第210話 東の港への輸出入

カケージ港と東にある国々との貿易船に何かが襲って来て、2割近い船が戻って来ないらしい。

船の残骸を見ると、恐らく大きな生物に襲われたんじゃないかと言う事だった。


マンジュウさん

「リヴァイアサンはとんでもなく大きいんですよね?この船も大きいですが、沈まないですよね?」


『適当に船を造っているように見えたかもしれないけど、俺は前回の異世界で何十隻と船を造ったから魔力さえあったら、設計図を見ないでも造れるぐらいにはなってるよ』


マンジュウさんは船酔いと、俺が船を素早く造ったので少し怖気付いている。

センベーさんは特に気にせず、釣りをする余裕さえあった。


プロトマト国の船員とアイス国の兵士を2000人も乗せて船を運行する人員にした。

ちょっと失敗したのはシャルパックの兵士は海に慣れてないから、船酔いとかで全く役に立たない状況だ。

回復魔法で治しても直ぐ船酔いになる。


リヴァイアサンが、この船を襲うまでカケージ港と東の国にある港を往復する予定だけど、船員で募集した中にナチャチャさんが居た。


船が出航してから気付いたので降ろす訳にもいかない。

ナチャチャさんには安全な場所に居て欲しいが、前に渡した金貨だけじゃ足りなかったのかな。


プロトマト語が喋れてルーガ語の分かる人に通訳をお願いして、ナチャチャさんと会話する。


『なぜ船に乗っているの?前に渡した金貨は全部使ってしまったの?』


ナチャチャさん

「ありがとうございます!あの金貨で家族は裕福に暮らせています!すみません雨の中で乞食が寒そうに歩いていると思ってて、アイス王だとは知りませんでした」

「船に乗ったのは東の国を見てみたかったからです、船乗りになって世界中を見るのが夢だったから、成人したので船乗りになったんです」

「親の手伝いで近海の海は何度も乗ってますから、頑張ります」


ああ、船乗りになりたかったのか。

無理に船から降ろしても、ナチャチャさんなら他の船に乗りそうだ。

暫く安全なオリハルコンの船に居て貰おう。


カケージ港を出航した船は輸出品として、オリハルコンの武器や防具、木材、馬、貴金属、高価な織物を載せている。

ルシーセさんはスタンピードを乗り越えるのを最優先に考えてくれているから、高価な貴金属や馬、織物を輸出するのは問題無いと言ってくれてる。

木材は東の地域より、ルーガ帝国に生えてる木の方が品質が良いらしいので持っていく。


航行して1週間の距離にある東の港の手前に船を停めて、小さめの船に輸出品を積み替えて交易をする。

俺が造ったオリハルコンの船はデカすぎて普通の港には直接停められない。


護衛を兼ねて、俺も着岸する小さな船へ乗り込む。

センベーさんやマンジュウさん、ナチャチャさんまで皆んな船を降りて「港へ行きたい」と言うので、一緒に行動する。


観光じゃ無いんだけどな、皆んなウキウキで色々な物を見たり買い食いしている。


センベーさん

「ここで食料を積み込んだら、もっと東の港へも行くんだよね?」


『船長がそうすると言ってたから、食料を満杯に積むまで東へ交易を続けるそうだよ』


センベー

「楽しみだなぁ」


センベーさんは楽しそうだ。

マンジュウさんまで楽しそうで、ナチャチャさんもワクワクした顔をしている。


俺も初めて見る国や、その地域に住んでいるウサギの耳や、犬の耳をしている亜人を見て、食べた事ない食材を食べて、

リヴァイアサンが目的の航海だけど、時間が無いのに楽しい。

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