第209話 オリハルコンの城壁と道
物資貯蔵場所の確保は上手くいかなかった。
今ある物資だと3ヶ月しか食料が保たない。
3月に入った今からプロトマト国にあるカケージ港から物資を輸入すれば、8月の大規模スタンピードまでには250万人の1年分の食料はギリギリ用意出来るかもと、識者の人達から言われた。
ただスタンピードが始まって難民が多数押し寄せて来たら、相当厳しいと言われている。
プロトマト国の人達も受け入れないといけない、東側にある国だって助けを求めて来たら、なるべく受け入れたい。
センベーさん
「アイスさん今の魔力って、どれくらいに増えたの?」
『前回の異世界の時よりは多いと思う、前回は魔物を相手にする事が多かったけど、今回は殆ど人間しか殺してないから』
センベーさん
「じゃぁ相当、、人を殺したくなってるかもねぇ」
「清水ちゃんって子は魔力が上がって何かが変化する話を聞いてても、実際にアイスさんが笑いながら人を殺しまくっているのを見たら、ショックがデカかっただろうね」
『物資貯蔵場所の戦闘ではごめん、もしかしたら殺さないで止められた戦闘もあったかもしれない』
センベーさん
「しょうがないよ、僕だって腹が減ってないのに食べたくてしょうがない、吐いても、また食べちゃうんだよ」
「僕は魔力が低いのに変化あるもん、自分じゃどうしようもない、何か体がおかしくなるのは分かっているつもりだよ」
「マンジュウさんも魔力が増えてるんでしょ?いずれ何か体に変化があるよ、自分じゃ分からないから僕達が言うね」
マンジュウさん
「恐ろしい呪いですね、センベーさんみたいな食欲が止まらないとかなら良いな、アイスさんみたいな呪いは私にはキツイ」
「ごめんなさいアイスさん、批判するつもりは無いですからね」
俺は久しぶりにセンベーさんとマンジュウさんと3人で食事をしているが、俺のせいで作戦が失敗したのかと、ずっと考え込んでしまっている。
センベーさん
「今ね、アケミさんを帝都に呼んで家事を手伝って貰っているんだけど、清水ちゃんの生活もサポートして貰おうよ」
確かにアケミさんなら清水さんに寄り添ってくれそうだ。
次の日にアケミさんを早速呼んでみる。
アケミさん
「アイス王様、初めまして、あたしで良ければ清水さんのお世話もさせて貰いますね」
『アケミさん、王様呼びじゃなくてアイスで良いですよ、俺には難しいので、よろしくお願いします』
アケミさん
「センベーさんに聞いてた通りの人ね、皆んなが言うほど悪人には思えないわ、ごめんなさいね悪人なんて言って」
昔のアケミさんより老けた感じがしてるけど、この異世界で苦労しただろうアケミさんは、朗らかに笑みを浮かべて優しさは変わらなかった。
山口さん
「帝都周辺をオリハルコンの城壁で囲って、その後に帝都とカケージ港との道路もオリハルコンの城壁で囲い、物資の輸送をスムーズにしましょう」
今の魔力だと城壁の高さを70メートル以上に出来るけど、流石に時間が掛かるので帝都周辺は高さ30メートルで一旦城壁を造り、輸送の道路は高さ15メートルの城壁で囲いなるべく早く造る。
長さ数百キロの城壁造りは1ヶ月以上を掛けて完成した。
大規模な集団が襲って来ても、俺が行けば問題無く撃退できる。
ホワタには乗れないが、良い馬を用意されているのでオリハルコンで舗装された道路で移動すれば、1日あれば直ぐに城壁内の何処でも駆けつけられる。
国外に輸出する為のオリハルコンの武器や防具を造っていると、カケージ港で輸送の指揮を取っていた長山さんから連絡が有り、海で巨大な生物が襲ってきて船の輸送を妨害しているそうだ。
俺は嫌な思い出の生物を倒す為に、巨大なオリハルコンの船を造り出航する。
センベーさんとマンジュウさんも、漕ぎ手として乗船している。
センベーさん
「アイスさんの魔力が足りなくて船の上から倒せ無かったら、例の作戦を実行するんだよね?」
「アイスさん大変だなぁ」
他人事みたいな発言をしながら、センベーさんは干しブドウを食べている。
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