に人殺しをしてる人間が、多くの人間を悲しませている人間が、こんな楽しんで良いのか?という気持ちも湧いて来る。


センベーさんは「深く考えたら何も出来なくなるよ」と言ってくれるが、1人になると今やっている事は正しい行為なのか?という疑問はずっと頭から離れない。


各港でオリハルコンの武器防具が1番売れる。

異常に硬いのに剣や槍は細く切れ味が良い、防具は硬くあらゆる攻撃でも大事な部分を守ってくれる。

重い以外は自分で造っているけど、良い装備だと思っている。


輸入する食料は保存が効く食べ物以外に、生鮮食品も買っている。

船には冷蔵庫や冷凍庫を完備しているので、俺が居れば4度〜マイナス50度を維持できるし何でも買える。


果物等はドライフルーツにしたりもしてる。

甲板で太陽の下で干したり、乾燥室を造り温度と湿度を魔法で調節して造っている。


肉や魚、野菜も買って冷凍保存したり、塩漬けを作って長期保存が出来るようにしてる。

塩は海水から俺が魔法で水分を蒸発させて幾らでも手に入れられるので、なるべく塩漬けも大量に作る。


船長

「アイス王が居たら食料を選別して買わないでも、買えるものを買って船で加工して、保存食に出来ますな」

「もっと沢山の人間を乗せれば良かったです、港での積み下ろしと、加工作業で皆んな忙しい」


港周辺で転移して来た日本人を見つけたら、スタンピードが起こる事を話して、なるべく船に誘う。

自由民なら良いけど、奴隷となっている日本人は買い戻す資金が足りない。

日本人はスキルや魔法を持っているから、高価な奴隷になるので買い戻す値段が高い。


もっと資金があれば助けられるのに、無理矢理に力ずくで助ける方法もあるけど、噂が広まればもっと助けるのが困難になる。

長山さんに言われたのは、なるべく奴隷商人の言い値で買い、日本人はコイツらが高く買ってくれると思わせたら、向こうから日本人を辺鄙な場所からでも集めて来て売ってくれるようになると言っていた。


船での航海は2ヶ月以上にも及んだ。

大きな船の中は食料が満杯だ。

途中で船をより大きく造り変えて、予定よりも大量に積み込んだ食料は、恐らく200万人が1年保つ量じゃないかと計算された。


センベーさん

「アイスさんが大きな船で交易を繰り返したら、食料問題解決するよね」


マンジュウさん

「いやいや予定よりも時間掛かっていますよ、船酔いが治ってからの船の旅は楽しかったですが、カケージ港に着く頃には5月の半ばです」

「もう一度アイスさんが船に乗って交易する時間はもうありませんよ」


船長

「何度も交易したら利益は落ちるし、今回が上手く行き過ぎただけだ」

「積荷を降ろす作業だけでも1ヶ月以上は掛かりそうだな」


後数日でカケージ港に着く予定だ。

リヴァイアサンは現れなかったけど、探す時間はもう無いな。



夕方頃の少し涼しくなってくる時間帯、船に何かが、ぶつかって船が小さく揺れる。


船員

「左舷に大きな魚が体当たりしてきた!!大きい!!あぁぁぁデカいぞ!!!??」

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